夏の大菩薩連嶺【岩殿山から長大な尾根を歩く】 | HIROのブログ

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趣味のブログです。気の向くままに山登りをしています。



7月12日(日)



山と高原地図の大菩薩嶺を見ると、
500円札で有名な雁ヶ腹摺山から、
姥子山を経由して、
岩殿山まで尾根が伸びています。
セオリーから言えば、雁ヶ腹摺山から下るコースを
取った方が楽ですが、
今回の登山は私には、来月行こうと企んでいる
夏山縦走登山の脚慣らしの
意味合いがあり、敢えて上りで行くことにします。






山に行きたい気持ちはずっとあったのですが、
私の休日は最近、いつも悪天候で
行けずじまいでした。

この日も前日の予報では晴れとなっていましたが、
前日の夜は遅くまで雷雨でした。



翌朝、雨が止んでいたら山に行こうと思い、
準備だけはして就寝。

翌朝起きると雨は止んでいたので、
始発電車に間に合うように自宅を出発しました。





雲の切れ目から朝日が見えます。
日照時間が長いこの時期は
既に明るくなっています。







横浜線の始発電車、八王子行き。
山に行く時はおなじみの始発電車ですが、
この始発に乗るのは久しぶりです。





八王子で中央線に乗り換えます。




大月駅で下車します。
山間部の駅だけに
趣のある駅舎です。







中央本線で大月に来ると、
目につくのが岩殿山です。
戦国時代、武田氏傘下の小山田氏の居城があった
山です。


今回の山行の主目的の山ではありませんが、
ここまで来たので、行き掛けの駄賃に
登ってみることにします。

その寄り道が予想以上に時間をロスすることにより、
結果的にそれが後に響くことになりますが、
それは後の話。





正面から登れば山頂まで近いのですが、
通行止めになっていて、
裏側に回り込んで登ることになります。










大月桃太郎伝説。
その時は何気なく写した自販機の写真ですが、
後ほどその伝説の場所の一つに行くことになります。






飲食店が立ち並んでいます。
帰りに時間があれば、寄り道していくのも
いいですね。






しばらく街中を歩きます。
目の前に岩殿山がそびえています。


私が昔、山岳部新人の時、
夏の北アルプスに行った帰り、
車窓から見えるこの山を見て、
一際目を引くこの山の山容に
部の顧問の先生に聞いた記憶があります。
その時から岩殿山の名は記憶に刻まれていて、
この山の前は数えきれないぐらい通っていますが、
いざ登るのは今回が初めてです。






住所の名前にも戦国時代を感じます。





民家の軒先に懐かしい看板を発見。






目が眩むような高さの橋を渡ります。





車で来た場合はここに駐車すればいいですね。





振り返ると富士山が見えます。





本来ならここから登れるのですが、
この先は登山道崩壊の為、通行止めです。




だいぶ車道を歩き、
ようやく登山口です。





鬼の岩屋とは何であろうか。





カウンターを押して行きます。





鬼の岩屋。
ここまで来たら、ついでに行ってみることにします。





かなり大きい岩です。
残念ながら行けるのはここまでです。





岩の表面に水が流れています。






先ほど駅前の自販機に書いてあった
大月桃太郎伝説のひとつが
この鬼の岩屋ですね。







登山を再開します。
この日は蒸し暑く、
最近の雨の影響で登山道がぬかるんでいます。
汗だくになりながら、
滑らないように慎重に進みます。






この辺りは山頂の一角。
当時は屋敷跡のようです。
なかなかいい場所でした。






わずかな登りで岩殿山山頂です。







岩殿山は秀麗富嶽12景に数えられているだけに
天気が良ければ富士山が良く見えます。
大月市街の街並みを見下ろせます。
なかなかの絶景です。
ここまでは手軽なハイキングコースですね。

もっと陽気の良い時期に来ても
いいかも知れません。



まだ先は長いので、
小休止の後、先に進みます。







険しい地形を利用した山城で、
武田氏滅亡の原因に関わった小山田氏の城だけに
ハイキングだけではなく、
歴史マニアにもおすすめの場所ですね。


興味のある方は、
孤高の人などの山岳小説でも有名な新田次郎の小説、
武田信玄と武田勝頼を
読んでみることをおすすめします。
私は有名な(有名すぎる)武田信玄よりも
その息子の武田勝頼が好きですね。
読むたびに考えさせられます。
なぜ強大な武田氏が滅んだか。
漫画盤の横山光輝作のも、おすすめです。


…少し話が逸れすぎましたね。






鮮やかな色のキノコを発見。






クマ出没注意の看板。
こんな市街地の近くで。
と、侮るなかれ。
私はこの後…





私の定番のアングルの写真です。





地形が険しい山城の跡だけに
鎖場が出現します。





岩が少し濡れていたので滑らないように
慎重に進みます。







木の幹越しに富士山が見えます。





この先の岩場はロープが張られ、通行止めでした。
迂回ルートを行きます。






迂回ルートとは言え、意外に険しいです。





苔むした岩。






岩殿山山頂を振り返ります。






富士山を見る度に、周囲の山の位置関係が
微妙に変わります。








稚児落とし。
左側は断崖絶壁になっています。
危険ですのでなるべく右側を歩きます。













しばらく進んだ先の三角点のある場所が
笹平です。




ちょっとだけ開けています。






笹平から少し進んだ先の問題はここです。
写真に見える階段の段差の所を
大きな尻尾が特徴のリスらしきものが
視界を左側に横切って行きました。

私がそこに行った時は
リスは既にいなくなっていました。
その時です。






右側の藪がガサガサ音がします。
そこから黒い物体が飛び出しました。
プーさんを黒くした形で、
(そのまんまですね)
大きさは中型犬より少し大きいぐらい。
ツキノワグマです。
距離は約10メートル。
熊はあっという間に私の視界の向こう側に
逃げて行きました。
一瞬の出来事だったので、
写真に撮ることはできませんでした。



熊の目撃情報は、
熊をカモシカやイノシシと見間違えることは
あるようですが、
あの体型は間違いなく熊ですね。


大きさからして、小熊のようです。
小熊と言うことは
母熊が近くにいる可能性があります。

私は早々にこの場所から立ち去ることにします。










基本、樹林帯の中ですが、
時々開けていて富士山が見えます。




なかなかいい感じの道です。





木にびっしり貼りついたキノコ。







トズラ峠。
ここで車道を横切ります。






標高が高くなると、先ほどまで蒸し暑かった風が
涼しく感じられてきます。









蝶を発見。止まった瞬間に撮影に成功。
何の蝶でしょうね。







サクラ沢峠。






ダラダラと長く続く登りは、
バカ尾根と呼ばれることもあります。
丹沢の大倉尾根、奥多摩の石尾根はその代表です。
この尾根もそんな感じですが、
このコースは、ここまで歩いて来て、
私的には、なかなか趣のある
いいコースだと思います。
ここまで誰にも会いません。
長いコースなので敬遠する人も多いのであろうか。
人気コースの整備され過ぎた道よりも
普通に歩きやすいですね。









次の三角点のある場所が




セーメーバン山頂です。
木々に囲まれて、展望はありません。

セーメーバン(晴明盤)とは何であろうか。
調べてみると、
陰陽師の阿部晴明が麓の村に水を引こうとしたが
失敗して死んだという伝説があり、
この名になったそうです。







木に寄生した木。





セーメーバンを過ぎて少し行くと、
宮地山からのコースが合流します。
宮地山コースは破線のバリルートですね。







次のピークが大垈山(おおぬたやま)。







お昼を過ぎているので、
ここでランチにします。









お湯を沸かして、ラーメンを作ります。


いまだにこの日は誰にも会わず、
ここは展望も無い静かなピークですが、
明るい木漏れ日が心地いいですね。
こんなマイナーな山の山頂で静かなランチ、
なかなかいいですね。




先ほどから曇ってきました。
飛行機の音か、風の音か、
雷の音かわかりませんが、
遠くで空がゴーと言う音がします。
夏山の午後は天気は変わりやすいです。
昨夜も雷雨でしたし、
これから降るような気がします。

山の中で雷雨に遭遇するのは避けたいです。

日照時間が長いこの時期ならば、
時間的には姥子山や雁ヶ腹摺山は
行けなくはありませんが、
私的にはここまで気持ちの良い尾根歩きを
満喫できて、もうお腹いっぱいということもあり、
今回はここで下山することにします。






大垈山の少し先には樹齢約三百年の白ブナ。











山の奥深さを感じます。




金山峠、姥子山方面と
下山予定の金山鉱泉方面の分岐点。

ここでこの日初めて登山者に会いました。
私よりも年配の男性の方で、
その時は挨拶しただけでしたが、
この方に後に助けてもらうことになるとは、
その時は思いもしませんでした。





分岐点から急な斜面を下ります。
途中でもう1人、登山者とすれ違いましたが、
結局この日、山で会った登山者は2人だけでした。




急な下りの最後は沢を渡ります。
沢の水で顔や腕を洗います。
冷たくて気持ちいいです。生き返りますね。






あとは車道歩きです。
ここまできたら、雨が降ってもなんとかなりますね。





夏の雲が湧いています。



しばらく歩いて、キャンプ場のあたりから
雨がポツポツきて、やがて本降りの雨になりました。
この時期は蒸れるのであまり着たくはないのですが、
雨具を着て歩きます。
まだ駅まではかなり歩きます。
途中、バス停がありますが、本数が少ないので、
バスの便に時間が合うかどうか。



するとその時、一台の車が私の前に止まり、
声をかけてきました。
見ると、先ほど山の上で会った方でした。
駅まで乗せてくれることになりました。
地獄で仏とはこの事ですね。

あっと言う間に大月駅に到着です。
歩いたら駅まで1時間以上はかかったでしょうね。

この場を借りて、厚く御礼申し上げます。


この方は、沢沿いコースを登って
姥子山まで行ったようです。
沢沿いコースは荒れていて、
何度も渡渉を繰り返して、
通過するのに時間がかなりかかったとのことでした。


そんな情報も次にこの山域に来る時の
参考になりますね。







駅に着くと、駅前は土砂降りでした。
次の電車まで時間があり、
寄り道しようかと思いましたが、
この雨の中を店を探して歩く気はしません。


素直に駅の改札を入ります。



人から見えないホームの死角でシャツを着替えて、
売店でビールを買います。





まだ土砂降りの雨は降っています。
ホームのベンチに座り、ビールを飲みます。

早めに下山して、まったり酒を飲むのも
いいものですね。
いつもは私は夕方まで長時間歩くことが多いので、
この時間に駅にいるのは珍しいです。





水しぶきが上がっています。





折り返しの当駅始発の電車が来ました。
これなら早く帰れそうです。
電車は空いていました。



今回は予定のコースは全て歩けませんでしたが、
梅雨の合間の晴れた日に
気持ちの良い尾根歩きを満喫できました。
このコースを歩く人は少ないようですが、
私的には隠れた名ルートでした。
色々なハプニングがありましたが、
それも含めて山歩きですね。