「ライフ・ウィズ・ミュージック」 ポップで明るい映像と音楽を背景に、愛と希望と再生の物語が始まる | 『Pickup Cinema』

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2021年製作/107分/G/アメリカ 監督・製作・原案・脚本:Sia 出演:ケイト・ハドソン マディ・ジーグラー レスリー・ボドムJr.ほか

原題:Music 配給:フラッグ 劇場公開日 2022年2月25日

これは新しい感覚のミュージカルなのだろうか。

ポップで明るい映像とノリの良い音楽に合わせて、ドラマの途中で突然始まる美しいダンスシーン。これが、今、世界的に注目を集めるシンガーソングライター・Sia(シーア)の世界観なのだ。

物語は、常にヘッドホンで音楽を聴いている一人の少女の朝からスタートする。

少女の名はミュージック(マディ・ジーグラー)。自閉症の彼女は、祖母のつくる目玉焼きを食べて、髪を結ってもらい、散歩に出かけるのが日課。近所の人々は皆、ミュージックに優しく接している。

 

しかし、ある日、祖母が倒れ、そのまま帰らぬ人に。

呼び出されたのは、アルコール依存症でリハビリ中だった姉のズー(ケイト・ハドソン)だった。

久しぶりに自宅に戻って来たズーは、ミュージックにどう接して良いのかわからない。

ぐずるミュージックに困り果てたズーは、施設に預けようとするが、断られてしまう。

自分のことだけで精いっぱいのズーは苦悩しながらも、隣室のエボ(レスリー・ボドムJr.)に助けられ、一歩ずつ前に進み始めるのだが・・・。

 

感受性豊かなミュージックの脳内は、いつも色とりどりのカラフルな世界と明るい音楽に彩られている。映像化された脳内の感覚はファッショナブルでポップ。監督を務めるSia のあふれんばかりの感性が輝いている。

ステージでは素顔を見せない「顔なきポップスター」と呼ばれるSiaが、自身の体験を元に創り上げた作品。過去にアルコール依存症に苦しみ一時は自殺を考えたSiaは、友人と音楽に救われたという。

自らの姿をズーに重ね合わせ、愛を知り、希望を見出していく姿を、映画のために書き下ろした12曲に乗せて描いた感動作。