こんにちは。アーキセンスです。
最近、芸能人の実家じまいが大きな話題となりました。
話を聞き、「我が家もそろそろ話をしないといけないな」と思った方もおられるのではないかと思います。
名義変更や相続、聞いたことはあるけれど、実際どんな内容なのかよく分からない方へ、
今回はその概要をお話したいと思います。
期限が設けられた手続きもあり、気づかずに放置をすると、損をしてしまうことも。
少し難しい話題とはなりますが、まずは、知ることからはじめましょう。
名義とは?
名義人とは、所有者となる人を言います。
つまり、土地の名義・家の名義を得るということは、そのものに対し、あらゆる責任を持つということ。
財産が手に入ると同時に、あらゆる義務が生じる、ということでもあります。
固定資産税の支払いや、適切なメンテナンスを行い、
その土地家屋が要因となった迷惑ごとが近隣住民に生じないようにする等、
気に掛けておくべきことは決して少なくありません。
ところで、実家の土地や家の名義が誰になっているのか、ご存じですか?
【父親】【母親】【父母の共有名義】などのパターンが考えられますが、
共有名義の場合、少々手続きが複雑になることがあり、注意が必要となったりするので、
まずは確認しておいて欲しいと思います。(共有名義については後述します)
実家の名義変更は、将来、必ず発生するものなのですから。
ご家庭の状況やご事情により聞きづらい場合には、法務局で登記簿を取得しましょう。
登記簿は一般公開されている情報ですから、誰でも取得し、内容を確認することが可能です。
典型事例で考える
実家の土地や家の名義変更は、そうそう起こるものではありません。
というのも、名義変更とは相続であり、そこには決して安くはない相続税が発生してしまうからです。
つまり、“元々の所有者(名義人)が亡くなった”というタイミングが、
名義変更の典型的なパターンだと言えるでしょう。
そこで今回は、その典型事例を参考に、考えていきたいと思います。
父親が亡くなり、母と子が相続人となる場合
実家の土地や家の名義が父親である場合、亡くなると、その名義変更を行わなければなりません。
母と子が遺されれば、一般的には母が名義人となるはずで、異を唱える人も出てきにくいパターンとなります。
しかし、実は、以下のような問題点が含まれていることを知っておきましょう。
母が認知症になってしまったら・・・
父親と母親の年齢が近く、事故などでなく、老衰で父親が亡くなった場合、
母親も高齢となっていることでしょう。
すると、懸念されるのが、母親の認知能力の低下です。
母親が、医療機関から“認知症”だと診断されてしまったとします。
すると、法律行為が行えないと言うこと。
これはつまり、実家に関するあらゆる手続きが行えないという事態。
例え、「母を施設に入れたい」「高額な医療費を捻出したい」など
母のためのお金を捻出するためであったとしても、
実家を売却してお金を工面することできません。
「母はまだ元気だから」と思うかもしれません。
しかし、いつ何時、発症するか分からないのが病です。
ご高齢であるなら、万が一を考え、
名義人を母ではなく子にしておくという方法もアリだと言うことを、知っておいて欲しいのです。
相続手続きと費用が倍額に・・・
父親が亡くなり、母親を名義人とした場合、
相続登記のために『司法書士報酬+登録免許税+必要書類の取得費用』がかかります。
これは、必要経費。
そしてその後、母親が亡くなると、子を名義人とした相続登記が行われます。
もちろんその場合も、『司法書士報酬+登録免許税+必要書類の取得費用』が必要となります。
当然のことですが、この費用が痛い出費となることは間違いありません。
とはいえ、「出費がかさむから、手続きを一回で済ませよう」という意見に対し、
気持ちよく「そうだね」と答える者ばかりではないことも確かです。
心情もあり、合理的・事務的に考えることは難しい問題ですよね。
ご家族間での相談ありきにはなってしまいますが、
【先々のことを考えると1回で済ませた方が金銭的負担が軽い】という事実は知っておいて損ではありません。
最終的には、母親の気持ちを優先に
子どもの立場で言えば、合理的に考え、手間もお金もかからない方がベターであるのはたしか。
母親も同様に考えてくれていれば、それに越したことはありません。
しかし実際には、自分を飛び越えての相続に不安を感じる方も多いと言います。
「ないがしろにされているのではないか」と感じさせるようなことは避けなければいけませんよね。
母親にとって『家』とは、ただ単に“住む所”というだけの物ではありません。
住む場所であると同時に、“ご主人や子ども達との思い出が残る場所”でもあります。
その思い入れは大きくて当然です。
母親の感情を理解し、話し合い、可能であれば上記のような考え方もあるのだと知って頂く。
その上で、ご家族にとって、最善の方法を探していって欲しいと思います。