妊娠中の母親の喫煙と高BMIは先天性心奇形の危険因子 | 二子玉川ライズ ひろ内科クリニックのブログ

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〔ロンドン〕フローニンゲン大学医療センター(オランダ・フローニンゲン)のMarian K. Bakker博士らは,妊娠中に喫煙し,かつBMIの高い母親から生まれてくる児は先天性心奇形リスクが高くなる可能性があるとの研究結果をHeart2012; 98: 474-479)に発表した。

BMIと喫煙が相乗的に児の心臓を障害

 先天性心奇形は最も多く見られる奇形の一種で,発生率は1,000人に約8人。病因が明らかなケースは15%にすぎない。

 Bakker博士らは今回,19972008年にほかの奇形は伴わないが先天性心奇形のみを有していた胎児・新生児797例と,染色体異常を有するが心奇形は伴わない胎児・新生児322例を比較。母親の飲酒や学歴などの交絡因子を調整して検討した結果,高BMIBMI 25以上)と喫煙の両危険因子が重複した場合,相乗的に児の心臓を障害することが分かった。

 喫煙と高BMIの両危険因子を有する母親が先天性心奇形児を出産するリスクはいずれか一方だけを有する母親の2.5倍超であった。

 また,心室から肺動脈または大動脈への血流が減少または遮断される心室流出路狭窄リスクは,両危険因子を有する母親から出生した児で3倍超だった。

 今回の研究結果について,同博士らは「母親の喫煙と高BMIはいずれも,先天性心奇形を起こす同じ経路に関与すると考えられる」と指摘している。

 さらに同博士らは,正確な機序は不明としながらも原因として,高BMIと喫煙のそれぞれに別個に関係し,HDLコレステロールの低下とLDLコレステロールの上昇を来す血漿コレステロールの代謝障害を挙げている。

 同博士らは「今回の結果は,妊娠中の喫煙と肥満の両危険因子と流産・死産,発育不良,早産などとの関連についての新たなエビデンスとなる」と結論付けている。