忠実は幸福の種子 〜 永田佐吉 | 子供と離れて暮らす親の心の悩みを軽くしたい

 

 

忠実は幸福の種子 〜 永田佐吉

 

美濃国竹の鼻に永田佐吉という人がいました。

 

9歳の時に紙屋何某の丁稚となるが、心がけのよい人でしたので、主人や番頭の言いつけを少しも背くことなく店の用やら勝手のことまで、まめまめしく立ち働きました。

 

夜は本を読み、字を習い少しの暇をも無駄にせず、首尾よく年期を勤め上げました。

 

家に帰ったあとは、老母を大事になし、小さな紙屋の店を開きましたが、間もなく、以前勤めた主人の店が商売の損失により、大きく落ちぶれてしまいました。

 

佐吉は、以前の恩と思って我が家の事は顧みずに、元主家の回復をはかり数年の辛苦を重ねてしばらく元の店に立ち返らせました。

 

佐吉は、家に戻って自分の商売を再開しますが、佐吉の忠実な商いが言い伝えられて、三里、五里ある遠方から、わざわざ佐吉の店へ買い物に来るような人が増えてきて、

 

店は大いに繁盛して、後には大層なる金持ちとなりました。

 

善い人には善い報いがあり、悪い人には悪い報いがあるものである。

 

父母や主人を大事にして正直に業を励めば、必ず神の助けを得て身の栄達を受けることができる。

 

(参考図書:「国民修身話」高橋光正著 明治25年(1892年)8月)