1997年に採択された京都議定書。


2015年に採択されたパリ協定。

 

パリ協定は、京都議定書以来、18年ぶりに気候変動に関する国際的枠組みが出来上がりました。

 

加盟国196が参加する気候変動枠組条約です。


それが昨年行われたCOP28につながっています。

 

フランスのローラン・ファビウス外相は、パリ協定について、

「この野心的でバランスのとれた計画は地球温暖化を低減させるという目標で“歴史的な転換点”である」

と述べました。

 

・・・

 

私が社会人になった1973年、オイル・ショックといわれる経済危機がありました。

 

原油の供給逼迫、原油価格高騰で、世界的な経済混乱が起こりました。

 

石油危機や石油ショックともいわれています。

 

その年に、東京都内で行われた展示会で、私が勤めていた研究所のメンバーが「ソーラーハウス」の原型的な提案を展示しました。

 

それが、当時の通商産業省の目に留まり、「ソーラーハウスの研究助成金」が交付される研究に発展しました。

 

今は、環境問題で化石燃料を減らす方向ですが、その当時は、石油危機回避という動機でした。

 

結果は同じでも、コンセプトの違いは大きなものがあります。

 

私の研究所がパッシヴ・ソーラーハウスをシャープの研究所がアクティヴ・ソーラーハウスというコンセプトの共同研究です。

 

その当時としては、かなりの額の補助金でした。

 

1974年~1977年までの3年間の研究です。

 

私は、専任の研究員としてこのプロジェクトに参加しました。

 

ソーラーハウスの考え方は、2つあります。

 

「パッシヴ・ソーラーハウス」と「アクティヴ・ソーラーハウス」です。

 

パッシヴ・ソーラーハウスの「パッシヴ」とは、英語の「passive」です。

 

受動的という意味ですね。

 

簡単にいえば、「断熱をよくして、家の中の熱容量を大きくする」ことで太陽熱を保存します。

 

住宅は、南に向け、窓ガラスは、複層ガラスを用い、太陽光の赤外線は通しますが、冬季には、家の中から外への放射エネルギーを出さないように工夫します。

 

ひさしは、夏には直射日光が入らないように、冬には太陽熱を取り込むように、入射した太陽光は、対流で上昇しますので、天井付近にある送風機で暖かい空気を循環させます。

 

床は、質量をなるべく大きくして、熱容量を増やし、「魔法瓶のような家」を設計します。

 

要は、魔法瓶を作ることで、維持費を非常に小さくします。

 

一方、断熱をよくすると、暖房時に空気中の水蒸気量が増え、それが原因で壁の中に結露が発生しやすくなり、耐久性に難が生じます。

 

それを防ぐために壁の中に「ベーパーバリア」という防湿膜を設置して内部結露を防止する必要が生じます。

 

これを怠ると大変なことになります。

 

夏の高温多湿期には、冷房を行いますが、断熱性能が良いので維持費は驚くほど低額です。

 

「太陽熱を最大限吸収し、逃がさない」がコンセプトです。

 

 

次にアクティヴ・ソーラーハウスの「アクティヴ」とは、英語の「active」です。

 

積極的という意味ですね。

 

熱を取り込む場合は、屋上などに集熱装置を置きます。

 

その熱を屋内に運び入れ、蓄熱装置に蓄えます。

 

蓄えた熱は屋内の放熱装置で放散させ暖房に用いたり、お風呂に用いたりします。

 

最近は、このような家が減りました。

 

太陽光発電に変わってきました。

 

電気は、使い勝手が良いですから、しかし、発電よりは、集熱の方が効率が良いのですが…。

 

 

シャープの太陽光発電技術は、私たちの共同研究が発祥かもしれません。