ラグビーファン、関係者の目線が桜のジャージーに注がれるタイミングながら、ブレイブルーパスの復活を、ピッチの外にいるGM目線で語っていただいた。

 

生まれ出ずる時からのルーズさでこんなタイミングになってしまったが、そこには前後編に広がってしまったボリュームも影響した。書くに至ったモチベーションは、GM目線というより薫田目線といったほうが適切かも知れない。

 

この輝かしい足跡も残してきた勝負師が、チーム&親会社の低迷とも向き合いながら、選手に何を求め、何を整え後押ししてきたのか。こんな薫田真広の仕事をすこし書き残しておきたかった。

 

 

 

 

 

 

 

結果的に、予定していた時間を遥かに超えたインタビューとなったが、このボスらしさを感じさせられる話が続いた。そして、あらためてこのチームが残してきた足跡、そして一度は地に堕ちながらも守り続けている伝統と矜持を再認識させられた。

 

「リーグワン」という変革期に、多くのチームが組織、強化体制を刷新する中で、ブレイブルーパスのように、自分たちの築き上げてきた価値観や文化を、どこまで残していけるのか。一部のチームは、そこが根こそぎ失われてしまうのではないかという危惧がある中で、こんなチームが覇権を取り戻したことに価値がある。

 

もちろん、大半のチームはそんな栄光の歴史を持てていないという現実もあるのだが、それでも10年、数十年とチームが続けば、悪しきものもあるだろうが、良き文化、伝統は必ずある。そこを、どう新しい体制の中で残していけるかは、やはり薫田GMのようなチーム側のマネジメントが欠かせない。

 

薫田エンマ帳の中身をお知らせ出来なかったのは残念だが、そこには、こちらも感心するような細目が数値化され、蓄積されている。コラムでは省いたが、この数字が、選手の成長、進化を促すのと同時に、選手にチーム内でプレーを続けないという選択、決断をさせるためにも重要な役割を担う。完全プロ化はかなりSFの領域にしても、プロ的なアプローチでチーム作りが進む中では、このエリアは実はかなり意味のあるものだ。

 

 

 

 

この数値化に関しては、おそらく薫田GMだけが取り組んでいるものでもないし、最新のものでもないかも知れない。どのチームでも選手評価は、様々な取り組みが進んでいるはずだ。ここでは「優勝」という成功の中で、薫田GMの仕事として紹介している。このような選手評価はこれからも進化し、新たなシステムや考え方が、それぞれのチームで採用されていくだろう。グラウンドでのパフォーマンスとは離れたフィールドの〝ゲーム〟なので、脚光を浴びるのは限定的だが、もしかしたらサンバーメトリックスのような、時代を先駆け、従来とは異なる視点から選手を見つめ、評価するシステムが生まれるかも知れない。

 

話がブレイブルーパスの勝利から脇道に逸れたが、この優勝で、リーグの活性化が更に高まるのは歓迎するところだろう。新たなフェーズに入った日本ラグビーの中で、伸びしろばかりのチームが並んでいるからこそ、地殻変動の余地は十分にある。だが、その中で、ルーパスとGMがこだわり続けた《自分たちの足跡の先に進んでいけるチームを作っていけるのか》はすべてのチームにとって大きな挑戦になる。