Avivaスタジアムのプレスルームに掲げられた古のスタジア

ムの写真。歴史は1つ1つ積み上げられ、語り継がれている

 

 

原則は〝旅日記〟の体裁なのでラグビーには極力触れないのだが、今回はこの町とラグビーについて。「母国」イングランドを起源に〝征服地〟ウェールズ、スコットランドにも広まった楕円球だが、いわゆる「4か国対抗」の中で長らくぱっとしなかったアイルランド。1991年ワールドカップで日本に若干いい試合をされたのもこの国だった。

 

だが、実際にレンスターの中枢ダブリンを歩くと、ここがロンドンともトゥールーズともオークランドとも異なるラグビーの町であり、国の首都だと感じさせる。

 

③でも紹介したエアポート・パブも、敢えて旧ナショナルスタジアムを名乗り、町中には選手たちを使った広告を見つけるのはそう難しくない。日本戦で怪我から復帰するスキッパーのNo8ケーラン・ドリスやサモアからやって来たCTBバンディ・アキがアイルランドの国民的なヒーローなのが判る。

 

 

▼どの街角でも目にするエメラルドグリーンの男たち。

本にはない、この町での彼らのプレゼンスが感じ取れる

 

 

 

 

で、いよいよランスダウン…否アビバスタジアム。皮肉なことに何度も侵略し、ベルファストでは血なまぐさい戦いを続けてきた隣国の保険会社がパトロンだが、何度かの栄光と多くの屈辱をアイルランド国民が共有してきたナショナルスタジアム「LANSDOWN ROAD」の建っていた土地に2010年にオープンした最新鋭の部類に入る観衆50000+を収容する巨大フットボールスタジアムだ。

 

 

 

 

丁度、選手宿舎がダウンタウンからランズダウンロード駅を通過して向かうルートのため、現地月曜日(3日)のホテルでの取材の帰りに、敢えて当駅で下車。スタジアムの様子を見ながら、1時間ほどふらふらと徒歩で町中へ歩いてみた。

 

 

▲5万人を飲み込む巨大スタジアムの目の前にしては驚く程ささやかな駅舎

 

 

▲ダブリンを南北に貫く幹線電車DART。色も含

てダブリンの山手線だが、こちらは環状はなし

 

 

スタジアムは何度も映像で見た通りだが、周囲が民家(2階、3階建て)なので、その威容さがさらに印象付けられる。アイルランド協会も間近のため、一本道を5分も歩けばアクセスできるのは、協会がナショナルスタジアム隣の土地を引き払った某国メディアには羨ましい限りだ。

 

 

 

 

 

 

協会で取材パスを受け取りスタジアムへ向かうが、メディアアクセスが少々難しい。メインゲート風の入り口は、どうやらVIPクラス専用の模様。「ここはメディアは入れないよ。ドアを出て右に行って、その道を右だよ」と言われるが、随分遠回りに歩かされる。言葉で説明しても分かりづらいが、一度スタジアムを離れるように車通りを進み、住宅街を回り込むようにして他の路地から再びスタジアムに近づくと、どうやらアイルランドメディアらしき面々が集まっているエリアに辿り着いた。

 

住宅地の中で結構敷地一杯まで作られているために、スタジアムを周回するような道やスペースがないことも影響しているようだが、がっちりロックされた巨大な鉄門さえ開ければもっとプレスルームへ便利なアクセスが出来る。そいう遠回りを強いるのはヨーロッパならでは、一言で表現すれば理不尽さのように感じてならない。

 

旧スタジアム時代から有名だったスタンド横づけの駅舎は、現行の巨大な器から1本車道を隔てた位置になっているが、その距離は直線で100mないほどの距離。駅舎は驚くほど細やかな作りだ。そして、スタジアムの下をトンネルのような形で電車が通るのは、往年のオマージュのようでオールドファンにはなんだか嬉しい限りだ。

 

 

▲左下がトンネル状の線路。この先がダブリンダウンタウン

 

 

▲大切なのはピッチからそのまませり上がるスタ

形状。フットボール、とりわけラグビーはこう

スタアムで見せないと! ちゃんと見てる? JRFU

 

 

古きランズダウン時代の面影は皆無の最新鋭のスタジアムだが、メディア用の施設は新しければ新しいほど利便性は高い。プレスルーム(ワーキングルーム)、フォトルーム、そして会見場は1箇所に集約されているため移動の煩雑さがない。カーディフでは、会見場へ行くのに巨大なスタジアムを半周歩かされことを考えれば、桁違いの利便性を備えたスタジアムだ。余談ではあるが、アイルランド代表が10:00から、日本が14:00からの練習ということで、メディア用に用意されていた軽食のクロワッサンは、所謂〝メディアめし〟としてはかなりのクオリティーではあった。

 

 

 

 

▲ファンには見えないスタンド下の、チーム、関係者が通る導線にはこんな写

とメッセージが!自分たちの価値を自分たちでしっかり認識して継承している

 

 

ここまで楕円ネタを絵日記したので、ジャパンの練習施設にも触れておこう。これ、チームが使用していた期間は、名称やロケーションは非公開のため詳細に触れられなかった案件だが、試合3日前(水曜日)の練習で撤収しているので公開(公表)OKというタイミングでもあった。

 

 

▲門構えから最高▼そしてクラブハウスのバーテラスから臨むグラウンド

 

 

 

練習会場は「Old Belvedere」というクラブの施設。なかなかクラシカルなクラブハウスに芝3面のグラウンドが基本構造。ダブリン生まれで元神戸製鋼のマーク・イーガンによると、有名な代表選手も輩出するなかなかの名門チームだという。資料だとクラブ設立は1918-9年。日本戦でベンチに入る主力メンバーのNo8ジャック・コナンら21人のテストプレーヤーを輩出しているという。ダブリン中心地から路線バスで20分ほど。あまり詳細には触れずにSNS等ではチラ見せしていたが、これぞラグビークラブというなんとも趣のある施設。こういう文化がしっかりと継承されているだけで羨ましくもある。

 

クラブハウスには、チームの選手が寄贈した代表ジャージーが飾られているが、かなり古いものも多く、このクラブの歴史に思いを馳せる。日本人を母親に持つ選手兼広報くんがるのだが、「確か日本のジャージーも飾られているはず」と話していたにも関わらず、どこにもない。少し助け舟を出して「練習させてもらったから、チームが寄贈してくれるんじゃない」と話したが、丁度居合わせた永友洋司GMが、メンバーサイン入りのジャージーを提供してくれた。おそらく、週明けにでも、あの〝栄光のコレクション〟の中に桜のジャージーも飾られることになるだろう。もしかしたら、土曜のスコア次第かも知れないが…。

 

我が家から徒歩1分にトリニティ・カレッジ。町の中枢、日本なら新宿

のど真ん中に東大があるイメージかな。文化レベルの高さも感じる町

 

 

だいぶディレイで②をお届けした絵日記だが、ようやくダブリン編。

 

小生も学びながらの旅ではあるが、そもそも今回ロンドン-ダブリンの旅程となったのは、大昔の出来事の因縁でもある。

 

時は1999年のカーディフ。ラグビー担当として初のワールドカップが、かの平尾誠二さん率いる日本代表の挑戦だったが、取材中に愚かにもパスポートを紛失。ダブリンでの取材予定が間近だったので、エディンバラ取材を予定していた弊社(現古巣)契約ライターの出村兼知に頼んで、取材先をスワップして、パスポートの不要なスコットランド行きを決めた。

 

それ以降、この妖精の国を訪れる巡り合わせがなく、2021年のダブリンでのテストもパンデミックで断念。今回を逃すと、数年ダブリンはないなという思いも、アイルランド戦取材を後押しした。まぁ、一番の理由はツアー4試合中いちばん厳しいゲームを2試合見ておきたいという思いが一番。なので、最もメシが上手いジョージアを断念して昨日(現地)木曜日にトリニティ・カレッジ近くのカフェでPCを叩いていた。余談だが、隣席には全く偶然に、オフを田舎の宿舎から抜け出して満喫する桜の男たち数人がやってきた。

 

そんな初めてのダブリン。まずは、イングランドからの高飛びのおはなしから。

本当は電車と、最近国内旅でオキニのフェリーを使っての侵入を考えたが、なんだか鉄路も高いので、時間も鑑みて素直にライアンエアで。

 

で、ヤツら(もちろんライアン)のハブであるスタンステッドまでエアポートバスで。でも、堂々London Stanstedと名乗るけど、どう考えてもこの距離、風景はロンドンじゃないよな。1.5~2時間だもんね。まぁ、どこぞの国にも千葉なのに東京と名乗る空港もあるのであるあるかも知れんが、それで「ロンドン」は受け入れ難い。

 

 

 

 

で、そのライアンさん。お尻からの搭乗が得意技でもあるが、コレすごく効率的でいい。彼らのようなLCCじゃないと空港の地面から搭乗しなから使われないのか? でも結構搭乗の時短になるやり方なんだよね。

 

 

 

 

ライアンというと、なんだかけち臭い=なんでも課金というイメージ。で、小生は通常の小型バッグの機内持ち込みの1つ上のバージョン、2つ目の機内持ち込みOKコースでの予約。これで、バーンと確約じゃなくなるのがこの航空会社のずる賢い商法だが、すこしオーバーサイズのドキドキも。「これ規格外あるよ。カネ払え」とくるかもと思っていたが、バッグのサイズ、重さチェックなし。よく空港に置かれているサイズ量り器に、こぅっそり載せてみたら、何のことはない規格内ではあったが、あの対応じゃすこし規格外でも乗り込めそう。密かに企画オーバー捜査部隊みたいなのがチェックしてるうだろうか…。

 

まぁ、そんなドキドキもありつつ定時にダブリン空港へ。

 

 

空港でいきなり出迎えてくれる素敵な名前のパブ。

ビーおじさん大喜び。「Aviva」じゃなくて良かった

 

 

で、ダブリンで先ず必携なのはコレ。「Leap visitor」。アイルランド経験者は誰もが知っているので、かなり知ったかぶりで書くが、通常のLeap card/passは、いわゆるダブリン版Suicaだが、このビジターカードは日にち指定(1日、3日、1週間だっけ?)で公共交通=バス、トラム、鉄道乗り放題のカード。ダブリンのかなり広域を網羅しているので、ジャパンの宿泊ホテルやグラウンドへも使い勝手がいいが、どこで乗り降りしても無制限なのでふらつくタイプの旅行者にはかなりいい。

 

 

 

 

取材がなければ、小生も赴くままに気になった駅、停留所で降りてその町を徘徊したいものだが、やはり取材とPC叩きの作業だと、好き勝手放浪も出来ないのが残念。

 

で、初めてのおじさんダブリン旅だが、到着日の印象だと「かなりいい!」

 

 

▲ダウンタウンはかなり栄えているので、この国の経済状況を

感じさせる。基本どのヨーロッパの国とも同様に石とセメント

町だが▼すこし離れるとこんな素敵な妖精の休憩所もあるよ

 

 

物価高とテストマッチが近づくことで、宿は¥30000-50000が相場というところ。最初は、Leap cardもあるし、すこし郊外の安い宿でもと思ったが、物色すると¥10000すこし/泊の部屋を発見。「すこし安すぎる」というアラートも頭の中で鳴るが、口コミなどもあまり危険は感じない。こちらからのメッセージにもオーナーは寛容、柔軟だ。なので、思い切って6泊という予約を決断して恐る恐るアパートへ向かったが、結果大正解。かなりセキュリティの高い施設—入館までに鍵の有るドア2か所で、ダブリン界隈では市民レベルの住居では異例の7階最上階に部屋はあった。

 

 

 

 

オーナーはウェブでは西洋系の名前だったが、中国人の若い男性。同居のお母さんがアパート外に迎えに来てくれた。部屋は圧迫感のない広さ(8×5mくらい?)で眺望抜群。ダブルサイズのベッド、ワークデスク、電子レンジを備えている。部屋の隣がシャワーとトイレ。こちらはオーナーも共用だが、他の部屋の住人は感じられない。つまり、ほとんど誰とも顔を合わさずに寝泊り、シャワーと生活出来ている。入居翌日には、キッチンにある洗濯機も使わせてもらい、ごみも部屋から出しておけば処理してくれる。「バスタオル必要なら言ってね」と文句ない対応だ。

 

部屋もいいが、何よりヨイのがロケーションだ。町の中心を流れるリフィ川の〝ほぼ〟河岸にあり、かのトリニティ・カレッジに1分という位置で、まさにダブリンダウンタウンの真ん中だった。

 

 

 

 

この町の基本構造は、ダブリン港へ流れるそのリフィ川が中心を貫き北岸、南岸に町が広がる。南北でどんな違いがあるのかと思っていたが、小生の泊まる南岸が大学や大手銀行などが並び、路地を入ると広大なパブ街になる。もちろんレストラン、カフェも多く、ショッピング街、百貨店もある。

 

 

橋から眺めるダブリンダウンタウン。左北岸、右南岸ね

 

 

では、北岸は。実は大雑把にはそう変わりはないが、どちらかというとノマド街の匂いがある。南岸ほどパブ街ではなく、大手スーパーに、海外系のレストランも目立つ。例えばチャイナ、ベトナム、ジョージア…。

 

着いた夜は、南岸のパブ街を歩いたのだが、ほとんどエスニックな飲食店を見つけられず、ロンドンでもビリヤニしか食っていない小生には不安もあったが、数日歩くと幾つかのアジア系食堂もあり、北岸のノマド地帯はかなり期待できた。

 

そんな街を徘徊する中で見つけたのがスーパー「Lidl」。ドイツの企業だが、2023年のフランス各地でもお世話になった貧乏人のスーパーだ。よもやダブリンにあれうとは思わなかったが、そこはEU加盟国。丁度朝メシくらいは〝自炊〟と考えていたので、バゲットやサラダを買い込んだ。

 

その帰りがけに、ふとスーパーの出口横を見ると、怪しげな地下へのエスカレーターが。「え、地下になんかあるの?」と恐る恐る降りてみると、なんだか場末の商店や食堂がパラパラと。丁度エスニックな食べ物を渇望していたので、歩いてみるといきなり「Georgean」の文字が! この日は夕飯も終えていたので、情報収集だけで地下街を脱出したが、部屋へと向かう道すがらには香港定食屋風の店にも遭遇して、晩餐候補の続出に万歳三唱で戻って来た。

 

 

 

 

それが、水曜日の夕飯のジョージア食堂。店とは言え、だだっ広いスペースに間仕切りのようなもので、数店舗が並びパイプ椅子に似たようなテーブルという簡易食堂風ではあったが、明らかにジョージア系の人たちが厨房およびレジカウンターに居る。

 

幸いなことにレジに置いてあるメニューは写真入りだったため、迷わずジョージア小籠包のヒンカリを指差したが「ごめんなさいねぇ。売り切れなんよ」とのこと。予想外の事に思案を巡らせていると厨房から出てきた肝っ玉母さん(昭和だね)が「コレとコレとコレ。お薦めよ!」と声を掛けてきた。

 

しょうもないのでシュクメルリ以外の中かから「コレ」と注文。しつこく「やっぱ無いの?」と聞くと、「この料理とパンと食べんのよ。それが美味しいのよ!」とかなり高圧的に押し切られた。

 

でも、このジョージアパン。焦げ目が付くほどあぶったパンを、席に着くとすぐに籠に山盛りに持って来てくれるので、まずは時間潰しに千切っていると、10分そこそこで鉄皿の上でグツグツに煮えたぎる料理が登場。Ostiriという中身は牛肉のトマト&野菜諸々煮込みってカンジで、よくわからんが幾つかのシーズニングで風味がつけられている。ジョージアの地理通り、ヨーロッパ、トルコ連合軍に「スタン」諸国の料理が混じり合った味わいだ。

 

 

 

 

すでにSNSでも呟いたが、間違いなくこの度一番のディナー。右手にフォーク、左手に千切ったバンという〝マナー〟で、はふはふしながら黙々と掻き込んだ。「メシで選べばジョージア戦」と常に物欲が頭を巡っていたが、よもやダブリンで味わえるとは! 旅も後半を迎えているが、ようやく胃袋も喜ぶメシがいただけそうだ。

 

 

書店のショーウィンドゥで一番高いところに置かれたのがビー選手、

れもフロントロー。ハリー・ポッターよりアンディ・ポーターが人気の

国。8人変えてきたが侮るべからず。因みに〝下敷き〟にしている本がすごい  

 

 

皆さまどんな受け止め方をしているでしょうか?

 

 

8人を入れ替え、先発の総キャップ数は526と、そこそこの領域の経験値。日本の

272とは、まだなだ経験値の差があるように思える。

 

 

ベースメンバーが変わらないのは世の常だが、トゥール―ザンの#9は合流いきなりでも、そこまでギャップを感じさせずにプレー出来そうだというのが、練習を見ていても希望的観測も多少含みながらの印象だ。

 

実戦チックなメニューを火水曜と続けていたジャパンだが、パスの緩急、つまりどのテンポで球出しするべきかを感知しながらのパス捌きは〝統制された〟ラインアタックを創り出せる期待がある。そしてSHからのパントも、TOP14でのスタンダードかな。承信とのコンビは、この#10 の代表での習熟も加味して楽しみだが、根性練習に近いタックルセッションで小さな司令塔が見せたインパクトのあるヒットをアビバでも見せて欲しいものだ。

 

で、何より大きな〝変〟はマイケルのベンチ降格だ。不動のリーダーとして、大袈裟にいえばJKジャパン時代から君臨してきた男だ。それが、PNCの充電期間に任命された若きリーダーに、戻って来てもその座を渡し続け、ボカという最強の相手との死闘でも、スタメンで最も早くにピッチを降りた。そして、ダブリンでの準備でもノン・スターター組のビブスを付けていた。

 

あれだけ試合で相手のキック処理を1人で担えば、当然ながら消耗も激しいが、そんなコンディションが理由なのか。それとも…。

 

リリースから10時間後にメンバー会見というのも、チーム事情はあれど情報の鮮度も含む「発信力」としてどうかと思うが、そこらの〝マイケル事情〟は、会見真っ先にエディーにぶつけると、こんな説明だった。

 

「まず大事になって来るのはフィジカルの部分で、大きくて力強いボールキャリアーとしてエピネリを使ったことで、しっかりチームを前へ進めたい狙いがあった。リーチのずば抜けたワークレート、経験値を試合の終盤の接戦の状況で使いたいためにこういうメンバーになった」

 

エピ、ファウルアというコンタクトに強みを持つパワーハウスで、序盤戦は世界3位と組み合うことになるが、どこまで前への圧力を出し、推進力を作れるか。確かに序盤戦でフィジカルに渡り合い、プレスを掛けられれば、いいゲーム展開は期待出来る。だが、まだまだチームが攻守におぼつかず、エンジンがかかり切れていない状況だからこそ、マイケルの攻守の察知能力が重要ではないか。

 

コーネルセン、マイケルがベンチで待機するのは一見ゴージャスなフィニッシャーを揃えたとも表現できる。だが、多くは語らないでおくが彼らのコンディションを考えると、どこまで後半チームをブースト出来る交代になるのか…。むしろジャックは、序盤からラインアウトでの獲得率アップに必要かとも感じるし、インパクトプレーヤータイプとしてど

うか。

 

練習を見る限り、BKのアタックでは、「アビバでこのムーブを上手く仕掛けられれば」という取り組みも見られたが、実際にエメラルドグリーンの重圧の中で、そのうち幾つを使え、更に有効なアタックに、そして上手くスコアに結び付けることが出来るのか。ここは実戦で確認するしかない。

 

SOのカバーにノンキャップの小村真也が入ったのは喜ばしい。ゲームタイムと同時に進化を見せる承信を追うべき男だろう。一方で、このツアーには呼ばれていない同じ大学出身で、船橋でプレーするSO/FBも、決してアイルランド戦のメンバー2人との差は日本とアイルランド程の隔たりの溝があるわけではない。ほんのひと跨ぎ程度の溝だと信じて、自分磨きを続けて欲しい。

 

個人的には、日本の#10 はかなり沸点を待とうとする原石が増えていると感じている。ただ、それぞれが個性的な強みを持ちながら、未だにそれを絶対的、圧倒的な力としてパフォーマンスし切れていない。同時に、1つ2つの「足りないもの」をしっかりと克服した姿も見せられていない。でも、裏を返せばその1、2点を乗り越えることさえ出来れば、かなりいい線の10番に浮上することになる。

 

最後は10番ギロンになってしまったが、ホストチームも#10はポスト・セクストンとして成長を続けるジャック・クロウリー。承信、小村ともほぼ同世代が2027年の#10を賭けて挑む80分。フルキャパシティと聞いている。勝ちは望みたいが、先ずは2年後へ向けて何を見せ、何を掴むかという80分間を期待したい。

 

▲確かにゴールドAC(左)の下で、熱く激しいタックル

ューに取り組んできた桜の男たち。実際にエメラルド色の

にも、こんなタックルをかっ喰らわすことができれば…

 

 

皆さまどんな受け止め方をしているでしょうか?

詳細コラムは、また週明けとして、とりいそぎ前打ちがてらメンバーについて。

 

 

 

 

ベースメンバーが変わらないのは世の常だが、トゥール―ザンの#9は合流いきなりでも、そこまでギャップを感じさせずにプレー出来そうだというのが、練習を見ていても希望的観測も多少含みながらの印象だ。

 

実戦チックなメニューを火水曜と続けていたジャパンだが、パスの緩急、つまりどのテンポで球出しするべきかを感知しながらの球出しは〝統制された〟ラインアタックを創り出せる期待がある。そしてSHからのパントも、TOP14でのスタンダードかな。承信とのコンビは、この#10 の代表での習熟も加味して楽しみだが、根性練習に近いタックルセッションで小さな司令塔が見せたインパクトのあるタックルをアビバでも見せて欲しいものだ。

 

で、何より大きな〝変〟はマイケルのベンチ入り。不動のリーダーとして、大袈裟にいえばJKジャパン時代から君臨してきた男だ。それが、PNCの充電期間に任命された若きリーダーに、戻って来てもその座を渡し続け、ボカという最強の相手との死闘でも、スタメンで最も早くにピッチを降りた。そして、ダブリンでの準備でもノン・スターター組のビブスを付けていた。

 

 

▲火曜日のファン公開練習後にはエディーと共に駆け付けたダ

ブリン在住日本人ともにこやかに交流していたマイケルだが…

 

 

あれだけ試合で相手のキック処理を1人で担えば、当然ながら消耗も激しいが、そんなコンディションが理由なのか。それとも…。

 

リリースから10時間後にメンバー会見というのも、チーム事情はあれど、情報の鮮度も含む「発信力」としてどうかと思うが、そこらの〝マイケル事情〟はエディーにぶつける項目だろう。

 

コーネルセン、マイケルがベンチで待機するのは一見ゴージャスなフィニッシャーを揃えたとも表現できる。だが、多くは語らないでおくが彼らのコンディションを考えると、どこまで後半チームをブースト出来る交代になるのか…。むしろジャックは、序盤からラインアウトでの獲得率アップに必要かとも感じるし、インパクトプレーヤータイプとしてど

うか。エピ、ファウルアというコンタクトに強みを持つパワーハウスで、序盤戦は世界3位と組み合うことになるが、どこまで前への圧力を出し、推進力を作れるか。

 

練習を見る限り、BKのアタックでは、「アビバでこのムーブを上手く仕掛けられれば」という取り組みも見られたが、実際にエメラルドグリーンの重圧の中で、そのうち幾つを、更に有効なアタックに、そして上手くスコアに結び付けることが出来るのか。ここは実戦で確認するしかない。

 

SOのカバーにノンキャップの小村真也が入ったのは喜ばしい。ゲームタイムと同時に進化を見せる承信を追うべき男ではあるし、このツアーには呼ばれていない同じ大学出身で船橋でプレーするSO/FBも、決してこのツアーメンバー2人との差は大きくない、ほんのひと跨ぎ程度の溝だと信じて自分磨きを続けて欲しい。

 

 

 

時差の影響は言い訳がましくもあるが、なんとかアップを。

皆さん精神衛生上、忘却の彼方に追いやっているかも知れない先週土曜の悲劇について。

 

全ての面で勝者が上回るようなゲーム。久しぶりに見たが、一部の若手を入れながらも世界王者は〝マジ〟で挑んできた。コラムでも敢えて一段落入れたように、やはりサシャが均衡というものを一気にブレークした印象。もちろん、その前のドライビングモールの力強さで、ボカはいつもどおり「いける」という感触は掴んだろうが、チームを一気に加速させたのは#10という印象だった。

 

 

 

 

火曜日のジャパンの練習で、神戸製鋼でも活躍してJRFUの要職も担うマーク・イーガンさんと再会したが、共通した認識は「次代のダン・カーター」。プレータイプは異なるが、2年後の舞台では、最大級のスターになる存在だ。まだまだ代表選手として危なっかしい若きブロッサムズは、そのサシャの、そこそこに本気のラン、パス、キックを目の当たりにしたこと自体、いい(高い)レッスンだっただろう。

 

ちなみにマークさん、あまりご存知ない方に説明しておくと、神戸製鋼黄金時代に活躍したLOとして知られる存在だが、アイルランド・ダブリン出身でオックスフォード大に進み1990年のヴァ―シティマッチで主将として勝利を掴んだ英雄でもある。

 

話はウェンブリーに戻るが、いいレッスンとはいえ相手がランク1位だからと言ってサンドバッグ状態では許されない。ダブリンの相手も世界3位の強豪だが、前週の屈辱以上の何かは残さねば。相手も前週はシカゴ・ソルジャーフィールドでNZに苦杯して負けられない週を迎えている。ダブリンでジャパンの練習を見ていると、すこし選手が疲労なども含めて痛み始めているのは気懸りだが、1週間というかなり限られた時間の中で、何をピッチの上で見せられるのか。

 

メンバー発表は日本時間金曜日の早朝になるため出場が確定した訳ではないが、合流したばかりで既に「やる気」のSHが出場すれば、ロンドンでは加速出来なかったジャパンのテンポをチームにもたらせるかに期待したいところだ。

 

最終的な#9のチョイスはエディーさん次第なのは間違いないが、ここまでスピードと相手を掻きまわすような動きとパスで見せた藤原忍の成長を実感しながらも、合流したてのトゥールーズの#9をみてアタックを締めるようなパス(抽象的だなぁ…)、そしてパントの高さと落としどころと、エディーが未だに「ファーストチョイス」と呼ぶものを感じさせた。

 

現状は個人的な〝推測〟に過ぎないが、今回のメンバリングは日本代表のチーム編成に、もしかしたら歴史的な転換点になるかも知れない。これがいいことか、そうではないのか、それとも思い過ごしなのかは、メンバー発表そして8日のアビバで明らかになる…。

 

コラムの中でもSH福田くんの言葉を引用させてもらったが、この#9 非常に頭の回転が速く、なおかつ洞察力の優れた選手でもある。彼と同じ印象は、PR竹内柊平も語っている。

 

「僕らも代表としての意識や誇りがあるが、南アフリカは1つのチームになっている。どこどこチームの誰々選手ではなく、南アフリカ代表というチームの誰々さん。そんな印象です。彼らは家族なんです」

 

言わんとしていることはすごく判る。選手はなかなかここまで言及出来ないが、やはり深緑のジャージーへのロイヤリティーや誇りには、なかなか他のチームは及ばない。現実的に、2大会連続で世界の頂点に立ち続けていること自体、他の追随も経験も出来ない高みであり、その領域に立った者しか体感出来ない心境に彼らは至っているのだから。

 

この格差を嫌という程味わわされた先発総キャップ300程度の若桜が感じ取ったのか。竹内くんは「あなたの感じたことを、選手間でも話し合ったの」という問いには「仲のいい数人とは話しています。でも、皆受け止め方は別だとも思うので」。確かにそうだ。竹内くんが、ここまで主力として感じてきた代表の価値観と、まだ1、2キャップの選手が、ボカの誇りやロイヤルティをどこまで実感できるかは様々だ。竹内柊平のテストマッチ経験の中で感じたボカの凄さと、まだテスト経験もほとんどない者の感じるものは明らかに異なる。だが、それでも各々、あの圧倒的な80分からは何かを感じ取っているはずだ。そこを、どうこれからに生かせるのか。

 

壮絶な80分は終わったが、桜のジャージーにもたらす学びはまだまだ続くように思う。