遺骨は、お母さんに抱かれたい
陸軍伍長 河野宗爾 命
昭和19年12月16日
レイテ島西方海域にて戦死 享年23歳
「ご面会もできず、出発すること、何だか淋しい気持ちです。
ニッコリ笑って戦友に見送られて行きます。生還を期せずして出て行くにあたり、心から今までの御高恩を謝し、母上40年間のご苦労に、何等お報いできなかった事を深くお詫び申し上げます。
今、お別れするに当たり唯一の頼みは、どうか長生きせられて、私の遺骨はお母さんの胸に抱かれて無言の凱旋をすることが、私の願いであります。
決して、生きて還ると言う様な事は思って下さいますな。
それ程、今の日本は急迫しているのです。
静かにペンを執って書く時、何時となく涙ぐんでくる。母上のこれからの苦労を思えば泣けてまいります。
お笑い下さいますな。門徒の方にも、自分は元気で征った。命を国にささげる喜びを如実に体験せんとする自分の心は平静である。
宜しく、よろしく、皆さまにお伝え下さいませ。」
「英霊の言の葉」靖国神社