さて前回までのブログで良性腫瘍と良悪性の中間の腫瘍について示しました。これから本題の悪性腫瘍についてです。
漢字の「癌」というものをいろいろなところで目にすると思います。一方悪性腫瘍を専門にしている病院は現在は「がんセンター」と名付けられていることがほとんどですよね。東京築地にあるのは国立がんセンター、大阪にあるのは大阪国際がんセンターです。しかし東京のがん研有明病院は以前は癌研究会、略して癌研と言われていました。この「癌」と「がん」はどう違うのでしょうか?i
これは悪性腫瘍の分類により使い分けるものです。一般的によく見られる内臓に発生する悪性腫瘍は癌腫(carcinoma)と呼ばれます。胃に発生するものは胃癌、肺に発生すれば肺癌です。しかしそれ以外に主に内臓ではない部分つまり骨や筋肉、神経、血管、脂肪組織などに発生する「肉腫」というものがあります。また白血病のように固形ではなく血液に発生する悪性腫瘍もあります。また頻度は低いのですが脳に発生する悪性腫瘍(悪性脳腫瘍)もあります。これらを総合する表現が「がん」というわけです。以前は各地のがんセンターでは、内臓の癌を主に扱っていました。具体的には名古屋にある愛知県がんセンターは90年代前半までは整形外科がなく肉腫はほとんど取り扱っていなかったのです。近年ではほとんどのがんセンターで肉腫や血液癌、脳腫瘍なども治療するようになったので「がんセンター」となり有明の病院も癌研→がん研有明病院、となったわけです。
さてこのがんの共通した特徴として「転移」というものがあります。転移というのはもともと病気がある部分から、血管やリンパ管にがん細胞が侵入して、それを伝わって離れた部分にがん病巣を形成する現象を示す言葉です。より意味をはっきりさせるために遠隔転移と表現する場合もあります。リンパ管というのはメッシュ状の構造で複雑な形をしており、所どころにリンパ節と言う部分があります。このリンパ節というのは体内に入った細菌のような異物や、悪性腫瘍の細胞などを捕捉しストップする関所のような機能を持っています。がん細胞がリンパ管に入ってこのリンパ節に到達した場合、生体はそれをストップしようとします。このリンパ節をセンチネルリンパ節と呼びます。センチネルとは見張りという意味です。そういえば英検1級の勉強の時にこの単語が出てきました。しかしそこで止めきれないとにリンパ節の内部にがん病巣が成立します。これをリンパ節転移と呼びます。