航海士や機関士を志す実習生が乗船する世界最大級の帆船「日本丸」が8月17日、福井県敦賀市の敦賀港に24年ぶりに入港した。「太平洋の白鳥」とも呼ばれる美しい船として知られる日本丸は、昭和59年(1984)建造、総トン数2570t、全長約110m、最大搭載人員190名の練習帆船である。敦賀港には1999年7月、開港100周年を記念した「つるが・きらめきみなと博21」で寄港して以来となる。写真は敦賀港金ヶ崎岸壁に停泊中の日本丸。
実習生100人と職員・乗組員44人の計144人が乗船し東京港を7月4日に出港。北海道・室蘭港、新潟・姫川港などを経て8月16日に敦賀港へ入る予定だったが、台風7号の影響で島根県隠岐諸島付近に停泊、1日遅れとなった。敦賀港には20日まで停泊し、18日には地元の敦賀海洋少年団が船内見学やセール展帆などを体験するシップスクール、19日午後1時から同3時半までと20日午前8時半から同11時まで一般公開される。そこで、8月20日午前の一般公開に訪れ、船内見学をしてきた。
駐車場からフェンス越しに日本丸の雄姿を眺める。
練習帆船日本丸の主要諸元。昭和59年(1984)に竣工した2代目(日本丸II世)は海技教育機構が保有する航海練習船で、日本を代表する大型帆船(機帆船)である。
乗船前にバウスプリット(bowsprit、帆船の船首から前方へ伸びている棒)と船首像を撮る。船首像は手を合わせて航海の安全を祈るポーズの女性像で、「藍青」と名付けられている。
船腹部・船尾部の船名と乗船用タラップ(左)、下船用タラップ(右)。
金ヶ崎岸壁に左舷を横付け接岸している。岸壁には一般公開の見学者の長い列ができている。
日本丸には4本のマストがあり、前からフォアマスト(43.1m)、メインマスト(44.4m)、ミズンマスト(43.9m)、ジガーマスト(36.8m)。
乗船用タラップから左舷楼甲板に乗船する(左上)。フォアマストの最下部(右上)、中間部(左下)、最上部(右下)。
船首部の揚錨機と大錨(アンカー、重量約2.4t)。1984の建造年が印されたキャプスタン(Capstan、錨鎖やロープを巻き上げる巻取装置で頭部の孔にキャプスタンバーを挿し込み人力で巻き取る)。船首部のバウスプリットを上から見る。船首の右舷から船尾方向を眺めるとフォアマストのロープ、縄梯子が頑丈に縛り付けられている。
メインマスト(Mainmast、帆柱)は、最も高いマストで通常は船体中央に位置する。メインマストの最下部(左上)はロープ、縄梯子、滑車の集まり、そのマストの中央部(右上、左下)と最上部(右下)。
職員も見学者の説明役に。右舷中央部のボートタビットと救命艇(発動機付、定員30名)。ミズンマストの根元部には、張られたロープや滑車が集まっている。ミズンマストの縄梯子はマストも支えるので造りは頑丈、後方の白いマストはジガーマスト。
後部海図室を覗く見学者。海図室内部の様子。帆走用操舵輪前は記念写真の人気スポットで順番待ちも。船尾右舷の予備大錨と日章旗。
18日に行われた敦賀海洋少年団のロープを引っ張って帆を下ろす作業体験、直径約1.5mの舵輪回し体験は、8/19の北陸中日新聞Webから。海上での人命救助で使うロープワークの体験は、結び目が固く、ほどけにくい「もやい結び」を子どもたちが乗組員に学んだ(左下)。甲板の掃除体験は椰子の実の殻を半分に切って作ったブラシで、乗組員の「わっしょい」のかけ声に合わせて甲板磨きを体験(右下)。
下船後に金ヶ崎岸壁から別のアングルで全体像を撮る。
対岸の敦賀市港町の敦賀赤レンガ倉庫側から眺める。
「太平洋の白鳥」の異名を持つ、総帆展帆の様子。全部で29枚ある全ての帆(セイル)を広げたフォルムが美しい。ー独立行政法人海技教育機構のwebサイトからー
2023.7.17 海の日に行われた満船飾の様子。満船飾は、船でお祝いの時に船の通信に使用する国際信号旗を掲げることで、船首から各マストの頂を通して、船尾まで旗を掲揚する。なお、この日本丸は昭和5年(1930)に建造され、1984年に引退した初代の日本丸Ⅰ世である。ー日本丸メモリアルパーク・横浜みなと博物館webサイトからー
「世界最大級の帆船 “日本丸” 敦賀港で一般公開」のビデオ [7分38秒]
福井県敦賀市金ヶ崎町 敦賀港金ヶ崎岸壁のMAP