お客さんに納める車にカーステレオを取付中。
なかなかうまく動かない。
画面に表示が出ない。
出たと思えばキーが効かない。
困った。
こうでもない、ああでもないと夢中で作業していたら、いつの間にかセールスマンが入口に立っていた。
私に気づかれずに近寄るとは、大したもの。
例年にない暑さで、イライラしていた。カーステレオも素直に動いてくれない。
それに加えて、他人の接近をここまで許した自分に対する怒りが加わり、ジロっと睨みつける。
スーツをビシッと決め、両手で捧げ持った名刺入れの上に置かれた名刺を渡そうとするセールスマン。
まだ若い。20代前半といったところか。
カーステレオ修理のために前かがみの姿勢になっていた。
そこから身を起こし、相手に対峙する。
気に食わない相手に対してプレッシャーを掛ける時の姿勢。
本能的に危険を察知したセールスマンが一歩下がる。
明らかに腰が引けている。
「ご要件は?」
名刺を受け取らずに、ぶっきらぼうに尋ねる。
「NTTから来まして、御社の電話料金を低減するご提案で参りました。」
「うちはKDDIでまとめてるから、接点ないね。」
しどろもどろになりながらセールストークを展開するセールスマンに対し、
ぶっきらぼうにそう答え、お帰り頂いた。
よくよく考えると、セールスマンに落ち度はない。
ただ飛び込み営業で会社を訪れただけである。
悪いことしたかなーと思い、飲み物の一本でもあげようかと思ったが、もう姿は見えなくなっていた。
私は他人に対して、かなりの威圧感を与えるようだ。
これは商売人としてはマズい。
体格はもうどうしようもないから、他人に対しては笑顔で愛想良く接しよう、そう思った。