旅行に行く気にはなれず、かといって 家でじっとしているのも退屈なので、比較的 安心な 熊本市内に 映画を見に行くことにする。
中心街には 昔は 数軒の 映画館 が あったけど、今は 一軒しか残っていない。
個性的な ちいさな映画館。
ちょうど 一年前、吉本由美さん と 映画を観る会
で、小津監督の「お早よう」を 見た映画館です。
観たい映画 が あったわけではありません。
「久しぶりに映画でも観にいこうかなあ。」
と思ったら Denkikan しか思いつかなかった。
祝日に 人で溢れかえっているショッピングモールの シネコン で 映画を観ることは 全く考えない。
東京にいる頃 よく行っていた 池袋「文芸座」と、
神保町「岩波ホール」の いいとこ取りをしたような、場末感 と 知的な雰囲気 の どちらも兼ね備えた素敵な映画館。
ホームページを見てみたら、真っ赤な傘に心引かれ、すぐに
「これにしよう!」
と思った。
よく見てみたら
ウッディアレン監督の作品でした。
ウッディアレン…まだ生きていたんだ!(失礼)
ウッディアレン、といえば、
「アニーホール」「マンハッタン」「インテリア」
古い日本映画 か ヨーロッパ映画 しか 観ないわたしだけれど、ウッディアレン作品だけは 若い頃よく見ていた。
今朝は 20分ほど リモートで カウンセリングを受けたあと すぐに熊本へ出発した。
Denkikan は 二階。
60歳だから 1200円で観られるの。
チケットを買って 隣の 喫茶コーナーで アイスコーヒーを買って ブログ に 載せようと ポスターの貼られた看板を写そうとしていたら 喫茶コーナーにいたお兄さんが
「フライヤー、あげましょうか」
と、チラシをくれた。
「パンデミック前のニューヨークの街が楽しめますよ。」
どこまでもアットホームな映画館だ。
ホールに入ったのは15分前。
誰もいない。
100席弱 の ホール の 前から三番目、ど真ん中に座る。
ウッディアレンらしい、シニカルなコメディでした。
「セロリ」の 歌詞じゃないけれど
育ってきた環境が違う と いうことは こういうことか。
大学生のカップル、ギャツビーとアシュレー。
ギャツビーは 生粋のニューヨーカー。
アシュレーはアリゾナ州トゥーサンの出身。
トゥーサン!
これだ! Tucson!
いかん、いかん、
頭の中で しばらく
バー、ガー、クウィーン、
が鳴り響いてた!
大学の新聞部に在籍していてジャーナリスト志望の彼女、不本意な田舎の大学に在籍していてギャンブル以外興味を持っていない彼。
「愛しあっている」と 思いながら 最初から 会話の噛み合わないふたり。
しだいにずれていく二人の関係が、雨を通して描かれていて、面白いなあと思った。
詳しくは言わないけれど。
ニューヨーカーは、多少の雨では傘をささないという。
熊本県民もね、ささないのよ。
街中を歩いていて 雨が降ってきて真っ先に傘を広げるのはわたしだもの。
かなり降ってきても、濡れながら歩く人が多いのよ。
育ってきた環境…大事な要素だよな。
うちは ニューヨークとアリゾナ ではないけれど、 東京 と 熊本 だしね。
ま、そういうことね。