朝の出勤時、時折立ち寄るコンビニエンスストアがある。
普段はあまりコンビニエンスストアで物を買わないが、
目的は買い物ではない。
不思議な店員さんと、二言三言、言葉を交わしたいがために立ち寄るのだ。
☆
グレイヘアでショートカットがお似合いの、明るくて元気な女性。シニア世代の元気さと同時に、不思議な雰囲気を漂わせている。
・ため口交じりの、親戚のおばちゃん的な親しみやすさ。
・挨拶以外に、「いってらっしゃいね」「風邪ひかないでね」等々、お客様に必ず一声かけている。
混雑する朝の時間帯、時に嫌な顔をされても、レジを急かされても、変わらずに。
その様子が、時には、壊れたレコードプレーヤのように一定で、器械的に感じることもあった。
しかし、ある時。
会話の中で気づいた。
その店員さん曰く。
「明るさは波みたいに伝わるんだよ。
私、バカだけど、明るくしてるとさ、周りが良くなって、みんな元気でるでしょ?」
その瞳の色は、澄んでいて、光が強かった。
ああ、意図的なんだ。
体現しているのだ。
宗教や精神世界や、自己啓発や、そんな諸々を飛び越えて、
大元の所で勝負している。
いや、勝負というのはちょっと違う。
なんというか、実践ありき、現実ありきで、生きている。
これは私が勝手に、そう感じているだけなのだが・・・。
☆
「元気だしていってらっしゃい。バイバイね~」と、
何とも2次元キャラ的なセリフと共に朝の品出しに戻る店員さん。
坂口安吾の風博士を彷彿とさせるその様子に、
その切り替えの早さに、かすかな笑みがこぼれた。
そして、朝の出勤の足取りが、軽くなったのを感じた。
☆
不思議な店員さん。
朝から元気と軽さをありがとう。
顔を上げて、口角上げて、行ってきます。