
古川真人「どうせ焼肉――九州男尊女卑考」(『文學界』2025年3月号所収)を読みました。
この小説には、古川作品ではお馴染み(だと思いますが…。)の(大村)浩と稔の兄弟の母、美穂の誕生日を焼肉屋で親戚を含めて総勢十一人でお祝いしている様子の描写と、作者による男尊女卑に関する考察が書かれているのですが、作者がインターネットの記事等も踏まえて男尊女卑について考察し、結論が出るかと思われたところで焼肉屋での(大村)美穂の誕生日のお祝いの様子の描写に戻ったり、またその逆の場合もあったりと、読んでいて本当に退屈しませんでした。
まあ、全体的に和気あいあいとした雰囲気に溢れている上、お祝いの席にいないはずの死者がいたり、途中で焼かれているホルモンが男性優位な内容の話をしはじめたりする場面がある時点で詰まらないはずはないなと思いましたが。
あと、僕自身は今までこんな形式(?)の小説を読んだ記憶がなかったので、(終盤は若干普通の小説だなと感じたとは言え)新しい形の小説を読んだなと思いました。
しかし、(大村)浩と稔の兄弟の物語はまだまだ続くのでしょうね…。