・・・つづき。
会場へ到着。すでにかなりボルテージが上がっている。
まだ稽古前なのに,もう汗だくの坂谷さん。
私も毎年参加しているから,流石に顔を覚えられたらしい。
道場に立てば,たちまち腕を掴まれる。
私には投げる義務がある。
私には掴む義務がある。
かつて岩間で内田さんと同じ空気を吸って稽古した,その実力を見せねばならない。
掴まれる。崩して投げる。
掴む。そう簡単には入らせない。
掴まれる。思いっきり投げる。
フルパワーで掴む。簡単には入らせない。
一人一人はさほどでもないのだが,
いかんせん人数が多すぎる。
だんだん消耗してくる。
掴まれる。力を抜いて投げる。
「力じゃねぇんだ,角度なんだ」
額に大汗を浮かべながら投げる。
まだ稽古前。燃え尽きる訳には行かない。
そして合同稽古開始。
100名が織りなす二拍手。
「鈴木っ」と呼ばれる。
「はいっ」と返事して飛び出し,その手を掴む。
今日,この瞬間が,私にとっての合気道の正月。
今,年が明けた。
「お願いしま~す」
の声と共に10名余りの学生が掴みに来る。
怒涛のごとき氣合いが道場を包み込む。
自分の氣合が聞こえない。
だから大声を出す。
技を繰り出す。
吼える。
掴む。
吼える。
鼓舞する。
吼える。
魂が震える。
こんなに吼える機会など,そうあるはずがない。
諸手のシャッフル2回。
壮大なフルーツバスケット。
気がつけば,目の前には先日結婚したばかりの吉方さんが。
「おめでとーございまーす」と言って掴む。
「ありがとーございまーす」と応えて投げてくれる。
内田さんが笑っている。
ものすごい熱気。100名全員岩間スタイル。
大先生,斎藤先生がニコニコしながら見てくれている,そんな気がした。
あっと言う間の1時間。
最後は諸手ですべてを出し切り,坐技呼吸法で〆。
もうちょっと稽古したい。
だが腹八分目でちょうどいい。
また来年来ようという気持ちになる。
二礼二拍手一礼して,稽古が終わった。
そしてそれぞれの昇段。
自分の師匠から免状を頂く。
あぁ,この光景,いいなぁと毎年思う。
私の昇段の光景と重なる。
私もさらに精進せねば,と素直に思う。
次は直会(なおらい)である。
まだ熱気ムンムンの会場を後にした。
坂谷さんを掴む。
坂谷さんに掴まれる。
引きも切らずに掴まれる。
後方で内田さんが目を光らせる。
投げる。
掴む。簡単には入らせない。
これも岡山恒例。
周囲の笑いを誘う。














