昭和12年8月15日から12月12日まで、日本海軍は、南京を空爆しました。
欧米で、この爆撃を批判的に報道をされてしまった、長谷川司令長官。
長谷川司令長官は、南京空爆を事前に警告することで、外交人の被害を、最小限に食い止めようとしました。
昭和12年(1937年)9月20日、上海の日本海軍第三艦隊司令長官の長谷川清海軍中将は、予定されていた南京爆撃について、南京在住の外国人に対して、次のような警告文を送りました。
「日本の軍事行動の目的は現在の戦闘状況を早期解決に導いいて、中国軍の敵対活動を終わらせることにあり、
そして南京は中国の軍事活動の主な拠点となっているので、日本海軍の爆撃機は9月21日の午後に爆撃という攻撃手段に訴えるかもしれない。
その攻撃目標は中国軍、および南京内外の軍事作戦と軍事行動に関係する全ての施設に向けられるであろう。
予定されている攻撃の間、友好的な列強諸国民の生命と財産の安全が十分に考慮されるであろうことは繰り返すまでもない。
しかしながら、そのような警告にもかかわらず、日中間の戦闘にそれらの諸国民が、危険な状態で巻き込まれるかもしれぬ可能性を考えると、
第三艦隊の最高司令官としては、南京内外に居住している職員や住民に対して、どうしても次のように忠告せざるを得ない。
より安全な地域へ、自発的に移動するための適切な手段をとるように、と。
揚子江での危険を避けたいと申し出ている外国の軍隊およびその他の船舶は、下三仙のもっと上流に停泊するように、との忠告を受けた」と。
この警告文は、日本軍の軍事行動を事前に明らかにしてしまったので、南京を守備している国民党軍からの猛反撃にあってしまい、日本軍は危険に晒されてしまうこととなりました。
しかし、それ以上に、南京にいる外国人の生命と財産に対する危険を最小限に食い止めようと思い、長谷川司令官は、事前に警告文を送ったのです。
日本海軍による南京空爆は、無差別爆撃ではなく、軍事施設と政府施設のみを狙った爆撃でした。
そうはいっても、実際、どんなに訓練を積んだ飛行士でも、誤爆の可能性もありますし、また、軍事施設に隣接している民間人に被害がおよぶ可能性も出てきてしまいます。
(実際、パネー号やレディーバード号の誤爆事件が起きました。)
そのために、事前に軍事機密であるはずの爆撃計画を、敵に知られる危険を冒してまでも、南京にいる外国人の生命と財産に対する危険を最小限に食い止めようと、長谷川中将は警告文を発行したのです。
しかし、長谷川中将の善意を踏みにじるように、欧米の新聞で報道されてしまいました。
昭和12年9月21日付 上海発 NYタイムズ
「日本が大都市としてのそして政府所在地としての南京を破壊し尽くし、この中国の10年に及ぶ首都の壮麗な新しい建造物を全て、灰にするつもりであることは、
長谷川中将の『敵に決定的な打撃を与え、それによって戦闘の終結を早めたいと願っている』という宣言によってはっきり示された。」と。
他の新聞各社も、次のような言葉を記事にして、批判的に報道しました。
「日本軍は、南京を破壊して地図の上から消し去ってしまう。」
「南京の全区域に空からの集中攻撃を行う」
「南院の無制限空爆」
「日本軍は、巨大な戦闘機編隊を本日集結。中国の首都であり、百万以上の人間の住む南京を破壊する目的である」
「日本軍、南京の完全破壊を望む」
「日本軍、中国の近代的な首都を完全破壊しようと決意」
など。
日本海軍は、上海や天津にあるいくつかの大学のキャンパスを攻撃しましたが、その理由は、その大学を国民党軍が軍事目的で使用していたためでした。
また、昭和12年12月13日、日本軍による南京城陥落に際し、松井中将は「孫文の墓である中山陵など文化施設において、決して砲撃しないこと」、というような命令を出しました。
そのおかげで、南京城内にある歴史的施設はそのまま破壊されずに残りました。
その一方、国民党軍の蒋介石はどのようなことを行なったのでしょうか?
蒋介石を始めとする将校達は、日本軍が南京に到着する前の12月7日に、南京から逃亡したので、現場の守備隊は指揮系統が乱れて、国民党軍による、略奪、暴行、破壊が横行することとなりました。
また、中国兵が逃亡する際、得意とする焦土作戦により、南京城内外の建物の多くは焼かれました。
山東省、済南では、日本人が純粋に科学的目的のために設立した、気象台を焼き払いました。
また、日中国民の福祉のために日本人が経営していた病院を略奪し尽くし、そのほとんどを破壊していきました。
日本人学校も焼き払いました。
青島では、日本人が経営する絹糸工場と綿糸工場の全てを、焼き払い破壊しました。
その被害総額は、3億円(昭和12年当時)に上ぼりました。
しかし、欧米の多くの新聞では、「日本軍による空爆により、多くの文化施設が破壊された」と、大々的に報道(プロパガンダ)されてしまいました。
参考図書
「シナ大陸の真相」カール・カワカミ著