「微笑みの国」では先に微笑もう!〜バンコクのフリーペーパー、情報誌WOM Bangkokより〜 | 帰ってきた hirokimonon 〜南国10年からの本帰国4度目の結婚生活と着物のこと〜

帰ってきた hirokimonon 〜南国10年からの本帰国4度目の結婚生活と着物のこと〜

4度結婚したオンナの、「幸せ」の追求と日々。
5年間のタイ、バンコク生活から2018年末に台湾、台北に移住し、5年。
日常着として「着物」を愛用、旅行含め「着物」に関するあれこれを綴ってきました。
2024年日本を拠点に再出発

(このコラムは2018年7月に執筆、WOM08月号に掲載されたものです)



日本人はとかく、
「日本すごい!」「日本人偉い!」が好きである。

愛国心があるのは良い事だし、 母国を褒められるのは嬉しいものだ。



確かにおもてなし、という言葉の通り、丁寧な接客や対 応は日本独特の誇れるものなのかもしれない...。

が、その過剰なまでのサービスやマニュア ルに従う姿勢は本当の意味での、おもてなしなのだろうか?





日本には「お客様は神様である」という、その本意が歪められて伝わり、広まってしまった言葉がある。



元浪曲師であり、演歌歌手の三波春夫が1961年ごろに、宮尾たか志との対談の間 で生まれた言葉だ。

本来の意味とは「お客様を神様と捉える、そうすることで芸に磨きをかけ、心の雑念を払い最高の芸を見せることができるというもの。

決して無条件にお客様を崇 め奉るという意味で用いてはいないのだ。


ところが、言葉だけが一人歩きし、今では「お客様」はサービスを受ける事はもはや当たり前となった。


接客に対して、日本に居たらあまり感じなかった事を、ここタイに住むようになって考えるようになった。


というのも、全てがそうだとは言わないが、比較的無愛想な態度や自分の事を優先 させている接客業の人が多い。


「微笑みの国」ではなかったのか?!とツッコミたくなることも 多々ある。

またはお店側のミスや期限を守らなかった場合の満面の笑顔での「マイペンライ」 には、「その台詞を言うのはこっちだ!」と思った事も...。



だが逆に、何度か日本人客がタイ人従業員に対して、横柄な態度を取っていたり、「お客様然 と扱え」的な態度を目にした際に嫌な気分になった事もある。

タイに来ている日本人は、例えば社長さんとか、雇い主の立場で、タイの人を教育しながらお仕事を提供する側の人も多いから、威圧的だったり、その立場でタイ人を見ているのかもしれない。


だが、客と従業員はど ちらが上でも下でもなく、お互いリスペクトすべき人と人である。

サービスは提供されて当たり前だ、というような態度を取る人が、特に無愛想な態度を取られている事の方が多いのも良く 目にしてきた。

結局は自分の態度の合わせ鏡のようなものなのではないだろうか?!






私はタイで、無愛想な従業員が微笑むまで、様々なアプローチをし、何度も勝利してきた。 (笑)

大抵、こちらから微笑みかければ、相手も微笑み返してくれるのだ。

たまに、手強い相手 もいる事はいるが、「サービスを受けさせてもらう」というこちら側の感謝の姿勢と、こちら側に笑顔があれば、相手は良いサービスと、いい笑顔を返してくれるものだ。


働く人は機械じゃない、機嫌の良し悪しもあるだろう。

タイに見る自由すぎる接客業のやり方は、自分の心を殺したまま
言葉や上っ面だけマニュアル通りな対応より、ずっと人間らしいと思ったりもする。



特にここは日本ではない。



 「微笑みの国」なんだから、微笑まれて当然、というお客様には特に先に教えておきたい事だ。