リンパ組織には関所となるリンパ節があるので、このリンパ節転移は原発病巣の近傍に発生することがほとんどです。肺癌なら胸の奥(胸腔内)や鎖骨の上、胃癌ならおなかの中(腹腔内)、乳癌なら脇の下(腋下)に発生します。
しかし転移にはもう一つのパターンがあります。それは血行性転移です。癌細胞が血液中に侵入し、体中をめぐっているうちに、生着しやすいところに生着してがん病巣を作るものです。血管は全身の隅々まで張り巡らされており、その中を血液はすごい速さで流れているので、この血行性転移は全身のあらゆるところに発生することが厄介です。しかしながら血液の流れは方向性があり、そのため癌により生着しやすいところはあり、消化器に発生した場合はまず肝臓、そして次は肺に、肺癌ならまず脳に転移しやすいことが知られています。肝臓や肺、脳の中の血管は微細なナットワークを形成して細くなってしかも血流が停滞しやすい構造になっているので、この網に引っ掛かりやすいのでしょう。これらの内臓の転移は以前から問題にされており、通常抗がん剤治療はこれらの内臓転移を標的に行われます。
しかし血行性転移の中でも、骨転移は頻度が多く、患者差の生活の質(Quality of Life)に大きなインパクトを与えるにもかかわらず最近まで注目されていませんでした。今でも気にしていない医療従事者は少なくないでしょう。次回以降はこれに的を絞って話をすすめます。