送信管316A/VT-191 アンプについて
------- 送信管の寿命って ??? ----------
真空管の寿命って・・・・どのくらいなのでしょうか?
一般的には5000時間位と言われますが、余裕のある軽い動作であれば10000時間位ともいわれています。
真空管には、傍熱管や直熱管、また、それぞれ規格があり、ヒーター(フィラメント)の電圧、電流も異なりますし、材質も異なります。
気になるのがトリエーテッド・タングステンの送信管です。衝撃に弱く切れやすいのですが、通常の使い方であれば、どのくらいの寿命があるのでしょうか・・・?全くわかりません。
そんな中、とても気になる送信管があります。ドアノブ管タイプの送信管316A(VT-191)です。

この形の変わった316A送信管、フィンは付いてるものの、直径がわずか3、4mm、長さも15mmあるかないか位の小さなプレートの球にも関わらず、最大プレート電圧(Ep)450V、最大プレート電流(Ip)90mA、最大プレート損失(Pd)は、何と30Wという、何とも恐ろしい?真空管です。フィラメントも2Vで3.65Aという大飯ぐらいです。点火すると光輝きます。
この真空管で、これまで3台のアンプを作った経験があり、1台だけ残してあります。

このアンプの回路図等、詳細は、こちらです。
下のアドレスをクリックすれば記事につながります。
この真空管は、フィラメントが電球のように光輝きます。

参考までに、このアンプの316Aの動作は・・・
Ep:375V
I p:33mA
Eg:-40V
RL:7KΩ
Pd:375V×33mA=12.4W
となっていて316A規格のPd:30Wと比較すると約40%
位の非常に軽い動作で設計したアンプです。
しかし、アンプを作った経験ではプレート損失(Pd)が
15W以上になるとプレートが赤い色になります。これで大丈夫だろうかと心配になります。ある本では、オレンジ色に輝いていても大丈夫・・・と書いてあったのですが・・・
実は、もっと気になるのが、この316A
(VT-191) の元箱の表示です。

箱の下には「GURANTEED LIFE 50 HOURS」と印刷があります。この意味はどう解釈すればよいのでしょうか・・・
たぶん「保証する真空管の寿命は50時間です」という意味だと思うのですが・・・違いますか~?・・・ということは、この真空管の寿命の目安は50時間ということでしょうか・・・
私の勝手な解釈ですが、この球は軍用の送信管であり、おそらく最大定格に近い動作での送信機などに使用され、機器の保守管理のために50時間使用したら、切れていなくても新しい球に交換しなければならないような、言わば「使い捨て」に近い球だったのかな~と考えるようになりました。
そう思って球を良く見ると、プレートの溶接部分は球によって、かなり異なり少し雑なようにも見えます。
しかも、この真空管のバラツキが多いのには閉口します。特性のバラツキの他、たとえプレート電圧、電流、バイアス電圧が揃っていても、球によってはハムが大きくて使い物になりません。特性が揃っているからと言って安心は出来ません。
従って、316Aアンプは、見た目も面白く、音も送信管らしい艶やかな音がしますが、これらの理由でアンプとしては、個人的に、お薦めしません。
そんな事を考えると、この自作したアンプも軽い動作とはいっても、寿命が短いのでは・・・心配です。
この真空管を使ったメーカー製のアンプを見たことがありますが、価格も多分20万円以上? だったような・・・
どのような高電圧で動作しているのか、プレートは赤色やオレンジ色に灼熱して音をだしているアンプなのか全くわかりませんが、購入された方のアンプの寿命が少しだけ心配になりました。
では、今日は、このへんで・・・・HIROちゃんでした。