朝の出勤時、時折立ち寄るコンビニエンスストアがある。

普段はあまりコンビニエンスストアで物を買わないが、

目的は買い物ではない。

 

不思議な店員さんと、二言三言、言葉を交わしたいがために立ち寄るのだ。

 

 

グレイヘアでショートカットがお似合いの、明るくて元気な女性。シニア世代の元気さと同時に、不思議な雰囲気を漂わせている。

 

・ため口交じりの、親戚のおばちゃん的な親しみやすさ。

・挨拶以外に、「いってらっしゃいね」「風邪ひかないでね」等々、お客様に必ず一声かけている。

混雑する朝の時間帯、時に嫌な顔をされても、レジを急かされても、変わらずに。

その様子が、時には、壊れたレコードプレーヤのように一定で、器械的に感じることもあった。

 

しかし、ある時。

会話の中で気づいた。

 

その店員さん曰く。

「明るさは波みたいに伝わるんだよ。

私、バカだけど、明るくしてるとさ、周りが良くなって、みんな元気でるでしょ?」

その瞳の色は、澄んでいて、光が強かった。

 

ああ、意図的なんだ。

体現しているのだ。

 

宗教や精神世界や、自己啓発や、そんな諸々を飛び越えて、

大元の所で勝負している。

いや、勝負というのはちょっと違う。

なんというか、実践ありき、現実ありきで、生きている。

これは私が勝手に、そう感じているだけなのだが・・・。

 

 

「元気だしていってらっしゃい。バイバイね~」と、

何とも2次元キャラ的なセリフと共に朝の品出しに戻る店員さん。

坂口安吾の風博士を彷彿とさせるその様子に、

その切り替えの早さに、かすかな笑みがこぼれた。

 

そして、朝の出勤の足取りが、軽くなったのを感じた。

 

 

不思議な店員さん。

 

朝から元気と軽さをありがとう。

顔を上げて、口角上げて、行ってきます。