・・・つづき。
そして直会会場へ到着。
例年通り,畳敷きの広い会場に,10人は座れる卓が10数卓。
その中の一つに「B」と看板が立っている宅が。
どうやらB型専用の席らしい。
そのB卓に集まった面々を見ると・・・あ~なるほどね・・・確かに・・・という面々ばかり。
B卓,周囲の空気を全く気にすることなく,開始前から異常な盛り上がりを見せる。
乾杯に続いて,歓談。
途中で各大学,各道場の代表者スピーチ。
今年の挨拶,一計を案じ,最後から2番目が私,トリをのんぶ,の順番になるよう,梁さんにお願いしていた。
私が盛り上げ,のんぶで滑る。
これが私の狙いであった。
私のスピーチは,構想1ヶ月。
内容を練りに練り,練習に練習を重ねたものである。
伏線を張り,間を取り,オチをつける。
会場に集まった面々が笑い,感心し,私の存在を確かに記憶する。
そんなスピーチを目指していた。
のんぶが滑れば滑る程,私のスピーチが引き立つ。
それが狙いだった。
そして私の出番。
狙い通り,大いに盛り上がる私のスピーチ。
よしよし,ここまでは大成功。
次にのんぶが滑ればオッケー。
・・・のはずだった。
だがのんぶは滑らなかった。
ウケを狙ってはいない。
笑いを取ろうともしない。
それどころか,あらかじめ内容を考えてさえいなかっただろう。
だがウケる。
朴訥な語り口が,
宮沢賢治を彷彿とさせる東北弁が,
思わず突っ込んでイジリたくなる内容が,
なぜかウケのである。
大いにウケるのんぶのスピーチ。
たちまち忘れ去られる私のスピーチ。
大いに存在をアピールしたのんぶ。
存在感が薄れてしまった私。
はっきり言おう。
私の狙いは思いっきり外れた。
完全に私の負けだ。
だがな,のんぶ。
俺はオメーの露払いじゃねぇ。
俺を踏み台にするとは,許さん。
オメーは俺を怒らせた
今日この日が合氣道の元旦。
盛り上がった私のスピーチとは裏腹に,今年の元旦は順調とはとても言えない滑り出しとなった。
・・・つづく。