前回のブログで抗がん剤は内臓にある病変をターゲットとして投与されることを述べました。いまだによくある事は、骨転移があっても化学療法を行っていればそれも抑えることができるあるいは治療効果が出る、と考えている内科医あるいは化学療法医がいることです。

確かに1部のがんでは実際に抗がん剤が内臓だけではなく骨転移にも効果を表している現象がみられます。具体的にはEGFR変異陽性の非小細胞肺がんに対してタグリッソのような分子標的薬を使用する場合です。ALK陽性に対するアレセンサも同様です。これらは90%以上の確率で特徴的な骨硬硬化を呈して骨の脆弱性が修復されます。その他にもホルモン陽性乳がんに対してホルモン治療を行う場合もこの脆弱性が回復する場合をしばしば目にします。しかしそれ以外の多くのがん、特に消化器癌では多くの場合内臓には効果があっても骨には化学療法の効果が及ばず、骨に対する治療の機会を逸してしまうと、骨折や脊髄損傷による下半身まひが発生してしまいます。

 ここ20年間の抗がん剤進歩が著しいため、担がん患者さんの生存期間は長期化し、かつ高齢化社会により数も増えています。しかし上述のように骨に抗がん剤が効きにくいため結果として患者さんは一般病院においても激増していると言っても過言ではありません。また転移発生後も長期に生存する患者さんを増えているので治療を要する症例が増えているスピードに医療が追いついていかない側面があります。