季語短歌24-5-13 | ひろちん。のエスキス

ひろちん。のエスキス

廣珍堂と同じひと

  先週 X(旧Twitter)で詠んだものです。一部推敲・詠み直ししています。

 1,  = 立夏(りっか) =

 塹壕はすでに立夏の汗となり衛生兵が見る切断部 


 2, = 鷹の塒入(たかのとやいり) =

 屋根裏に季節の熱の入り来れば艶まぶしける鷹の塒入 


 3, = あやめ =

 人垣はあやめを囲み高くあり老人の背は今日また縮む 


 4, = セル =

 料理屋の女将は今日はセルを着てはつかに冷える夜を微笑む 


 5, = 五月病(ごがつびょう) =

 ようやくに座席に座り五月病三つほど降りる駅を過ぎたり 


 6, = 花は葉に(はなははに) =

 細き道振り返るとき花は葉に我はとどまり土を見つめつ 


 7, = 麦の秋(むぎのあき) =

 駅前はうどん屋だけのふるさとのかはらぬままの色、麦の秋 



・セル:経糸・緯糸に細い梳毛糸を使って、平織りで織られた毛織物のこと。

・鷹の塒入(たかのとやいり):猟期の終わった鷹を鳥屋で飼うこと。