管理組合総会は、組合員が集まってマンションの管理や運営に関する重要な決議を行う会議です。総会は、議長が開会宣言をして始まり、閉会宣言をして終わります。

 

 

 議長は、総会の議事進行や秩序維持などのために『議事整理権』を行使できますが、組合員の意見や決議権を尊重しなければなりません。

 

総会の進行方法

 

 総会の進行方法は、以下の通りです。

 

1.議長の挨拶

2.議長の開会宣言

3.議事運営のルールの説明

  ・議事録署名人の指名

  ・質問を受け付けるタイミング、発言の方法(氏名・部屋番号)など

4.出席区分所有者数・議決権数の報告

  ・定足数を満たしていることを明確に報告すること

5.議案の審議と採決

  ・議案ごとに理事長や委員長から説明を受ける

  ・質疑応答を行う

  ・採決方法(挙手・無記名投票・記名投票など)を決定する

  ・採決を行い、結果を発表する

6.その他の意見や要望の聴取

7.議長の閉会宣言

 

議長の権限

 

 議長の権限は、以下の通りです。

 

1.議長が単独で判断できること

  ・総会の開会・閉会の宣言

  ・質問者・答弁者の指名

  ・発言時間の制限

  ・議案の審議順序の変更

  ・決議事項の個別上程か一括上程かを決定

  ・質疑の打ち切り

  ・休憩

  ・採決の方法の決定

 

2.議長が単独で 判断できないこと

  ・議案の修正動議

  ・議長不信任の動議

  ・総会の延期・続行の動議

 

「議長が単独で判断できること」に関しては、動議が出された場合でも議長は自分の判断で決定できます。

 

 しかし、「議長が単独で判断できないこと」に関しては、総会に諮り、普通決議で承認を得た上で行わなければなりません。

 

 

総会でトラブルが起きた場合の対処法

 

 総会では、時にトラブルが起きることがあります。例えば、以下のような場合です。

 

  • 議事妨害や秩序乱す者が出る場合
  • 議案に反対する者が多数派を形成する場合
  • 議案に関する情報が不十分だという主張が出る場合
  • 議案に関する訴訟や仮処分申請が提起される場合

 

 このようなトラブルが起きた場合、議長はどのように対処すべきでしょうか?

 以下に、一般的な対処法を紹介します。

 

1.議事妨害や秩序乱す者が出る場合

 

 議長は、発言や行動で議事を妨害したり、総会のルールを無視したり、議長の制止命令を拒否したりする者に対して、発言中止や退場命令を出すことができます。

 

 退場命令を出す前には、警告や説得を行うことが望ましいです。

 

 退場命令を出した後もその者が退場しない場合は、他の参加者と協力して実力行使で退去させることができます。

 このような場合は、議事録に正確に記録し、証拠として残しておくことが重要です。

 

 このようなトラブルで議事を続けることが困難だと判断した場合は、休憩を宣言し、理事会で対応策を協議することもできます。

 対応策の協議後、議事を再開するかどうかは、総会に諮り、普通決議で承認を得た上で決定します。

 

 総会を延期することになった場合は、延期された総会は30日以内に再開しなければなりません。再開時には、延期理由や再開日時などを通知し、延期前の出席者数や決議権数を引き継ぎます。

 

2.議案に反対する者が多数派を形成する場合

 

 議長は、多数派の意見や要求に耳を傾けることが大切です。多数派の意見や要求が合理的であれば、それに従って議案を修正したり撤回したりすることもできます。

 

 議案の修正動議は、総会に諮り、普通決議で承認を得た上で行わなければなりません。修正動議が承認された場合は、修正後の議案について再度審議と採決を行います。

 

 議案の撤回は、理事会が提案した議案についてのみ行うことができます。撤回は、理事会の判断で行うことができますが、総会に説明することが望ましいです。

 

 多数派の意見や要求が合理的でない場合は、議長は、少数派の意見や要求を尊重し、平等に発言の機会を与えることが必要です。また、議案に関する情報や根拠を十分に提供し、説得力のある説明を行うことも重要です。

 

3.議案に関する情報が不十分だという主張が出る場合

 

 議長は、議案に関する情報が不十分だという主張に対して、どのような情報が不足しているかや、その情報が必要な理由を確認することが大切です。

 

 不足している情報があれば、それを提供するかどうかを判断します。提供できる場合は、速やかに提供します。提供できない場合は、その理由を説明します。

 

 不足している情報がなければ、それを明確に否定します。既に提供した情報や根拠を再度提示し、説得力のある説明を行います。

 

 不足している情報の有無や重要性について意見が分かれる場合は、総会に諮り、普通決議で承認を得た上で決定します。

 

4.議案に関する訴訟や仮処分申請が提起される場合

 

 議長は、議案に関する訴訟や仮処分申請が提起されたことを総会に報告することが必要です。また、訴訟や仮処分申請の内容や影響について説明することも重要です。

 

 訴訟や仮処分申請が提起された後も、総会は通常通り開催することができます。しかし、訴訟や仮処分申請の結果によっては、総会の決議が無効になる可能性もあります。

 

 無効の危険性を避けるためには、訴訟や仮処分申請の結果を待ってから総会を開催するかどうかを検討することもできます。この場合は、総会を延期することを議場に諮り、普通決議で承認を得た上で決定します。

 

 総会を延期することになった場合は、延期された総会は30日以内に再開しなければなりません。再開時には、延期理由や再開日時などを通知し、延期前の出席者数や決議権数を引き継ぎます。