Avivaスタジアムのプレスルームに掲げられた古のスタジア
ムの写真。歴史は1つ1つ積み上げられ、語り継がれている
原則は〝旅日記〟の体裁なのでラグビーには極力触れないのだが、今回はこの町とラグビーについて。「母国」イングランドを起源に〝征服地〟ウェールズ、スコットランドにも広まった楕円球だが、いわゆる「4か国対抗」の中で長らくぱっとしなかったアイルランド。1991年ワールドカップで日本に若干いい試合をされたのもこの国だった。
だが、実際にレンスターの中枢ダブリンを歩くと、ここがロンドンともトゥールーズともオークランドとも異なるラグビーの町であり、国の首都だと感じさせる。
③でも紹介したエアポート・パブも、敢えて旧ナショナルスタジアムを名乗り、町中には選手たちを使った広告を見つけるのはそう難しくない。日本戦で怪我から復帰するスキッパーのNo8ケーラン・ドリスやサモアからやって来たCTBバンディ・アキがアイルランドの国民的なヒーローなのが判る。
▼どの街角でも目にするエメラルドグリーンの男たち。日
本にはない、この町での彼らのプレゼンスが感じ取れる
で、いよいよランスダウン…否アビバスタジアム。皮肉なことに何度も侵略し、ベルファストでは血なまぐさい戦いを続けてきた隣国の保険会社がパトロンだが、何度かの栄光と多くの屈辱をアイルランド国民が共有してきたナショナルスタジアム「LANSDOWN ROAD」の建っていた土地に2010年にオープンした最新鋭の部類に入る観衆50000+を収容する巨大フットボールスタジアムだ。
丁度、選手宿舎がダウンタウンからランズダウンロード駅を通過して向かうルートのため、現地月曜日(3日)のホテルでの取材の帰りに、敢えて当駅で下車。スタジアムの様子を見ながら、1時間ほどふらふらと徒歩で町中へ歩いてみた。
▲5万人を飲み込む巨大スタジアムの目の前にしては驚く程ささやかな駅舎
▲ダブリンを南北に貫く幹線電車DART。色も含
めてダブリンの山手線だが、こちらは環状はなし
スタジアムは何度も映像で見た通りだが、周囲が民家(2階、3階建て)なので、その威容さがさらに印象付けられる。アイルランド協会も間近のため、一本道を5分も歩けばアクセスできるのは、協会がナショナルスタジアム隣の土地を引き払った某国メディアには羨ましい限りだ。
協会で取材パスを受け取りスタジアムへ向かうが、メディアアクセスが少々難しい。メインゲート風の入り口は、どうやらVIPクラス専用の模様。「ここはメディアは入れないよ。ドアを出て右に行って、その道を右だよ」と言われるが、随分遠回りに歩かされる。言葉で説明しても分かりづらいが、一度スタジアムを離れるように車通りを進み、住宅街を回り込むようにして他の路地から再びスタジアムに近づくと、どうやらアイルランドメディアらしき面々が集まっているエリアに辿り着いた。
住宅地の中で結構敷地一杯まで作られているために、スタジアムを周回するような道やスペースがないことも影響しているようだが、がっちりロックされた巨大な鉄門さえ開ければもっとプレスルームへ便利なアクセスが出来る。そいう遠回りを強いるのはヨーロッパならでは、一言で表現すれば理不尽さのように感じてならない。
旧スタジアム時代から有名だったスタンド横づけの駅舎は、現行の巨大な器から1本車道を隔てた位置になっているが、その距離は直線で100mないほどの距離。駅舎は驚くほど細やかな作りだ。そして、スタジアムの下をトンネルのような形で電車が通るのは、往年のオマージュのようでオールドファンにはなんだか嬉しい限りだ。
▲左下がトンネル状の線路。この先がダブリンダウンタウン
▲大切なのはピッチからそのまませり上がるスタン
ド形状。フットボール、とりわけラグビーはこうい
うスタジアムで見せないと! ちゃんと見てる? JRFU
古きランズダウン時代の面影は皆無の最新鋭のスタジアムだが、メディア用の施設は新しければ新しいほど利便性は高い。プレスルーム(ワーキングルーム)、フォトルーム、そして会見場は1箇所に集約されているため移動の煩雑さがない。カーディフでは、会見場へ行くのに巨大なスタジアムを半周歩かされことを考えれば、桁違いの利便性を備えたスタジアムだ。余談ではあるが、アイルランド代表が10:00から、日本が14:00からの練習ということで、メディア用に用意されていた軽食のクロワッサンは、所謂〝メディアめし〟としてはかなりのクオリティーではあった。
▲ファンには見えないスタンド下の、チーム、関係者が通る導線にはこんな写真
とメッセージが!自分たちの価値を自分たちでしっかり認識して継承している
ここまで楕円ネタを絵日記したので、ジャパンの練習施設にも触れておこう。これ、チームが使用していた期間は、名称やロケーションは非公開のため詳細に触れられなかった案件だが、試合3日前(水曜日)の練習で撤収しているので公開(公表)OKというタイミングでもあった。
▲門構えから最高▼そしてクラブハウスのバーテラスから臨むグラウンド
練習会場は「Old Belvedere」というクラブの施設。なかなかクラシカルなクラブハウスに芝3面のグラウンドが基本構造。ダブリン生まれで元神戸製鋼のマーク・イーガンによると、有名な代表選手も輩出するなかなかの名門チームだという。資料だとクラブ設立は1918-9年。日本戦でベンチに入る主力メンバーのNo8ジャック・コナンら21人のテストプレーヤーを輩出しているという。ダブリン中心地から路線バスで20分ほど。あまり詳細には触れずにSNS等ではチラ見せしていたが、これぞラグビークラブというなんとも趣のある施設。こういう文化がしっかりと継承されているだけで羨ましくもある。
クラブハウスには、チームの選手が寄贈した代表ジャージーが飾られているが、かなり古いものも多く、このクラブの歴史に思いを馳せる。日本人を母親に持つ選手兼広報くんがるのだが、「確か日本のジャージーも飾られているはず」と話していたにも関わらず、どこにもない。少し助け舟を出して「練習させてもらったから、チームが寄贈してくれるんじゃない」と話したが、丁度居合わせた永友洋司GMが、メンバーサイン入りのジャージーを提供してくれた。おそらく、週明けにでも、あの〝栄光のコレクション〟の中に桜のジャージーも飾られることになるだろう。もしかしたら、土曜のスコア次第かも知れないが…。





































