しばらく、マンションのことを書いていませんでしたが、マンションにお住まいの方にとって見過ごせないニュースが飛び込んできました。またまた、マンションの大規模修繕工事を巡る「談合」問題です。

 

 公正取引委員会(公取委)は、これまで関東地方での大規模修繕工事における談合を調査し、2026年6月には施工会社や設計コンサルタント会社など約40社に対して排除措置命令や計約16億円の課徴金納付命令を出す方針を固めました。しかし、問題は関東だけにとどまりませんでした。

 

東海地方でも20数社に立ち入り検査

 

 2026年7月28日、公取委は東海地方(愛知・岐阜・三重)のマンション大規模修繕工事でも談合が行われていた疑いがあるとして、施工会社や設計コンサルタント会社など20数社に独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査に入りました。

 関東での調査過程で他地域での疑惑も浮上したとみられ、一部の施工会社は関東・東海の両方で立ち入り検査を受けています。

 

談合の温床となる「設計監理方式」

 

 なぜ、マンションの大規模修繕で談合が繰り返されるのでしょうか?

 その背景には、多くのマンションが採用している「設計監理方式」の死角があります。

 設計監理方式とは、工事内容の策定や施工業者の選定、工事のチェック(監理)を、外部の設計コンサルタントに委託する方式です。専門知識のない管理組合にとって頼りになる存在のはずですが、一部の悪質なコンサルタントが施工会社と裏で結託するケースが相次いでいます。

  • 事前に受注業者を決める
  • 見積もり金額を操作し、相場より高く発注させる
  • 施工会社からコンサルタントへ「バックマージン(リベート)」が支払われる

 結果として、工事費が不当につり上げられ、私たち住民がコツコツ積み立てた「修繕積立金」が搾取されているのです。

 

関西も視野に? 全国規模の闇

 

 一部の報道や業界の動向では、「公取委は関西も視野に入れている」と指摘されています。

 実際、今回の立ち入り検査や処分対象となっている企業の中には、大阪に本社を置く中堅ゼネコンや設計コンサルタント会社も含まれています。この談合システムは特定の地域のローカルルールではなく、業界全体に深く根付いた「悪しき商慣習」と言わざるを得ません。

 関西地方のマンションであっても、決して「対岸の火事」ではないのです。近い将来、関西エリアでも大規模な調査が行われる可能性は十分にあります。

 

私たち管理組合(住民)ができる自衛策

 

 自分たちのマンションの修繕積立金を守るためには、コンサルタントや管理会社に「お任せ」にするのではなく、管理組合が主体性を持つことが不可欠です。

 

1.設計コンサルタントの選定を厳格に

 

「安すぎるコンサルタント報酬には裏(バックマージン前提)がある」というのはよく言われますが、最近では疑われないようにあえて報酬を引き上げている悪質なケースも聞かれます。

 また、「実績が豊富」と謳うコンサルが、実は談合システムの中で不当に件数を稼いでいるだけで怪しいという場合もあります。

 表面的な金額や実績の数だけに惑わされず、実際の評判やプロセスの透明性をしっかり確認することが肝要です。

 

2.施工会社の選定プロセスの透明化

 

 コンサルタントが推薦する業者だけで決めるのではなく、管理組合側でも独自のルートで施工業者を探し、見積もりに参加させることが有効です。密室での決定を避け、選定のプロセスをオープンにしましょう。

 

3.セカンドオピニオンを活用

 

 提示された見積もり金額や工事内容が本当に妥当かどうか、別の専門家(第三者の建築士やマンション管理士など)に客観的にチェックしてもらう仕組みを取り入れましょう。

 私はセカンドオピニオンを何度か行いましたが、効果はかなりあリます。

 

4.他の発注方式を活用

 

 そもそも談合の温床となりやすい「設計監理方式」に固執する必要はありません。

 

 施工会社に設計と施工をまとめて任せる「責任施工方式」や、工事の原価や内訳を明らかにする「価格開示方式」、さらにはマネジメントの専門家を入れる「CM(コンストラクション・マネジメント)方式」の採用を視野に入れることも非常に有効です。

 マンションの実態に合った、より透明性の高い仕組みづくりを検討してみてください。

 

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 マンションの大規模修繕工事は、億単位や数千万単位の大きなお金が動く一大事業です。関東から東海へ飛び火した公取委のメスは、いずれ関西や全国へ及ぶ可能性が高いでしょう。

 いざ修繕の時期を迎えたときに焦らないよう、日頃から管理組合内で情報共有を行い、透明性の高いプロセスを構築しておくことが大切です。あなたのお住まいのマンションは、大丈夫ですか?