「ミッシング」愛する娘の失踪で、心まで失くしてしまったのか…。石原さとみの母親役が衝撃的! | 『Pickup Cinema』

『Pickup Cinema』

新作も思い出の作品も おすすめ映画を紹介!

(C)︎2024「missing」Film Partners

2024年製作/119分/G/日本  監督:吉田恵輔 出演:石原さとみ、中村倫也、青木崇高、小野花梨、森優作、細川岳ほか 配給:ワーナー・ブラザース映画 劇場公開日:2024年5月17日※マスコミ試写で3月13日に鑑賞

失踪した娘の帰りを待ち、あらゆる手をつくす母・沙織里(石原さとみ)。

しかし3か月を過ぎ、世間の関心が薄れつつあることに焦り、イライラを募らせていた。夫(青木崇高)との夫婦げんかも絶えず、取材を続けてくれる地元テレビ局の砂田(中村倫也)だけが頼りだった。

そんな沙織に対し、SNSは情容赦なかった。娘の失踪時に推しのライブに出かけていたことが知られると「育児放棄の母」と誹謗中傷の標的となり、不確かな目撃情報が寄せられるたびに一喜一憂する沙織里は、精神的に追いつめられていく。

夫や弟(森優作)への言動は次第に過激になり、いつしか視聴率獲得のためのメディアに協力し「悲劇の母親」を演じてしまうほど、沙織里は心を失くしていく。

また、視聴率競争の中に身を置く砂田も報道とは何か、という疑問とジレンマに苦しんでいた。

「ただ、娘に会いたい」という一心で、砂田や世間にすがり続ける沙織里は、どうしようもできない現実に向き合い、もがき苦しみながらも、光を見つけようとするのだが・・・。

マスコミの報道、SNSでの誹謗中傷、夫婦間の温度差―。娘の失踪だけでも辛く厳しい精神状態であるにもかかわらず、追い打ちをかけるような世間からの仕打ちに「心」まで失くしていく母親役を石原さとみが熱演し、新たな境地を切り拓いた一作と言える。

脇を固める俳優陣も圧巻の演技で、とにかく監督の人間描写が素晴らしい。事件の一報だけでは見えてこない衝撃的な裏側を私たち観客に教えてくれる秀作。