備忘録代わりにすこし書き残しておこう。

 

昨夜のJRFU理事官ブリーフィング。通常7割5分は、お堅いハナシに終始するのだが、すこし〝おもしろい〟発表があった。

 

既に、ご存知の方も多いと思うが、日本代表エディー・ジョーンズHCへの処分問題だ。事案の詳細はJRFUオフィシャルサイトや報道もされているが、簡単に書き留めておこう。

 

4月のU23日本代表のオーストラリア遠征中の3試合における、レフェリー等への不適切な発言に対して、JRFUとして同HCに下記の処分を科したというもの。

 

・4月24日に遡り、6月5日までの日本代表HCとしての指導の自粛

・下記代表系の向こう4試合への関与禁止

  5.22  日本選抜 vs 香港選抜

  5.29       同

  6.27  ジャパンXV vs マオリオールブラックス

  7.4     日本代表 vs イタリア代表

・減俸

 

当事者であるエディー本人、そして任命責任のあるJRFUにとっては由々しき問題で、スタンスとしては平身低頭といった姿勢だったが、不謹慎ながら第3者からみると笑えるハナシだった。

 

残念ながら、事態の詳細は明かされていない。だが、オーストラリア協会サイドからもわざわざ文句が来たこと、日本サイドの深刻な受けとめ方を鑑みると、相当に酷い暴言だったのだろう。言われた側は、まさに看過できないというレベルと考えられる。

 

今後は、余程の状況ではない限り、エディーがピッチレベルで騒ぎ立てる状況もないだろうから「再発」の恐れは、そう多くはない。だが、ブリーフィングでの岩渕健輔専務理事の説明を聞きながら感じたのは、エディーの〝狼藉ぶり〟を嘆いたり憤ったりという感情ではなかった。

 

すこし(それこそ)暴論と思いつつも、頭の中では「それぐらい勝負や、勝負に関わるジャッジに対して噛みつくようなボスのほうがいい」と感じていた。以前から暴言や、論争好きというイメージもあるエディーだが、それもこのコーチの負けず嫌いの性格が為せる業だ。そこで感情的にならずに、どう振る舞うのが大人の判断であり、自分たちの利益なのかと冷静に考え、より適切な行動や発言が出来るのがあるべき姿かも知れない。

 

現に、この暴言で、今後のエディーが、例え正当性のある批判でも口に出来ないことになるだろう。そうだとしたら、エディー本人は勿論だが、日本代表というチームにとっても損失になる。だが、今回が「やり過ぎ」だったとは推察しながらも、勝つためには食って掛かるくらいのパッションがあるのは、あくまで個人の意見だがOKだ。

 

今回もおそらく着火点となったレフェリングを考えると、これも個人的な見解だが、ジャッジにミスがあっていいと思っている。勿論、極力ないほうがいいが、それでもミスジャッジは存在する。何故ならスポーツだから。でも、だからと言って、そのミスジャッジを聖域にするかと言えば、そうでもない。ミスジャッジもOKだが、それに対する選手、チームからのクレームもあっていい。

 

ただし、ジュニア、ユースレベルの試合は注意するべきだろう。この世代は、不利なジャッジなどが起きても、ブレずにプレーを続けるメンタリティーを養うべきだからだ。この育成段階でジャッジで自分たちの行動や心理が悪い方向に変化するなら、批判、暴言は避けるべきだ。

 

レフェリーと選手の関係性について再認識させられるような、非常に興味深い動画を先日目にしていた。リコーブラックラムズ東京がアップしたものだが、試合後のロッカールームに今季限りで引退する滑川剛人レフェリーを招いて、タバイ・マットソンHCが感謝の思いを伝える動画だった。だが、そこには敬意や社交辞令だけではなく、チーム、レフェリー双方が、これまでの様々なゲームで衝突した過去も認め、踏まえながら、レフェリーという立場から退こうとしている「仲間」を労い、認め合う空気に包まれていた。それは祝福された滑川レフェリー自身も同じだった。選手vs選手だけじゃなく、選手vsレフェリー、チームvsレフェリーでも、相克があり、やはりノーサイド精神はあるのだ。

 

説明を聞く限り、今回エディーもいくつかのミスを犯したと感じられたが、とりわけ拙かったのは、この動画のように、全てが終われば、互いに認め合い、尊重する配慮に欠けていたことだろう。2試合目後にはエディーから謝罪の姿勢もあったと説明されたが、現場で詳細を観ていたわけじゃないが推測するに試合後も怒りが収まらず、いつものエディーなら得意なはずのウイットのあるやり取りも出来なかったのだろう。そこで、相互理解、尊重の働きかけがあれば、ここまで事は重大にならなかったかも知れない。

 

捉え方次第で、そう受け入れられない方もいるだろうが、エディーが自分が責任を持つチームを、例え練習試合でも、今回のような若手選抜チームでも、徹底して勝ちに拘る姿勢は日本でプロコーチを始めた1990年代から変わらない。おそらく来日以前のオーストラリア時代からそうなのだろう。やり方、振る舞い方、そして起きてしまったことへの事後対応などを、もうすこし思慮深く考え、行動すればいい。

 

勿論、今回の案件について、ここからさらに炎上させるべきではないし、その必要もない。今回のことは、協会発表およびエディー自身のコメント通り、額を地面に擦り付けて謝罪し、再発防止を誓いながら、勝利への飽くなき執念は、今まで通り滾らせる指揮官であってほしいものだ。

 

追記しておけば、この夜のJRFUの謝罪の一部は、エディー自身の振る舞いと同時に、それを抑えられなかった代表スタッフの組織としての至らなさにも向けられていた。具体名は出さなかったが、代表の統括責任者でもある永友洋司チームディレクターを筆頭にしてマネジメントスタッフらにも非があるという指摘だが、本来は許されるべきではないが、実際にそのような状況でエディーにもしっかりと意見して、オーガナイズ出来る人物はまだまだ配置出来ていないのがJRFUの現状でもある。

 

いずれにせよ、JRFUとしては、金輪際このような振る舞いはやめてくれという思いなのは間違いないし、冗談で済まされないハナシだろう。エディーもそうするべきだろう。だが、特効薬があるとしたら、常に指揮官に紙袋を持たせて、今回のような怒り心頭な場面では、グラウンドの隅まで行って、袋に向かって暴言を吐き散らさせればいい。

 

 

 

 

リーグワンはレギュラーシーズンが終わりプレーオフ、入替戦という最終コーナーへ。

週末は、皆さまどのスタジアムへ出向きましたか?

 

各々、楽しめる80分だったようだが、観戦ゲームのおさらいを、先ず土曜日から。

 

熊谷らしい強風、否豪風の中でのプレーオフ前哨戦①は、スコア上では期待外れではあったが「見応え」という意味では、十分遠出の価値はあったと感じるゲームだった。

 

書き残しておきたいのは、勝者の#10山沢拓也のパフォーマンス。ここは唸らされた。

 

先ず興味深かったのは、横殴りの風の中で両チームがどんな戦いを見せるか。

伏線になったのは同じワイルドナイツがD-Rocksによもやの黒星を喫した1週前の試合だった。ゲーム自体は、デビュー戦で28タックルを敗者に食らわしたFLオスティンなどのトピックスがあったが、港区北青山では異例の強風がインパクトを残した。

 

ワイルドナイツの風下からのキックオフでスタートした80分。セオリー通り、通常以上にキックを抑えてパス&ランで仕掛けた中で、首位チームの12-17で折り返した。試合前の時点で最下位だったチーム相手に、よもやのビハインドでのハーフタイム。とはいえ、逆転が信条であり、猛烈な風上に立つはずだった後半に〝まくる〟のは、そう難しくない見通しでもあった。

 

だが、後半が始まると、1時間前に吹き荒れていた風は凪に転じていた。これが決定的な敗因とは言えなかったが、個人的には非常にシンプルかつ短絡的な〝学び〟を感じていた。

 

強風の日は前半風上を取るべし

 

これが不変の定理だとは主張しない。だが、いつ何時どう変化するか判らない自然現象に関しては、その時点=キックオフ時の状況を優先するべきだと実感した。。

 

それから8日後の熊谷も、さらに強い風の中でのゲームとなったが、ワイルドナイツは再び風下からのキックオフでゲームを始めたのだ。しかし、前週と違っていたのは「10」が齊藤誉哉から山沢に代わっていたことだ。

 

スタンド最上段の記者席からキックオフのカウントダウンを聞きながら頭の中で、こう呟いていた。

 

「この風下からのスタート。ワイルドナイツと山沢はどうゲームをデザインするのか」

 

その回答が、キックオフから見て取れた。山沢の右足から蹴り上げられた楕円球が、強烈な向かい風で押し戻されながら落ちて来る。それを身長198㎝の#5エセイがキャッチしてラック。そのまま左展開して、CTB長田智希がラインブレークしてそのままインゴールへ。電撃トライは開始20秒の出来事だった。

 

向かい風は一般的には厄介なものではあるが、ハイパントに限れば〝いい選択肢〟になる。それをものの見事に体現したキックオフだった。

 

このキックだけなら「よくできました」レベルだが、この#10は15分には自陣22mライン内から逆風を突いて50mのエリアキックを繰り出し、1分後にもロングキックとは言い難いものの再び22m内からエスケープキックでハーフライン後方まで押し戻すなど「風下=不利」というセオリーを蹴散らした。

 

勿論、ここが山沢にとってのホームスタジアムという利点はあった。本人は見事なエリアキックについては「風が舞っているので、どのエリアならどんな方向に吹いているかも意識しながら蹴った」と振り返る。ピッチの上で、どの位置でどんなキックを蹴ればいいのかをしっかり頭にインプットし、同時に刻々と変化する風も読みながらゲームを組み立てていたのだ。

 

足だけではない。21分の自らのトライは、敵陣右展開でのフラットパスで、縦に走り込んできたHO坂手淳史に防御ラインを崩させてから、次フェーズでのCTB長田への内返しから再びパスを受けてと、ハンドリングワークで仕留めた。この個人技で、スコアは21-0。ここまで1試合平均19.8失点しか許していないチームとしては〝セーフティーリード〟として、流れを引き寄せた。

 

エディー第一期政権の時に、高校生で練習生として代表に呼ばれた山沢だが、エディー→ジェイミー→再びエディーと、代表に呼ばれては外されるという憂き目を味わわされてきた。天性のアタックセンス、足技を持ちながら、防御、フィジカル面を中心とした不安定さを嫌われてきたが、この日のパフォーマンスを見ると、やはり魅力溢れるアタッカーだ。この試合がリーグワン100キャップのメモリアルマッチとなり、特製Tシャツで祝福された山沢に、敵将リーチマイケルは試合後の会見で「大きな怪我をしながら山沢が100キャップを獲得したのは本当に嬉しい」と称えたが、度重なる怪我の中で「100」に到達出来たのは、健在ならスタート、ベンチに関わらず常にメンバーに選ばれていたことも窺い知れる。

 

勿論、このワンサイドは山沢1人がゲームを支配したわけじゃない。大きな要因は接点でホストが優位に立ったこと、敗者がセットで不安定さを見せ、シーズン通しての課題だがディシプリンの低さ(それも接点が要因ではあるが)、徹底し続けてきたキックを使わないアタックなどの要素があっての45-0ではあるが、次のステージ=プレーオフでも、野武士の#10のファンタジスタぶりは楽しみな要素になる。

 

あまりにワンサイドになった土曜日とは対照的に、日曜のプレーオフ前哨戦②はスリリングな展開になった。

 

と、書きながら、実はスコアや試合展開以上に「1位通過」側の強さを印象付けた80分だった。

 

最終スコアは神戸の24-19。「いい試合じゃん」でいいスコアではある。だが、レッドゾーン侵略=22mライン突破を軸にした〝数字あそび〟に勝敗の明暗が読み取れる。

 

スタッツ上でのレッドゾーン侵入回数(カッコ内は22m侵攻回数分のスコア率)は下記の数字だ。

 

スティーラーズ 9(2.3)

スピアーズ   7(2,7)

 

スコア率ではむしろ敗者が上回っている。だが、さらに詳細を深掘りすると、興味深い差が見えてくる。

 

手元のメモでは、22m侵攻は少し違う数字が残る。

 

スティーラーズ 7

スピアーズ   6

 

これはあくまでもゲームを見ながらのメモ書き、つまり見落としもあれば、厳密な22mラインを越えた回数ではなく、一連の攻防の中で何度かラインを前後したようなプレーは「1回」とカウントしているものだ。

 

この数字の中でスティーラーズは、前半2回のレッドゾーン侵攻で2トライをマークしている。対するスピアーズは、前半を19-17で折り返しながら、5回の22m突破で3トライ。悪い数字ではないとしても、神戸の効率には及ばない。そして後半を見ると、22m突破は神戸5回、船橋1回と逆転。しかも、神戸が初めて船橋を自陣22m内に入れたのは後半35分のことだった。

 

戦前にSNSですこし呟いた数字をおさらいすると、1試合平均反則数9だったスピアーズのこの敗戦での反則は13。平均12から10に抑えた勝者とは差をつけられた。同じく「優等生」数値だった1試合平均得失点差21も、スコアが示す通りの結果だった。神戸がよく守り、ディシプリンでも上回ったという結果は、勝ち進めば再び相まみえる決勝戦でも少なからず影響を及ぼす数字になるだろう。

 

その一方で、かなり地力のある神戸に対して肉迫するスコアを残した船橋も十分〝圏内〟という力を示した。数字が全てを支配するものではないが、この日に計測されたものを覆して船橋が悲願の覇権を掴むには、何かの上乗せがマストになる。

 

 

 

4月に逝った方について少々

通夜に向かった時点では、こういうのは心の中にとっておけばと思っていた。

それでも、あまりにも溢れる「優勝チームの引き立て役」という宮地さん像は違うなという思いと、編集サイドも追悼文にポジティブだったこともあり拙文を上げた。

 

 

 

 

故人への思いは、コラムで書いたものが大方なので書き足すものはないが、喪主も含めて関係者とは「本人はきっとグラウンドで死にたいと言ったかな」と話した。そんな事を言い張る大人気の無さも宮地さんの魅力だった。でも、その生涯の長くをラグビーに囲まれ、逝ったのは本望だろう。こんな素敵な生き方って、そうあるもんじゃない。

 

もうあのダミ声が聞けないのは寂しいが、声もお顔もそう忘れるようなもんじゃない。どこかでひょいと声を掛けられそうな気もする。

 

「ジブン、まだ書いとんの? もっとええ記事書かんとあきませんがな」

 

ありがとうの思いしかない宮地さん。

天国からのラグビー観戦楽しんでください。

 

 

 

(本来、SNSで呟く案件が、深夜に書き進める中で伸びてしまったので、やむなくぶろぐの体裁にしています)

 

ふむふむ、2試合で平均得点67.6、同失点12。

アジアでは圧倒的な力の差は、しっかりと証明した。実際のゲームを見ても、失礼ながら旧香港はやはりクラブチームレベルだろう。日本にとっては「ここ」が主戦場ではない、ではいけないという2試合だった。

 

ちなみに、開催地となったカザフスタン随一の都市は、その日本語表記が林立する。元来は「アルマトイ」。カザフ大使館HPでは「アルマティ」となり、イントネーションは「アルマトゥイ」。通信社表記は未だ「アルマトイ」かも知れないが、今回は中継でもなんとなくそう聞こえる「アルマティ」で。イントネーションは「ティ」と「トゥ」の中間なんだよな。

 

実際、今回のメンバーを見ても、経験値の高い選手に新たな力を入れた編成。ワールドカップへ向けた〝新体制〟の始動という位置づけなら、こんなものかという大会でもあった。

 

ピッチ上では、このレベルでプレーする意味があるのかと感じさせた松田凛日がトライだけではなく、アシスト、チャンスメークでも圧倒的な攻撃力を見せた。この人、やはり海外でプレーしたほうがポテンシャルは引き出されるだろうな。その一方で、〝若い力〟ではPR藤殊華がインパクトを残した。まぁ、ほとんどの選手がインパクトを残したのではあるが…。

 

男子日本代表でも強力スクラムで鳴らした久富雄一から、その名は聞いていた。

 

「僕が見た中では、日本で一番スクラム強い子です。なので、1番から3番に転向勧めましたから」

 

女子チームのスポットコーチ経験もある〝ドミ〟さんが力説するのを聞いて、かなり信憑性はあると感じていた。明治大-神戸製鋼でHOとしてプレーした高之(現スティーラーズ・チームマネージャー)を父に持つ。しかし、25歳で選ばれたこのツアー、カザフ戦途中出場で初キャップ、この旧香港戦で初スタメンと遅咲きなのは、相次ぐ怪我も祟ったとドミさんから聞いた。

 

そんな藤さんだったが、「3」を背負ったゲームでは前半終盤のスクラムで、相手トイメンの1番を仰向けにするほどめくり上げる強さを披露。自らトライもマークする〝おみやげ〟も手に入れた。

 

ちなみに、この第2戦も失点は12点だったが、後半の初失点は、CTB古田真菜の得意技でもある最上のジャッカルをオフフィートと判断されたPK速攻から奪われたものだったが、あれは「自立していない」というジャッジが厳しすぎる。正当な判断なら、日本のPKで自陣からエスケープ出来ていただろう。

 

すこしチームを持ち上げたが、特に立ち上がりのプレー精度の低さはかなり首を傾げて観ていた。「立ち上がり」だからミスもあるとも解釈出来るが、「このレベルの相手に、あの精度」とすこし厳し目にみてしまう。ムーヴでのパス繋ぎ、ラインアウトと、すこし溜息が出てしまうプレーもあった。

 

これもカザフ戦後に呟いたが、日本が、もしかしたら男子以上に強みにしなくてはいけないスピードは、このクラスの相手だからOKというレベルだと感じさせられた。というのも、繰り返しになるが、ジャパンが戦わなければいけない相手は、遥かに上のステージにいるからだ。しかも、欧州勢は女子6か国対抗、南半球・北米でもパシフィック4、クラブレベルのスーパーラグビーと、追走する日本より更に充実した強化環境を確保している。

 

W杯、WXV2で勝つには、やはりスピードは武器にするべきだろう。だが、アジアでの戦いを観るとどうだろうか。

 

すっかりお姉さんになった新主将のSH津久井萌(とはいえデビューが早いのでまだ26歳)が、ラックに入ってしまうシーンを散見したが、その多くはブレークダウンに辿り着く選手が、日本が理想とするスピードではまだ十分サポートし切れていない印象だ。松田凛日がタッチ際を駆け抜け、内に切れ込んだプレーも何度も観たが、上位国にスピードでプレッシャーを掛けるためには、その内に切った後のラックに、もっと周到に準備されたサポート選手が駆け付けている状況を用意出来ていなければ難しいだろう。


冒頭の少し乱暴な書き方も、このアルマティの2試合も、相手にカザフや旧香港ではなく、イングランド、ニュージーランド、カナダらをダブらせながら観ると、どうしても粗が目についてしまうものだ。

 

この2試合で感じたのは、このアジア最強トーナメントについては、日本は女子版ジャパンXVやジュニアジャパンで十分だろう。もし、選手やスポンサーへの配慮で「テスト」と扱うならそれもOKだが、実質ここから代表に挑んでゆくセカンドチームでの参戦で十分だと感じながらの観戦だった。理想としては、カザフ行きではなく欧州やオセアニアへのエアチケットが必要だろう。

 

この上位国との格差については、すこし警戒して世界の流れを観る必要があるだろう。敵地でオーストラリアを倒した2022年シーズン辺りをピークに、日本は徐々に世界トップの争いからは後退が続いていると、個人的には感じている。「WXV」というありがたい大会も2シーズンを終えたが、日本は未だ〝ディビジョン2〟であり、よりプロ化を推進するトップネイションズとの格差を埋めるための有力な材料、環境は十分とは言い切れない。

 

その一方で、カザフ戦の後にも少々触れたが、このアジアの2か国の競技力を引っ張り上げるには、日本が手を差し伸べる義務もあるだろう。2度目の〝祭典〟を呼びたいのなら尚更だ。

 

アルマティでの2試合160分。オンラインでの観戦で、頭に残ったのは、更に入ステージでの強化の必要性と、アジアへの眼差し。随分と性格の異なる2つの宿題が残された大会が終わった。

 

 

 

専門外のスクラムについてのおはなし。

 

みちのくへの旅など〝寄り道〟したため、3月に予定していたネタを遅ればせながらアップした。せっかく遅らせたので、4月にも実は北与野にあった〝虎の穴〟を再訪問して、付け足しをしてから編集サイドに最終稿を手渡した。

 

2年前に〝開校〟した後、この教室の存在を知り「おや」と思っていたが、失礼ながら、企画倒れに終わる可能性も考えていた。開校1年以上が過ぎ、運営も出来ているのかという思いもあり、ペコさんに直接連絡。「先ず概要を聞かせて」とお会いしたら、概要のヒアリングがそのまま取材になってしまった。裏を返せば、それほど聞き応えのあるハナシだった。

 

 

 

 

今や堀江翔太や稲垣啓太がスポットを浴びる時代だが、それでもまだまだフロントローの〝市民権〟は十分とは言い難い。誰もに持て囃される時代じゃない。まぁ、それが出来ているのはジョージアだけかも知れないが…。

 

個人的にはフロントローという稼業は、究極的には縁の下の力持ちでいいとは思う。独り歩きするイメージで褒め称えられるのではなく、いかに仕事をやり遂げられたか。その中で、ペコさんが訴える通り、このポジションでも「輝ける場」はあるのは真理でもある。いや、むしろTBやバックロー以上に構造的であり理論的、そこに情緒的な要素が加わるのがフロントローの、そしてスクラムの世界だろう。

 

 

▲ペコさん曰く「昭和の練習ですよ」。その通りのメニューでスクラム師を育てる

 

 

普段は寡黙でシャイな男たちだが、スクラムを組むことにかけては雄弁だ。そして、組み合う瞬時に、両サイドがどう相手より優位に組むのか、個々にはどう首をとるのか、駆け引きと権謀術数を巡らせるフィジカル且つサイコロジカルな勝負を、80分の中で刻々と繰り返す。味わい深い、尚且つ人間臭いポジションだ。

 

今は亡き岡仁志監督を同志社に訪ねると、よくこうこぼしていたのを思い出す。

 

「もう今は、新入生は怖くてスクラムをよう組ませられんわ」

 

高校で1.5mルールーが導入され、中学では実質上ノンコンテスト。そこで、いきなり大学に入って先輩らとフルコンタクトで組み合うのは、当時でも危険なことと認識されていた。幸いなことに、大工大高(現常翔学園)ら全国トップクラスの強豪高校の指導者たちがスクラム練習を怠らないために、まだ組み合う経験を持ちながら大学に進学してくる新入生もいるのが救いだが、多くの高校ではそこまでスクラムを学ばないまま進学してくるのも現実だ。

 

2歩も3歩も引いてみれば、今でも、否今だからこそ更に、テストラグビーでも重要なファクターのスクラムを、大学1年で初めて本格的に組み始めるという現実は、代表強化には大きな疑問符が付く。勿論、安全面、とりわけスクラムの場合は、頚椎を痛める深刻な怪我も間違いなくある中で、ユース世代においそれとハードに組むことを求められないという世の流れもある。

 

 

▲コラム内に登場する南部くん。〝颯2世〟を目指す

 

 

だが、発想を「組ませない」から「安全に組む」という転換が、1.5mルール導入後、ここまで長きに渡り手付かずのまま放置されているのは議論の余地はあるだろう。

 

より安全に、そしてペコさんが唱えるように、よりスクラムを組むことを楽しめる環境をどう作っていくか。これは、未来を担う世代から「いま」の大人たちへ突き付けられた宿題のようなものだ。