赤いちゃんちゃんこを強制される世代らしきテーマだが、D1最年長戦士についてすこし書いた。

 

いつも使う「やっさん」で通すが、代表だ、トライ王争いだとちやほやされないが、偉大な足跡を残し続ける。

 

リーグワン歴代10位

現役歴代2位

ディビジョン1現役最高齢

 

歴代1位久富雄一(45歳5か月10日)、〝追い風参考〟最年長(46歳)の伊藤剛臣から言わせれば「まだまだ若造」かも知れないが、コラムでも触れたように、シーズンを重ねる毎に水準を上げるラグビーで、40歳超えは驚異的だ。

 

 

 

 

衰えがあるのは否定のしようがない。だが、今季ここまでの16節で出場8試合、うち先発2試合という実績が揺るぎない評価だ。ちなみに正念場の次節、強豪ブレイブルーパス戦はスタメンだ。

 

相変わらずの狙いすましたジャッカル、そして今回のインタビューを終えた直後の神戸戦では、ついに今季初トライを決めた。

 

パフォーマンスもさることながら、評価すべきはグッド・コミュニケーターという存在。

目線を下げ、誰もが声をかけやすいそのキャラクターが、チームのセメダインであり潤滑油になる。40歳を超えても、コーチがメンバーリストにやっさんの名を記すには訳がある。

 

コラムを編集サイドに渡した直後、生駒の麓からニュースが届いた。

 

「松岡勇引退のお知らせ」

 

いつこんな発表があっても文句はない年齢だが、このタイミングか…

そんな思いに浸ったが、わずか116日先輩のSwan Songを、やっさんはどう受け止めたか。

こちらもコラムで付したが、「社員なのにすごい」と付け加えたやっさんの発言に、同期への敬意が滲む。

 

記録のハナシに戻れば、実は歴代1位の久富雄一も、正式には引退を表明していない。

誰もがコートの襟を立てていた時期に、このレジェンドの思いを聞いたが、現実の厳しさを実感しながらも、もう一度ピッチに立つ一縷の望みを持ち続けているのも確かめた。

 

頭の中の自分Aは「現実考えれば難しいよな」と切り捨てる。でも、もう一人の自分Bは「46歳になっても、そうやってチャンスを模索することって素晴らしい」と呟く。夢は若者の特権だが、おじさんにもみる権利はある。

 

コラムでは、敢えて削除したが、ダイナボアーズ首脳と、こんなやり取りもした。

 

「万が一、ウチが来季の契約をしないということがあっても、安江ほどの選手。現役を続けるのは間違いないと思う」

 

こう書くと、あたかも来季契約をしないと曲解される恐れを感じたのだが、実際にはシーズン中でもあり、チーム人事は未確定・未発表というスタンスを貫いた発言だ。もちろん来季は41歳になる選手は、いつ、いかなる理由で契約をしないという判断があっても不思議ではない。だが、最高峰ステージでの今季のパフォーマンスをみれば、その賞味期限はまだまだあるのも間違いない。

 

やっさんが「記録」に生きるタイプじゃないのは、コラムで紹介した通りだ。

それでも、東大阪の盟友がジャージーを脱げば、相模原のベテランに「リーグワン現役最年長」という大台も浮上する。やっさん自身が語るように1試合1試合を重ねる中で、盟友を抜き、久富雄一ら上位に1歩でも近づく中で、新たなマイルストーンも見えてくる。

 

いつでも「お疲れの一杯」は用意しているが、その前にピッチの上で片付けないといけない仕事も、この40歳には残されている。

 

▲今回は専務理事のKennyさん(右)に因縁がつけられたが、今回

はアラブからの威嚇射撃?ツッチーさん否土田雅人会長(左)も、刀

を抜くより、うまく連携してダブリンと向き合うほうが良さそうだ 

 

 

 

ま、要するにKennyの亜細亜協会から求められた文章に対する疑問は正当だという判断。
 

 

 

一応「青山」側のステイトメントも付しておこうかね

 


では、今回の騒動が意味するものは?

おそらく、アジア協会内で、いままでなかった「闘争」が起きようとしている。それは、いちばんシンプルに表現すれば下記のようなものになる。

アラブ vs 日本

長らく、ワールドラグビー内でアジアの代表、代弁者は日本だった。おそらくIRB/WR、そしてAsia Rugbyが誕生してからずっと。

その中で、アジアのトップにドバイを軸としたアラブグループが座したことで、アジアで初めて権力闘争まがいの小競り合いが生じ始めたのが、今回の騒動だろう。

では、その先に在るのは何か。「おそらく」続きにはなるが、まずはシンプルなAsia Rugby内でのイニシアティブ争い。今回のような。

そして、その先を見据えると、RWC招致という闘争があるのだろう。

 

今回はJRFUに軍配が上がったと〝一応〟判断出来る。

だが、これからの闘争はかなり怪しい。

 

それは、ここ数年、否十数年に渡るWR上層部が常に重視してきたのが「金」だからだ。これはネガティブなことではなく、WR が世界でラグビーを広め、事業を進めるのはどうしても必要なものだ。

 

で、マネーゲームになれば〝アジアの盟主〟と産油国では、かなり実力差があるように思える。このような戦の断片が表出したのが、今回の騒動であり、数週間前の中東からのRWC招致の声だ。ここらへんまでを書こうとすると、あと何千字必要かという問題になるので、ここは深入りせず。

 

諸々書き立てたが、今回の騒動がちょっとした行き違いで、この文章が〝妄想〟に過ぎなければ、実はいい。妄想の数割が当たっていれば、JRFUおよびKennyはこれから厄介な政治闘争に巻き込まれることになる。

 

唸るような資金力で、ダブリンを引き付けようとする相手に、ここまで日本が世界の中で培ってきた実績、そして信頼という、些か抽象的な武器で、どう上手く自分たちのゲームに持ち込めるか。

 

個人的には、むしろ上手くアラブと連携して「アジア」の価値を高めるほうが良さそうだが…。

 

 

 

▲大東文化の写真を使わせていただいたが、昨季のチームウェアに開催されたスポ

ンサーロゴ。これが、今季の大学公式戦では試合ジャージーで見られることになる

 

 

日曜日はリーグワンを敢えて回避して大学生に。今週末から始まる関東大学春季大会の〝幕開け〟を告げる「東日本大学セブンズ」へと赴いた。

 

荒天の中では好ゲームが続いたが、お目当ては不謹慎ながら筑波大が頂点に立ったトーナメントではなく監督・首脳陣の皆さま。先週末にアップしたコラムでもでも触れたジャージーへの広告掲出についてゲンバの声を聞きたかった。

 

しつこいようだが詳細は下記コラムで。

 

 

 

コラムでは大東文化大にスポットを当てたが、では他のチームはどこまでヤル気なのか。伝統校は? 中堅・下位チームは? さまざま境遇のチームが一同に会する大会は、実施の可否や意見を聞くには格好の延縄漁場のようなものだった。

 

そんな諸々のチームの声を紹介したいが、チーム名は伏せたままでという書き方をご理解いただきたい。幾つかのチームが、現時点では大学側、チーム・OB会、そしてスポンサー間での協議中で公言できない状況だからだ。一部チームについては、会場ではなく監督への電話で聞いたものであることも付け加えておく。

 

そんな匿名シリーズの最初は強豪A大学。いわゆる伝統校というチームの監督は、「やる方向で準備を進めている」と前向きだ。ただし、広告がプリントされたジャージーの手配を考えると、「秋の公式戦に間に合うかどうか…。すこし難しい可能性もある」と今季からの導入にこだわらない。ちなみに大学側は、「他の部でも既に導入されているので、比較的スムーズに受け入れてもらえる」という。伝統校だけあって、広告掲載に関心を持つ企業は既にあるという。

 

この伝統校よりも詳細を詰めていく必要を感じているのは、中堅と位置付けられるB大学だ。毎シーズン大学選手権出場に挑み続けているチームだが、社会人強豪チームでもプレーして、現在も社員として勤務する幹部OBは、「法人でもないウチのチームが収益を得ることになるので、税金としてどう計上していくかをなど制度上の問題を考えている。他大学がやっているように法人を立ち上げて、そこで管理、スポンサー契約などをしていくことを考えているが、実際に動き出すことが今季中に出来るかは難しい」と指摘。実際に広告付きのジャージー導入はA大学と同等、ないしはそれよりも遅れそうな感触だった。

 

B大幹部OBが指摘した「法人」は、チームによって違いはあるが大学ラグビー部がチームグッズの販売や、OBなどからの寄付行為など、商業活動に触れるエリアを委託するために立ち上げている組織だ。現時点で、慶應義塾大など複数のチームが導入していて、B大のように今回の広告スポンサー案件を受け持つケースも聞いている。

 

このような法人ではないが、スポンサー大歓迎で掲出へ準備を進めているチームもある。大学選手権にも数度の出場を果たすC大学は、「大学側も交えて話し合いを進めています」と話したが、A大学同様に、他クラブが既に広告掲載したユニフォームを着用しているために、大学当局も〝同じケース〟と解釈してGOサインをもらっているという。さらに、スポンサーとの契約、税処理なども一括して大学側が受け持ち、広告収入も大学に振り込まれた中からチームへと配分されるため、監督等チーム側の広告掲載に関する仕事、事務作業が大幅に軽減されることになる。

 

ちなみに、スポンサー候補となる企業をオフレコで聞くと、テレビCM等も目にする名立たる会社だったが、「大学側との学術提携でのお付き合いから、ラグビー部の応援もしたい」という意向だという。このような産学連携の恩恵で広告掲出が実現するケースは多くはないかも知れないが、大学本部との繋がりでの契約はあるのかも知れない。

 

主要大学リーグには属さない地方チームはどう受け止め、どんな方針なのかも聞いた。部の活動規模は大きくないと推察されるが、既に大学選手権出場もあるD大学の監督も、広告掲載には前向きだ。

 

「急な決定だったので、スポンサー探し、決まった場合のジャージーデザインや作成など、時間のネックはあるが、進めていくことは間違いない」

 

現役時代は高校、大学とトップクラスの強豪で活躍してきた同監督によると、さすがに一部上場のような大企業ではなくても、地域に根差した地場産業や地元企業の中で、大学やチームを支援したいという感触は得ているという。C大のような大手企業との繋がりからの広告もあるが、多くのチームがD大のような地域性や、OBが経営するような企業からの〝応援〟が理由の掲出になるだろう。

 

現時点では広告に否定的なチームももちろんある。大学選手権トップ4も常連の強豪E大の監督は、こんな意見を持つ。

 

「大学側も交えてだが、すでに従来から大学、運動部への支援、寄付を頂いている企業も多い。そこに対して、新たな企業がスポンサーとして広告をジャージー入れるとすると、長く支援をいただいてきた企業との関係、バランスを考えると、そう安易にスポンサーを集めることには議論が必要だ。今の時点では、やるべきではない」

 

一方で、E大監督によると、従来の寄付の場合は企業側が求められる法的な手続き、税処理などで相当手間がかかるという。今回のスポンサー提携が、企業側にとって「広告費」として容易に処理出来るのであれば、ラグビー部支援行為のバリエーションの一つとして認めていいものだと捉えている。

 

同じく否定的な解釈をしているF大学監督は「大学側がおそらく積極的ではないだろう。部活とはいえ、大学教育の一環にどこまで一企業が入り込むのかという観点でも学内での議論があるだろう」と指摘する。古豪という位置づけのF大では、他の強豪運動部でも監督が指摘したようにユニフォーム等に大きな企業名が掲出されるような事案はないようだ。このF大のような、大学当局の価値観、広告・スポンサー活動へのスタンスも、広告賛否に大きく影響することになりそうだ。

 

嬉しい事に、ある強豪大学の監督からは、想定していなかったアイデアを聞いた。社会人強豪でも活躍したG大監督に聞くと明快な答えが返って来た。

 

「はい、やる方向です。企業名ではなく自分たちの大学名、大学内の機関の名を入れたい」

 

なるほど確かに大学当局もスポンサーといえばスポンサーだ。だが、その一方で、ジャージーへの校名掲出に直接支払いが生じていないと考えると、純粋な広告とも言い難くもある。この校名掲出に関して、JRFUに問い合わせると、こんな見解を示している。

 

「広告枠にチームが所属する大学組織法人名を掲載することに関しては協会としては問題ない。広告掲出の一つとして許可されるものと解釈する」

 

あくまでも「広告」であるとは明示している一方で、大学名もOKとなると、G大と同じ判断をするチーム、大学もあるかも知れない。G大自体は大学強豪校という認知度は高いが、校名前をいままで以上に告知したい、認知度を高めたいという大学にとってはメリットのある〝広告〟だろう。

 

コラムでも触れたが、今回の大学指導者への取材でも、やはり概ね賛成・容認が多数で、制度上、大学側の方針などで見送る、実施までに時間を要するという意見を聞いた。感触としては幾つかのチームは秋の公式戦までに間に合わない中で、7割前後は企業名を胸につけて公式戦に臨みたいという印象だ。まだ模索中のチームが多いので、夏前あたりにその趨勢は見えてくるかも知れない。

 

同時に、取材の中で多くの意見を聞いたのは、協会側が今回の案件に対して十分に意見交換したかのように説明する大学チーム側とのコミュニケーションについての不満の声だった。会議が躍るばかりなのも問題ではあるが、最終的にいいロードマップを描くには、やはり議論を重ねることは欠かせない。

 

 

最後に紹介したG大監督の考えからは、今回は「広告スポンサー」という案件での是非論ではあったが、更にもっと柔軟性を持たせてもいいのかという思いも浮かぶ。自分たちの母体である大学の名称を胸に大きく展示することを「広告活動」と捉え、スタジアム使用で金銭を求めるというのも、コラムでも使った表現を借りれば世知辛いようにも思える。広告活動ではない社会貢献のような目的での掲載もがこのご時世、重要な意味と価値をもつ場合もある。

 

そして、これまた繰り返しになるが、統括団体としてラグビー協会が更に考えていく必要があるのは「持てるチーム」「持たざるチーム」の格差、分断をどう回避していくかだろう。この懸念についても、日曜の雨の中で話を聞いた多くの大学指導陣が同意していることも付しておこう。

 

このような大きな変革を行うのなら、どんな弱小チームにでも「変更があってよかったね」と感じてもらえるものがあっていい。

 

ビジネスなら独り勝ちはOKかも知れないが、スポーツでも、スポーツビジネスでも独り勝ちだけでは、いつか成り立たなくなるのだから。

 

 

 

週末のラグビーは、それぞれ見応えのあるカード、大会が多かったが、興味深く観戦したのは金曜夜の秩父宮。先ずは、強雨の中で1万4000を超える観客を集めたことに驚かされた。

 

本社は〝秩父宮最寄り〟といえども、拠点は三重県のチームのホストゲームとしては異例の〝善戦〟となった。首都圏、関東一帯に多くの社員を抱える恩恵はあったとしても、ほとんどのチームがこの数字を下回る集客しか出来ていない現実を踏まえれば、チームの努力と価値は賞賛するべきだろう。

 

試合の方は最終的には善戦とは言えないスコアに終わったが、折り返し地点までは19-19。内容もそう悪くない。良く守り、チャンスを一気にスコアに繋げるラグビーだ。この試合でスポットを当てるべきは、8節ぶりに現場復帰して、関東学院大4年生以来のキャプテンも務めた勝者のPR稲垣啓太あたりだろうが、インパクトのあるワンプレーと〝血縁〟で話を聞きたかったのは敗者の「12」だった。

 

マヌ・ヴ二ポラ

 

昨年6月に入団が発表され、今季既に主力メンバーとして活躍するファイブエイスだが、ファミリーネームでお気付きの方もいるだろうか。世界的には従兄のイングランド代表マコ&ビリー兄弟の名が知れ渡るが、個人的には父・エリシの名前と姿が思い浮かぶ。

 

「姉は群馬でも暮らした経験もあるが、僕は行ったことはないんだ。日本に来たのは父の影響というわけじゃなかったが、決まった時は絶対に行った方がいい、ライフスタイルもスピードのあるラグビーも必ずいい経験になると話してくれたよ」

 

エリシは、この日チームが完敗したワイルドナイツの前身三洋電機で活躍したトンガ代表SOだ。当時の外国人助っ人は、いまのリーグワンほど世界トップの選手は多くはなかった中で、まだまだ日本にとって強敵だったトンガの司令塔という存在感は格別だった。代表キャップも一時は同国歴代最多の41キャップを数え、現在の歴代6位も上位5人が全てテストマッチ数の増加する2000年以降の選手というのも、その偉大さを物語る。

 

背丈は日本選手に混じっても目立たなかったが、SOらしからぬ、まるで小型冷蔵庫のような四角いフォルムが存在感を発散していた。チーム拠点だった群馬・太田市のグラウンドや試合会場で何度も話を聞いたが、当時の大東文化大の留学生らは陽気な連中が多い中で、寡黙なトンガ人もいるのだと実感させられた存在でもあった。それでもピッチ上では見た目に似つかわしい激しいコンタクトと、似つかわしくない柔らかく鋭いステップは「世界」を感じさせるものだった。

 

そんな父親とはそれこそ似つかわしくない181㎝、94㎏のフォルムを持つマヌだが、才能は父親譲り。前半37分の一瞬のプレーが強烈なインパクトを残した。12-19で迎えた敵陣22mラインでのアタックでパスを受けたマヌは、相手の右手後方に大きく空いたスペースを見逃さなかった。絶妙なタッチのクロスキックを右コーナーへと蹴り込むと、反応した7人制日本代表WTB本村直樹がゴールライン手前でボールを好捕して2点差に迫るトライをマーク。マヌ自らコンバージョンも決めて同点に追いついた。

 

「ああいうプレーが好きなんだ」。そうはにかむように笑ったマヌだが、ピッチ外の足跡も興味深い。NZオークランド生まれは、父エリシが近郊のベイ・オブ・プレンティ―でプレーしていたから。その後ウェールズでもプレーしたこともあり、マヌは英国での暮らしが中心になったが、同国屈指の名門ハロウスクールに通った。創立は1572年。日本では室町幕府末期の時期にまで歴史が遡る男子全寮制のパブリックスクールは、ウィンストン・チャーチル、詩人のバイロンら多くの政治家、文化人を輩出し、オックスフォード、ケンブリッジ大進学者も国内トップクラス。ハリーポッターの撮影場所としても知られるが、そんな学び舎からマヌはプロラグビー選手の道を選んだ。

 

本人は「僕は大学に行くタイプじゃない。日本とは環境が違うけれど、イングランドでは大学に行かなくてもラグビーが出来るからね」と笑ったが、ハロウから、こちらはラグビーの名門サラセンズと契約して、U20イングランド代表にも選ばれた。そんな名門畑を歩いてきたマヌに、日本でのプレーを選んだ理由を聞くと即座に一言が返って来た。

 

「プレータイム」

 

強豪、名門チームでは、どうしても自分が求めるプレー時間を確保出来ない。この理由は、多くの20歳代前半の選手たちが口にする来日理由と同じだ。シーズン途中の怪我で8節という長きに渡る欠場を余儀なくされたが、復帰2戦目で才気を迸らせた。24歳のファイブエイスを、チームを率いる元オールブラックスFBキアラン・クロウリーHCはこう評価する。

 

「マヌはとてもいい選手で、SOとインサイドCTBが出来る。最適なのは10番だと思うが、序盤戦で負傷離脱してあまりプレーは出来なかった。だが、今日のクロスキックからトライを生み出したプレーを見ると、サラセンズでの経験が生かされていると思う。12番で起用する理由はファーストレシーバー(攻撃の要になるSOなどセットから出たボールを最初に受ける選手)を2枚置くためと、怪我の影響で負担をあまり掛けたくなかったこともある。まだまだ成長する選手なので、コンディションを最高に戻していけば、残りのシーズンもですが、来季が楽しみな選手」

 

24歳という年齢は若手ではあるが、マヌも暮らしたイングランドやニュージーランドではすでにプロクラブで活躍している世代でもある。理想を言えば、今季の〝片鱗〟以上に来季あたりは大ブレークも期待したい世代でもある。

 

後半圧倒された試合ではあったが、マヌは「実際には、スコアボードの点数以上に近いゲームできていると感じている。上位のチームに対しても全然いけるレベルだと感じているよ」自信を見せる。複数の国で代表資格を持てそうなマヌだが、もし桜のジャージーを選ぶとしたらデビューは彼が38歳の夏になる。この才気溢れるファイブエイスがそんな選択をするのかは、この先の三重でのプレー次第だが、父エリシからも受け継ぐ才能は長らく見ていたい存在でもある。

 

別れ際は、こんなやり取りで締めた。

 

「現役引退の後はケンブリッジにでも進学するか、魔法使いにでもなってください」

 

「それ、いいね」

 

本物のハリーポッターになる前に、ピッチの上のマジシャンになれる資質を湛える24歳に、これからも注目したい。

 

 

 

 

久しぶりに大学生についてのコラムをアップしました。

 

以前にぶろぐでも取り上げた酒井監督率いる東松山の名門チームについて。伝統校妄信ではない昭和の楕円球ファンには思い入れがあるモスグリーンの男たち。彼らのセオリーに縛られない自由さが、新しいフェーズを迎えようとしている大学ラグビーに何か変容を起こす期待もあって、指揮官に話を聞いてきた。

 

 

 

 

すこし癖もあるが、バイタリティーの持ち主だ。勿体ぶった言い回しになるが、その頭の中には、現時点ではまだコラムでは具体的に書けない〝画策〟も含めてアイデアが詰まっている。

 

大東大ラグビー部については、コラムに書いたもの以外にも思い出がある。選手時代から付き合いが続く〝ビル〟ことシナリ・ラトゥが監督に就任した時のことだ。チームに変革を起こしたいという思いもあったのだろう。従来のモスグリーンのジャージーを黒ベースにグリーンが入ったデザインに変更するというのを聞いて、ビル本人にこう話したことがあった。

 

「大学日本一になったジャージーは数えるしかない。大東のモスグリーンは、その数少ない栄光を掴んだジャージー。ほとんどのチームが、どんなに頑張っても掴めないものを手にしたジャージーにもっと誇りを持ってもいい」

 

一度は変更したジャージーも、すぐに鏡監督時代のオリジナルのデザインに戻ったと記憶している。その後も浮き沈みを経験しながらも、青柳勝彦監督時代、そして今回の酒井監督とリーグ王座を取り戻してきた。その実力をキープしながら、異色の経歴を持つ指揮官は、さらに大東〝らしさ〟を取り戻すことで魅力あるチームになれると期待している。

 

もう一つ、大学生について書こうと考えたのは、コラムでも触れた「スポンサー」導入だ。酒井監督の思い通り、自分たちで何とかしていくしかないというのも正解だろう。だが、チームがどうするかとはまた異なるエリアで、協会サイドが考えるべき課題もあるのではないか。「持てるチーム」「持たざるチーム」の境界線がより明白になる先に待つのはどんな現実か。一番悪いシナリオを考えると、打つべきアイデアもでてくるのではないだろうか。

 

2月の日本協会ブリーフィングで今回のジャージー広告解禁の説明を聞いたことに、大東大の歌舞伎町での活動を知り、酒井監督に声を掛けた。〝仕掛け人〟がいるモスグリーンの軍団は、これからも様々なアクションを起こしていくだろう。コラムに書いた通り心配ではなく楽しみだ。気懸りがあるとしたら、先に書いたように「持たざるチーム」だ。彼らに何か得るものがあればいい。ラグビーもビジネス化が進むのが世の流れではあるが、ビジネスのように〝ひとり勝ち〟だけを追求しても成り立たない。「持たざるチーム」だからこそ恩恵がある構造の先に、大学ラグビーの「これから」があるように思えてならない。

 

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ちなみに、過去の酒井さんぶろぐはコチラ⇩で