『乙御前御消息』 建治元年八月四日 五十四歳
妙楽大師のたまはく「必ず心の固きに仮りて神の守り則ち強し」等云云。人の心かたければ、神のまぼり必ずつよしとこそ候へ。是は御ために申すぞ。古の御心ざし申す計りなし。其れよりも今一重強盛に御志あるべし。其の時は弥々十羅刹女の御まぼりもつよかるべしとおぼすべし。例には他を引くべからず。
(御書897㌻4行目~6行目)
【通釈】
妙楽大師は「必ず心の固きに仮りて神の守り則ち強し」等と言われている。心が堅固であれば神の守りが必ず強いということである。これはあなたのために申すのである。(あなたの)前々からのお志については言い尽くせない。それよりもなお一層強盛に(信心の)志をもつべきである。その時はいよいよ十羅刹女の守りも強くなると思いなさい。そのような例は他から引くには及ばない。