前半途中からは〝ディナーたいむ〟に入り、残りは少々のシャルドネでほろ酔いディレイでの視聴となったが、なんとも胸を打ったのは「パブロ」。

 

ロス・プーマスはもちろん、イングランド・レスター、アルゼンチン(SR)・ハグアレス、フランス・スタッドフランセ、さらにNZ・クルセイダーズと、世界の最高峰のステージで戦ってきた男が、三重の鈴鹿でも一秒たりとも手を抜かないようなハードエフォートを見せ続けた。モニター越しでも、あの若干狂気じみた眼差しをみれば真剣さは伝わってくる。彼を〝仲間〟として応援出来たファンは幸せ者である。

 

シーズン最終週のカーテンレイザーに見合う白熱の闘いではあった。2試合でトータル14点差。どう転んでもおかしくない160分間だった。だがその一方で、ヒートの2勝は現実をよく示している結果でもあった。

 

2敗のライナーズ側からみれば、やはり初戦にホームで劇的な敗戦を喰らったのが致命的だった。僅か4点差、されど4点差。1試合目をどう解釈し、チームで共有できたかが2戦目に響いた。

 

一言でいえば「焦り」。一つ一つのアタックが、加減ムリな仕掛けになっていた。1週間前の〝悪夢〟を拭いきれないままピッチに立った。そんな印象だった。1週間の準備でチームに必要だったのは、初戦の良し悪し全てを理解し、受け入れて、次戦に自分たちがやるべき事、やらなければいけない事を、どこまで15人が共有し、徹底できるか。ヴィジターのチャレンジャーは、白熱のバトルを演じながら、究極的には自分たちを信じ切れないまま戦った印象だ。対照的に、勝者はエリアを獲り、自分たちのアドバンテージである4点を頭に入れていた。何をするべきかを15人が共有し、信じて80分を戦い抜いた。

 

それにしても、鈴鹿のファンは素晴らしい。あのパッション、そして勝利への歓喜。百戦錬磨のパブロがフルスロットルでプレーし続けるのも頷ける。そんな熱い人たちから2年後にチームを奪い獲ってしまっていいのか。そんな思いが浮かぶ空間だった。もちろん、多くのチームが居を構える都市圏に比べて困難な集客力、チームの移動の負担など切実な理由を責める気はない。一つ、あの長閑さと情熱を併せ持つ人たちにとって最上の贈り物になったのは、〝オラがチーム〟を最後まで最上級リーグで声援出来ることだ。

 

さぁ、いよいよ3位、そして頂上決戦。でも、是非〝裏番組〟もお忘れなく。

今日土曜日は、もう一つのD1vsD2も下位のシャトルズが上位D-Rocksを、そしてD2vsD3は上位Bシャークスが、LO参入1シーズン目での昇格を狙うラガッツを、それぞれ第1戦ラストワンプレーで沈める白熱ゲームで最終戦を迎える。ヒート同様に先手必勝のセオリーを生かせるか、それとも捲土重来が起こるのか。

 

そして豊後の準テストマッチも忘れずに。勝敗は度外視で、誰が週明けの菅平、そして狭き門の宮崎へのサバイバルに名乗りを挙げるのかが注目の80分だ。

 

 

▲常にOne Teamを目指してきた日本代表。2年後

はA-1、A-2という〝分断〟が生まれてしまうのか…   

 

 

リーグワン優勝争いもクライマックスというタイミングだが〝2年後の問題〟についてのコラムをアップした。ピッチ上の闘いも重要だが、どこかのタイミングで「現状」を書き残しておくことは重要と判断して、ファイナル目前の掲載になった。

 

〝書き残す〟べき事はコラムの通り。日本の子供たちに「憧れ」を持たせ、日本を支えてきた選手への「敬意」を持つべき――。ブリーフィングでは、ラグビーの持つダイバーシティなどの側面からの質問・指摘が何度も繰り返されたが、総論を踏まえれば時間の無駄のようなやり取りが繰り返された。

 

 

 

 

コラムでも行数を割いたが、「日本代表」という肩書きにどこまで価値を見出しているのかという観点では、強い懸念を抱いた規約でもある。今回の改正はあくまでもリーグワンとしてのものだが、日本選手の普及育成という大きなテーマをみれば、これが日本協会も交えた議論だったのは間違いないだろう。

 

リーグワン側が、あくまでもリーグとしてのより良いレギュレーションを模索した決定であれば、代表経験者への配慮もどこまで尊重するべきかという議論もあるが、日本協会も関与した上で、なおかつ実際にリーグ側自体も日本選手の普及という問題を重視する姿勢を明確に示している中で、自分たち自身で代表の価値を落し、重みを軽減してしまっているような気さえする。

 

コラムでも数名挙げたが、これまでに桜のジャージーで活躍してきた現役の海外出身者の中で、30キャップに満たない主だった選手を列挙すれば、この問題の重要さが更に増すのではないだろうか。キャップ数順で、丸数字は年齢、所属は今季チームを表記している。

 

 

PR具智元㉚(スティーラーズ)29

No8アマナキ・レレイ・マフィ㉟(イーグルス)29

CTBラファエレティモシー㉝(スティーラーズ)28

CTBディラン・ライリー㉘(ワイルドナイツ)28

LOワーナー・ディアンズ㉓(ブレイブルーパス)21

BRテビタ・タタフ㉙(ボルドーベグル)20

WTB/FBレメキロマノラヴァ㊱(ヒート)20

LOヘルウヴェ㉞(D-Rocks)19

BRピーター・ラブスカフニ㊱(スピアーズ)19

BRジャック・コーネルセン㉚(ワイルドナイツ)19

PRクレイグ・ミラー㉞(ワイルドナイツ)17

WTBジョネ・ナイカブラ㉛(ブレイブルーパス)17

CTBシオサイア・フィフィタ㉖(ヴェルブリッツ)16

BRファウルア・マキシ㉘(スピアーズ)14

BR/LOファカタヴァアマト㉛(ブラックラムズ)13

BRベン・ガンター㉗(ワイルドナイツ)9

 

 

敢えて年齢を付したのは、2年後の施行の時点で既に引退、引退に近い選手もいれば、まだ代表キャップを積み重ねることが出来る選手もいるからだ。個々の選手にとっては、キャップ数と年齢の相関関係で事の重大さ、深刻さが違う部分もある。

 

だが、問題の本質は、テストマッチあと数試合でA-1になれるか、ほぼ可能性を断たれたかではなく、そんな規約のために、これまで日本代表を支えてきた選手たちが自分の人生設計さえ影響を受け兼ねない境遇に晒されることの不条理さだ。コラムでも書いたように、ここに名を挙げた英雄たちは、誰もが、つまらない不安や懸念なく、ラグビーをプレーし、スタンドを沸かせてほしい選手ばかりだ。そんな思いが、今回の規約がどうにも喉元に引っかかる大きな由縁だ。

 

もう一つの懸念材料となる現行カテAからの変更によるチーム、とりわけ下位チームの戦力は、リーグ側の主張のように「影響はない」となるのか。蓋を開けてのお楽しみでもあるが、一般論で考えれば、そうなることは容易ではない。一縷の望みは、これまでもリーグ参入チームの側で、様々に科される規約の中で戦力を保ち、チーム作りを進めてきた創意工夫がこの2年でどう生かされ、強化に反映されるか。我々は文句をつけるだけだが、チームはそれが〝悪法〟だったとしても、そのルール下での最善の強化を進めてきた。そこに期待するしかない。

 

しかし、その一方で、気を付けなければならないのは、ネガティブなシナリオが進むとしたら、幾人かの海外出身のA-2〝降格〟選手が、彼らの求める契約を出来ない、打ち切られる恐れだ。海外からやってきたプロ契約選手だから「残念」の一言で片付けられてしまうのか。いまのところ、彼らのための受け皿がどうなるのか、その有無を含めて先行きは非常に不明瞭だ。

 

多くの「元カテA」選手が、様々なチームを漂流する中で、運よくA-2という身分でも雇用、出場機会を得られる新天地に巡り合えれば―というのが現時点での見通しでもある。彼らの漂流が、巡り巡って心太式に日本選手への飛び火にならないことを願うばかりだ。

 

 

 

リーグワンプレーオフに入替戦、サクラフィフティーンにJXVとラグビー三昧の週末をいかがお過ごしでしたか?

 

小生はもちろん自転車通勤圏内のスタジアムへ。

詳細はいずれまとめてとも考えていたが、試合後の会見待ちの時間に、とある知り合いから「もっと書いてよ」とお叱りもいただいたので、ファイナル前打ちも兼ねて、少々週末のおさらいを。

 

SFという舞台、そして2日間で33988と、なんとか体裁は保てた観衆の期待には応えた160分(かな?)。とりわけ、日曜の2位vs3位はなかなかに見応えのあるバトルになった。

 

クボタスピアーズ船橋・東京ベイと埼玉パナソニックワイルドナイツ。この2チーム、わずか3週間前には同じ会場で、おそらく今季取材した中でベストバウトを演じた連中だったが、1か月に満たない再戦でも、最上級の80分を演じてくれた。

 

ご存知だろうが、参考までに今季のユニコーンvs野武士を。

 

Week 2   12.28 熊 谷 ●24-26

Week17    5.  3  秩父宮 △29-29

SF            5.25 秩父宮 〇28-24

 

2点差負けに引き分け、そして4点差の勝利。凄まじいバトルの中で、ユニコーンが最後に常勝軍団をねじ伏せた。

 

「おさらい」なので簡単に。勝因をシンプル言えばディフェンスの勝利。

初代リーグワン王者の野武士軍団は、2シーズン連続でのファイナル敗退という苦い終焉の中で、伝統の堅守からのカウンター攻撃命という、野武士というより〝百姓一揆〟スタイルから、得点力でもトップを目指せるアグレッシヴなラグビーに段階的に転じてきた。だが、この日のバトルを見ると、自分たちの信条でもあった防御で優位に立ったのは、今季2戦負けなしの対戦相手のほうだった。

 

主導権争いが続く前半をみると、ワイルドナイツの仕掛けたアタックが、フェーズを重ねながらもスピアーズ防御をほぼ崩せていない状態が続いた。唯一のトライとなったのは、No8ジャック・コーネルセンのゴール前スクラムからのサイド突破だが、スピアーズが見せた明らかな綻びはこのシーンだけだった。

 

リーグ戦を振り返っても、スピアースは得点数では12位中5位だったのに対して、失点数(少なさ)ではトップ(1試合平均13.5)に立つ。この堅い防御については、準決勝後でも選手、スタッフ誰もが名を挙げたのが〝ストーミー〟ことスコット・マクラウド。前職オールブラックスでの防御担当から船橋にやってきた男は、日本のファンには東芝府中不動のCTBとしても知られているが、チームをワールドカップファイナルまで支えた実績は伊達じゃない。

 

しかしその一方で、イニシアティブ争いが続いた線半の防御を観ていて感じるのは、システムとしての完成度と同時に、個々のタックルスキルの高さ。巨漢選手もおおい船橋の男たちだが、しっかりと腰を落として、相手の懐から臍あたりに体を食い込ませたヒットが目立った。勿論、こんなベーシックスキルも前オールブラックスコーチによる賜物かも知れないが、ここ数年、つまりフラン・ルディケHCの下で、フラン、そしてコーチングスタッフが丁寧に仕込み、積み重ねた財産なのかという印象だった。

 

PMOはSH藤原忍。前半のキックチャージからのトライも然ることながら、後半のスライディングで奪い獲ったフェアキャッチに、このチームの防御の意識、質の高さを感じさせた。文句なしの受賞だった一方で、主導権争いという勝つには大切な時間帯、スコア帯で、チームの防御力を象徴するように接点での戦いで何度も野武士のアタックを寸断したFLタイラー・ポールに〝ご褒美〟をあげたい。

 

野武士も流石なのは、前半の相手のオレンジの壁を、早い展開からのWTB竹山晃輝、SO山沢京平の連続トライで1点差まで追い詰めたこと。このスコアを見ると、やはりこのチームは攻撃に転じてからの早い仕掛けでチャンスを作るのが強みと再認識させられるが、そのカラーが重要なファーストクオーター、ファーストハーフに存分に見せられなかったのは痛かった。

 

ボールキャリー回数はスピアーズの89に対してワイルドナイツは136。パス回数も131対195、ゲインメーター131対330、そして22mライン内侵入も6対10と、アタックの数値は勝者よりポジティブだった。

 

だが、両チームのプレーを見比べると、僅かではあるがプレー精度を欠いていたのは敗者の方だった。22分にワイルドナイツが敵陣22mを超えてゴール前まで攻め込んだシーンでも、スピアーズに14フェーズを守り切られ、後半立ち上がりでも22m内で19フェーズをスコアに結び付けられなかったが、接点での重さ、強さも含めて、野武士のアタック陣が若干焦りを感じながらプレーしていたことが、無理なパスなど精度の乱れに繋がったと感じられた。22mライン内に攻め込んでのスコア率を見ても、勝者の3.6点/回に対して野武士は2.4点/回と遂行力で劣り、反則数に目を向けてもスピアーズの6に対して11と敗者の数値だった。

 

それでも1点差まで詰めたのはワイルドナイツの底力を感じさせたが、〝逆転のパナ〟を完遂できなかったのは、後半のセットピースでの致命的な反則&ミス。スクラムに関しては、この日のスピアーズにとってはディフェンスに次ぐ第2の強みであり、このチームをここまで勝ち上がらせたプライドでもある。そこで野武士が太刀打ちできなかったのは、運ではなく明らかな自力差と言っていいだろう。そして、終盤勝負のかかったラインアウトでのミスも致命的だった。過度に注目されるのも大変だが、若きHO佐藤健次にとっては痛恨の一投にはなった。しかし、いまこのヒリヒリする大舞台で起用されたというコーチ陣の〝投資〟に感謝して、この日の経験を糧にするしかない。

 

敗者にとっては2022年のリーグワン誕生から初めてファイナリストを逃したことになったが、この日の苦杯の中で敗者に感じるのは「次の黄金時代」のための投資を続けながらここまで勝ち上がって来た姿だ。過去にはベリック・バーンズというリーグ最高峰の司令塔を擁し、その後は円熟期に入った松田力也を手離して今季から26歳の山沢京平をゲームメーカーに据えた。

 

だが、抜群のポテンシャルを持つ一方で、この若い10番が歴代司令塔の演じてきた勝つためにゲームを組み立て、窮地にどうチームを動かしてゆくかをオーガナイスして行くのは容易な事ではない。それは、昨季の日本代表での経験値を積んだとはいえ、長らく田中史朗、内田啓介という代表SHの陰で十分にプレー時間を伸ばせなかった小山大輝も然り。先に触れた佐藤も同じように投資段階の選手だ。この日のように、相手が強烈な強みを前面に出しながら仕掛けてくる展開の中で、彼ら経験値蓄積中の素材組で戦った準決勝でもあった。

 

そして、誕生から4回のファイナル全てが異なるカードというのも興味深い。

 

20221 ワイルドナイツ    18-12  サンゴリアス

22-23 スピアーズ               17-15  ワイルドナイツ

23-24 ブレイブルーパス 24-20  ワイルドナイツ

24-25 ブレイブルーパス     ?     スピアーズ

 

敢えて決勝スコアをアップしておいたのは、全ての決勝が王者を争うのに相応しい白熱の闘いだと再認識したかったから。平均得失点差4。今週末も、こんなクロスゲームは期待されるカードだが、日曜の試合を観た限りでは、スピアーズの分厚いオレンジの壁による防御力と、総合力、なかでもリーグナンバーワンの得点力(1試合平均41.2)、リーグ唯一の3ケタトライ(111)の攻撃力を誇る狼軍団の真っ向勝負を期待したい。

 

日曜日のゲーム同様に、スピアーズの分厚い防御、そして重量感あるスクラムに対して、ブレイブルーパスが、どこまで遂行力を見せられるか。この強みの部分で、序盤の主導権争いで優位に立ち、もし期待通りに後半もクロスゲームの様相になった時に、強みを出し切れるかが勝負になる。いずれにせよ、レコードブレーキングな観客を集めるのに相応しい30人がピッチに立ちつ試合になるのは間違いない。

 

後は、リーグがどこまで席を埋められるかだ。

 

 

 

いいよいよ開幕したプレーオフ。カーテンレイザーは、インバウンド勢に支配された町にわざわざ来た甲斐もある〝おもしろい〟ゲームを楽しんだ。

 

なんといっても39歳のヤンブーことPR山下裕史だ。キックオフ直後1分あまりのファーストから、現代ラグビーではあまり見ないほどのスクラムの連発。開始15分でおそらく2.5分に1回ほど16人の男たちが組み合った。スクラムを信条とするリーグ4位、そしてスクラムで生きてきた〝戦う課長〟にとっては、おあつらえ向きのゲームになったが、そこは強雨によるウェットコンディションと、「トップ3」に比べると若干無理なボール繋ぎ、プレー精度の低さが祟った結果でもあった。

 

だが、その組み合いは、奇しくも1週間前の同じカードで押し込まれたリーグ5位が、ファーストスクラムからがっしりとレヴズの押しを受け止め続ける展開に。課長の大奮闘と同時に、1週間前にはなかったLOブロディ・レタリックと、ヴィリー・ポトヒエッター&ワイサケ・ララトゥブア両FLの強烈なサポートも効いていたはずだ。立ち上がりの数回を優位に組んだことで、序盤の主導権争いで優位に立ち、ゲームの流れはスティーラーズに若干傾いた。

 

それでも折り返しの時点でスコアはスティーラーズの24-17。この僅差を守れたのが、今季トップ2に3戦全勝というレヴズの底力だ。決して完成度の高い前半40分ではなかったが、その一方で、両チームとも相手22mラインを突破した時は全てスコアに結び付けたのは流石上位チーム。このクオリティーの高い状況を止めてしまったのは、実は勝者のインジャリータイムでのラインアウトだった。

 

後半に入ると、このクオリティーに異変が起きる。鉄の男たちがFB承信のファイントライで先制するも、22m内に攻め込みながらスコア出来ない状況が続く。その中で〝遠州のトライマシーン〟SH北村瞬太郎のトライなどでレヴズが4点差に肉迫。どう転ぶか分からないような戦況で、後半折り返しを過ぎたが、そこから「勝負勘」が明暗を分けた。

 

63分に、ミッドフィールドでのレヴズの連続攻撃を37歳のSH日和佐篤がジャッカルで止めると、66分には神戸陣22mに攻め込んだレヴズラインアウトを、舌を噛みそうな名前の32歳LOジェラード・カウリートゥイオティが見事にタップ、そして69分には再びミッドで仕掛けた静岡オープン展開で途中出場の30歳PR渡邊隆之がパワフルランナー24歳のWTBヴァンス・テファレをジャッカルで仕留めた。

 

この6分あまりの時間での30代トリオの3つの寸断で、流は大きく神戸に傾いた。レヴズが個々のポテンシャルでは上位とやり合えるまでに上がって来たのは明らかだ。だが、この日に神戸に差をつけられたのは、先に挙げた勝負勘。どのような状況、戦況で、どこまで危機を察知して、集中力の高いプレーが出来るか――。こんな判断力では、この日は神戸の30代オジサン軍団に軍配が上がった。裏を返せば、この痛恨の〝わずか1差の下剋上〟からレヴズが学ぶべきものは大きいだろう。

 

神戸のオジサンばかりを奉ったが、この日は24歳のFB李承信もジャッカル、個人技を駆使したトライ、視野を生かした絶妙キックパスと攻守にキレキレのプレーを連発。25歳の松永貫太、22歳植田和磨もシャープな走りを連発して〝若い衆〟もしっかりとパフォーマンスで魅せた。

 

1週間後は、リーグ1位との激突になる。昨日倒した相手以上に、勝負勘も経験値も長けた選手が揃うだけに、どこでアドバンテージを持てるかが注目される。基本的には大きく強いFWを軸に優位性を作る神戸だが、トップ2に勝つには、そこにプラスαが必要だろう。冒頭に〝おもしろい〟と書いたが、この言葉ほど抽象的で危険な表現はない。過去には、リーグ昇格条件に「おもしろい」と唱えたびっくりリーグも存在したが、こんな個人の好き嫌いで評価がどうにでもなる言葉は使う方も、聞く方も要注意だ。この日のおもしろさは、FWのいい圧力を持ちながら、驚く程イージーに失点し、スキル精度もこのチームのスタンダードからすると基準以下のプレーも連発するため、獲ったり獲られたりという展開になったから。もちろん、静岡側にも同じ粗さはあったからのゲーム展開ではあったが…。

 

屁理屈をこねくり回したが、来週のαは何か。やはりパワーゲームのブーストか。それともエキストラマンの投入か。ノックアウトトーナメントで、マイケル・リトルラファエレティモシーという経験値が高く、計算出来るミッドフィールダーで固めたのはセオリーとして間違ってない。この試合でも攻守にこの2人が効いていたのが勝因の一つなのは間違いない。だが、買いかぶりし過ぎかも知れないが、もしかしたら粗さとなかなか見られない程のダイナミックさを持ち併せるタリ・イオアサあたりの起用が、上位へのいいギャンブルになるのではないだろうか。

 

 

 

 

リーグワン最終節ウイークは雨天の秩父宮から。

入替戦行きの最下位と、今季ラストゲームという顔合わせは、まだ「次」があるチームの真剣さが影響してか、下位チームが上位相手に80分間リードを許さないゲームで締めた。

 

勝者は、勝つことだけが価値のある「次」を意識したゲームプランを徹底したという点では評価できる。イージーなミスによる若干のエクスキューション不足は露呈したために前半を終えて28-21という白熱のスコアにはなったが、自陣からはキックでしっかりエリアを獲り、スコアチャンスは迷わずショットを選ぶ。シャトルズとの2連戦を多分にシミュレートしたゲームを見せ、〝ハイランドの英雄〟グレイグ・レイドローHCは、こう〝ラストマッチ〟を振り返った。

 

「先ずは相手より多く得点出来たことがゲームプランでもあったので、そこは満足しています。課題にしてきた積極的に攻めるところ、キックを使って戦うところは、勢いがあるかないかで判断しないといけないが、そこは大きな成長が見られたので、この先の2試合でもそこを見せて、積極的なラグビーを見せていきたい」

 

一方、ダイナボアーズには最下位確定チームへの黒星以上に重い敗戦になった。本来なら前節でプレーオフも入替戦も無くなった立ち位置のため「勝っても負けても」のはずが、6勝12敗の9位という成績は勝ち数、順位で昨季タイ(ヴェルブリッツが10日のスピアーズ戦で勝ち点3以上を獲得すれば10位に後退)、試合数が2増の18試合となったことを考えると、成績を僅かながら下げたことになった。一昨季の昇格から2シーズン連続で1歩ずつ成績を上げてきたチームが、初めて〝ステップダウン〟の成績で終えたシーズンになってしまった。

 

この成績をグレン・ディレーニ―HCは「リーグ自体が昨シーズンよりも全てのチームが強くなっている。その中で、我々も7位になる可能性も10位に落ちる可能性もあったタイトなリーグだった」と前向きに総括したが、反則の多さ、そして勝負所で何度もスクラムでペナルティーを犯して好機を作れない戦いぶりは、今季のチームの課題が如実に出た80分だった。

 

ピッチ外のトピックスとしては、ゲーム終了とほぼ同時にダイナボアーズが20人という大量の退部選手を発表。先にコラム(⇩)で紹介した〝やっさん〟ことHO安江祥光、入団当初から1シーズン限りとされていたカートリー・アレンゼも、そのリストに書き込まれていた。

 

 

 

 

カートリーについては、近々とある媒体に〝さよならインタビュー〟という類のものを掲載する予定なので後日お知らせするが、やっさんは、内々ではシーズン開幕前の時点で退団が確定していた。

 

「契約期間は1年1年の更新なので、ウチも若手のHOがいて合計7人いますから。伝えられたのは(去年の)夏ですね。プレシーズンの時に言われて、それを自分自身の心を燃やす糧にしてやってきました。(口外しなかったのは)ウチの選手が『えっ!』と驚く瞬間というのもなんだか面白いなと考えていました」

 

最終節はメンバー外ながら特別にミックスゾーンで取材に応じた安江が退団の経緯を話したが、「最初に(アレンゼと一緒に)南アフリカに履歴書を持って行こうかな。生年月日はすこしぼやかしてね」と相変わらずの明るさで通した。

 

今後の進路は未定というが、「求められる所があればチャレンジしたいですね。今まで僕が学んだものをアウトプットして、チームに何か貢献出来る場所があれば、惜しみなく貢献したい。ディビジョン2、3、もっと下でも問わないですね。僕はもうグラウンドで表現出来ればいい。こうやって(ダイナボアーズで)何千人、何万人のお客さんに観てもらうのも華々しいですけど、普通にこのへんの土のグラウンドでもやってくれと言われれば僕はやりますよ」とオールカマーの姿勢で〝次〟のステップに挑む。