・・・つづき。
帰りの車の中。
この1年で埃のように積み重なったものが一気に消えた,そんな心境だった。
内田さんは言う。
「それがな,禊ぎなんだ」
・・・。
なるほど。
身から余計なものをそぎ落とす。
素の自分が残る。
確かに禊ぎである。
そっか。
俺は禊がれたくて毎年足を運んでいたんだな。
この1年で大胆な転職をした。
この1年で新たな道場を開いた。
この1年で親子関係が劇的に改善した。
この1年で・・・
この1年で・・・
ようやく降ろした荷物。
また新たに背負ったもの。
変わった自分。
変わった立場。
変わった価値観。
そんな自分を素直に受け止められるようになったから,殊更今年の禊ぎは効いたのかも知れない。
・・・
内田さん宅に到着。
仙台へ送る荷物をまとめる。テープで封をする。
「鈴木,ちょっと待て」
内田さんが焼酎とグイ呑みを詰めてくれた。
遠方から来た。
ただそれだけの理由で色々と気を遣ってくれる。
禊がれた心身に親切が染み入る。
「荷物にはまだ若干の空きがございます」
照れを隠しつつ言ってみる。
「新聞紙でも丸めて持ってくか?」
見事に切り返してくれる。
ハハハッと笑いながら,直会(なおらい)会場へと移動を開始した。
・・・つづく。