高カロリー食で軽度認知機能障害が2.4倍に | 二子玉川ライズ ひろ内科クリニックのブログ

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米一般人口対象の症例対照研究

 食事療法をめぐる議論において新たな論点となるかもしれない―。高カロリー食を摂取している高齢者では軽度認知機能障害(MCI)のリスクが2.4倍に上昇するという,メイヨークリニックのY. E. Geda氏らの研究成果を米国神経学会が公式サイトで紹介している。米国の一般人口約1,200例を対象とした症例対照研究で,詳細は今春の第64回米国神経学会(4月21~28日,ニューオーリンズ)で発表されるという。

カロリー摂取量とMCIの間には有意な用量依存関係

 今回の研究は,ミネソタ州オルムステッド郡在住の一般住民を対象に進められているコホート研究の一環として行われた。対象は,同コホートからランダムに抽出した70~89歳で認知症未発症の1,233人。うち1,070人が認知機能正常,163人がMCIだった。1年以内に食物頻度調査票(food frequency questionnaire)を用いて調査した1日カロリー摂取量に基づき,対象者を低カロリー摂取群(600~1,526kcal/日),中カロリー摂取群(1,526~2,143kcal/日),高カロリー摂取群(2,143~6,000kcal/日)の3群に分類。カロリー摂取量とMCIとの関連を多変量ロジスティック回帰分析により検討した。

 低カロリー摂取群を基準とした交絡因子 補正後のMCI発症のオッズ比は,中カロリー摂取群では1.05(95%CI 0.63~1.77)と差がなかったが,高カロリー摂取群では2.41(95%CI 1.51~3.86)と上昇し,1日カロリー摂取量とMCIの間には有意な用量依存関係が認められた(傾向性のP<0.001)。

 Geda氏は「摂取カロリーを制限し,健康的な食事を取ることは加齢に伴うもの忘れを防止する簡便な方法かもしれない」と述べている。