■316A(VT-191)送信管アンプの製作 その4
最終回 ・・・・最終調整後の回路等の解説
追加投稿:記事及び回路図に誤りがあり、修正しました。
316Aフイラメント用シリーズ抵抗値
誤:1.5Ω(3Ω・パラ)
正:0.15Ω(0.3Ω・パラ)
追加投稿:電源部の拡大写真を追加しました。
昨日完成した316A(VT-191)アンプの最終調整を行いました。今回のアンプは前作のロフチン・ホワイト・アンプが20年以上経過し、古くなったために回路を変えて、新たに作ったものです。シャーシ加工と配線作業で2日間で完成しました。電源トランスや出力トランスは、旧作の物を流用しましたが、電源トランスのB電流が80mAまでしかとれないので、充分に316Aを生かしきれなかったのが残念ですが、それでも満足のいくアンプに仕上がりました。

電圧計があったので取りつけてみましたが・・・少し大きすぎてあまり格好が良くありません。。。。

・・・・・・ ※この写真は昨日、投稿したものと同じ写真です。・・・・・・
いつ見てもトリエーテッド・タングステンの光輝く姿には魅力があります。
また316Aのドアノブ管もUFO見たいな雰囲気もあり、とても魅力があります。前作よりは少しカッコ良く出来たかな・・・・

・・・・・・ ※この写真は昨日、投稿したものと同じ写真です。・・・・・・
最終調整前に撮影したもので、電圧計の電圧(バイアス電圧)は低く示しています。電圧計は1個なので右、左の電圧は切替スイッチで確認します。
次の写真は配線の状態です・・・・・あまり見せたくありませんが・・・

配線の様子です。真空管の接続を確認しただけで、あとは簡単なアンプなので、回路図も頭の中・・・何も見ないで一気に配線作業をしました。
あまり綺麗な配線とは言えませんね。

電源部だけでシャーシの半分を占めています。2.5V/6Aという316A用のヒーター・トランスが2個、入っています。(ヒーター・トランス2個はシャーシに裏付けですが、最初の2枚の写真でも分かるようにアンプ表のシャーシにはヒーター・トランス止めのネジの頭は全く見えないように取り付けてあります。片側はケミコンの片側と止め、もう片側はチョーク・トランスで見えないように止めました。出来るだけ関係のない所にネジ穴を開けないようにしています。ですから私は基本的にはラグ板は真空管のソケットと一緒に止めます。平ラグは使いません。

抵抗、コンデンサ類は、ほとんど家にあったありあわせの物を使用したのでW数が大きかったり、耐圧も大きいコンデンサも使っています。
コンデンサは全て中古品。カップリング・コンデンサはEROの中古品。壊した別のアンプから取り出したものでリード線が短く取り付けるのに苦労しました。(このEROのコンデンサはカップリング・コンとして使用するとクリアーな音でご機嫌です。。。。。)
■使用部品について
ほとんどが前作のアンプを壊して取り出した物。新たに購入したものは316A用の真空管ソケットとハムバランサー用のボリュームだけです。シャーシは奥澤製の買い置きのストック品、コンデンサ、抵抗は全て家にあったあり合わせの物を使用しました。そのため抵抗のW数が大きかったり、コンデンサの耐圧が大きかったり・・・大は小を兼ねる・・で利用しました。真空管の316Aは、前作に使用していた自分で選別した2本をそのまま使用。ドライブ管の6HQ5はジャンク品として購入した新品のストック品を使用しました。
なお、最初の写真のようにドライブ管にシールドケースを使用していますが、シールドの必要はありません。たまたま持ち合わせの7ピンMTソケットが、普通のソケットよりシールドケース付のストックの持ち合わせが多かったので使用したまでです。
■回路について
最初に回路図をしめします。簡単なCR結合ですが、ドライブ管の定数が少し通常の回路定数と異なります。(特にカソード抵抗値とプレート抵抗値が異なります・・解説参照)
※追加投稿:回路図の抵抗値の書き間違いがあり訂正しました。

このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
・電源部について
電源部は、本当ならば316Aを生かしきるためにも350V、150mA位の電源トランスを使用したかったのですが、壊した前作のトランスをそのまま再利用しました。
316Aのフィラメントは、2Vと低電圧ですが電流が3.65Aと大飯食らいです。そのため2.5V/6Aというヒーター・トランスを2個使用し、0.15Ωをシリーズに入れて2Vとしました。
・ドライブ管6HQ5と代替え球について
(ドライブ回路の定数)
前作はロフチン・ホワイト回路でしたが、今回は普通のCR結合としました。但し普通の12AX7などのオーディオ管によるドライブでは面白くありません。今回は、テレビ用の高周波管6HQ5を使用しました。
6HQ5は、7ピンのMT管でオーディオ管ではなく、VHF増幅用のテレビ管ですが、高増幅率(μ=78)でありながらプレート抵抗(rp)が低いのが特徴。低電圧で電流がかなり流れます。そのため、このアンプの回路ではプレート抵抗は20KΩ、カソード抵抗は200Ωと低くしました。この時のIp(プレート電流)は4mAで同じ高μ管の12AX7や12AT7などに比べて多く電流を流しています。カソード抵抗を100Ω位にすると10mA近くになり、音にも厚みが出ます?・・が、電源トランスに余裕が無いので、4mAとしました。

なお、6HQ5の代わりにピン接続が同じ類似管の6HA5を定数を変えないで、そのまま挿しかえる事が出来ます。ヒーター規格の異なる2HA5、3HA5はジャンク品で多く持っているのですが、私は6HA5の持ち合わせがありません。類似管ですが6HA5は6HQ5より小さいカワイイ球です。(写真参照・・6HA5の代わりに2HA5で撮影。左が6HQ5、右が6HA5(2HA5)です)
いつも書くように、このようなジャンク品のようなテレビ管は大いに利用すべき。それがアマチュアの良い所・・・ノイズなど全く出ません。VHF増幅用でもアンプの電圧増幅用に充分使用できます。(ただし、オーディオ管や真空管のメーカー等に拘るマニアの方は、使用しないで、どうぞ、お高い欧州管などをお使いください)
なお、この6HQ5や6HA5の代わりに、これまた類似管の6GK5や6FQ5も同じ定数で使用出来ますが、今回の6HQ5や6HA5とピン接続が異なりますので、そのまま挿し換えは出来ませんが、6GK5と6FQ5は同じ接続です。
これらの真空管はテレビ用のジャンク品として探せばあるはずです。もし新品があってもかなり安価なはず?です。
ただし、私はこれまでの経験だけの知識ですので、これらのテレビ用真空管の使用をお薦めしているわけではありません。これらの真空管をアンプとして使用される場合には、真空管の規格をご自分で確認し、自己責任において設計し、使って下さい。
・316Aの動作
今回のアンプは前記のように電源トランスの容量(80mA)に制限があったので、総電流を80mA以下にしなければなりません。最終的には総電流は約75mAとなり、少し時間が経つと電源トランスが熱くなりますが、規格内なので大丈夫です。
316Aの動作は自己バイアス
Ep:375V(415V-40V)
I p:33mA
Eg:-40V
RL:7KΩ
Pd:375V×33mA=12.4W
となっています。やはり電源トランスに余裕のある物を使用すれば良かったと思っています。なお、今回はハムバランサーを付けましたが、結果的には、ほとんど効果はありません。低電圧なので抵抗2本の中点からで充分でした。
■試聴結果
まだ良く聴きこんでいませんが、最初の完成時には電源トランスのB電源タップも260VからでEp:約300V、Ip:35mA Eg:-22V といった動作でしたがタップを350Vに変更、316AのRkを1.2KΩとし、またドライブ管のプレート電圧も調整し、前述の最終的な動作としました。
たったこれだけの変更で出力もかなり大きくなり、音もかなり変化し、艶やかさが増し、低域から高域までバランスの良い音に仕上がりました。
送信管らしい音です。何度も言うように電源トランスに余裕があればもっと良い結果が得られたように思いましたが、今回は前作のリメークと思えば、上出来のアンプになりました。
それにしても前回追加投稿したように316Aのバラツキや不良品の多さには閉口・・・
12本のうち使用出来るのはたった4本だけです。まあ貴重な真空管ですから大切に使用しましょう。そのためにも今回のような軽い動作のアンプも悪くないかも知れません。
おわりに・・・・
ここしばらくは大学の授業の関係もあり、あまり暇もありません(作ればありますが・・・暇は自分で作るもの・・・・)アンプ作りは少しお休みかもしれません・・・
でも次のアンプの計画だけは・・・
次回は出力管を使用したトランス出力のライン・コントロール・アンプを製作予定です。部品は結構持ち合わせがありますが・・・シャシーか、アンプケースがありません。またライン出力用のトランスはタムラ製がありますが電源トランスの持ち合わせがありません。これらは購入するしかありません。
まあ、その間にミニ・アンプ位は作るかも・・・・
【関連参考記事】
■6HQ5/6HA5/6GK5/6FQ5について(ジャンク・コーナー真空管編10)
■316Aアンプの製作 その1
(使用部品等の紹介と前回製作の316Aロフチン・ホワイト・アンプの
紹介、及び8012A(VT-228)送信管アンプの紹介)
■316Aアンプの製作 その2
(シャーシ加工とサイドウッドの取り付け)
■316Aアンプの製作 その3
(とりあえず完成・・・調整・・・316Aのバラツキなどについて
※この書庫内には 「8012A(VT-228)送信管
アンプ」 の記事があります。
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では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした。