先日アマチュアのクラリネット吹きのパリジェンヌが、もじもじしながらこう聞いてきた。
「ハヤオ・ミヤザキの曲って知ってる??」
「もちろん!」
「ほんとぉ!クラリネットで吹きたいんだけど、楽譜持ってない..??」
ハヤオ・ミヤザキというよりジョー・ヒサイシの曲だが、フランスでも大人気だ。私もジブリは大好きので、なんだか嬉しい。
「探しとく!特にどれが好きなん??」
トトロ、もののけ姫...だいたい全部好きらしい。
「あ、でもノジカはそこまでって感じかも!」
「ノジカ!」
なんやそれは。ノジカ、ノジカ...
「ナウシカか...!!」
嗚呼フランス語よ、相変わらずすごい発音だ。
ナウシカはフランス語で「Nausicaä」と書くようだが、フランス語の「au」の組み合わせは「オ」と発音する。「s」は前後を母音に挟まれる場合濁点が付く。故に「ノジカ」。最後の「ä」がなぜ必要なのか分からない。「ノジカァ」ってことか?
ちなみにトトロは「Totoro」、もののけ姫は「Mononoké」でそのままなので安心だ。ただフランス語は「r」の発音がとても嫌らしい。日本人が人生で使ったことのないような喉の使い方をする。喉うがいを水無しでやるような感じ。
フランス語レッスンの動画ではよく、フランス語の「ra ri ru ré ro」は「ハヒフヘホ」と発音しちゃった方がやりやすいと解説されている。だもんで、トトロも実際は「トトフォ゛」のようなカタカナでは到底表現できない音で聞こえる。
「ほんで他には?」
「え〜っとね、ヴォワイヤージュ・ドゥ・シフォ゛もめっちゃ好き!」
「シフォ゛!」
なんじゃそれは。ジブリ作品にそんなキャラクターいたか?ヴォワイヤージュの意味は旅。
「チヒロか!!!」
嘘だろう。ほんとにすごいなフランス語。千と千尋の神隠し、千尋は「Chihiro」と書くが「r」の発音は前述のとおり。「c」はカ行で発音されるこのもあるが、今回はサ行。加えてフランス語は「h」を発音しない。私の故郷広島は「イロシマ」だし、北海道は「オケイドウ」と発音される。
そんなこんなで、哀れ千尋も「シフォ゛」なんて名前でフランスを旅しているのだ。
恐るべしフランス語。いつまで経ってもうまく発音できない。
「こりゃあ一生マスター出来んわ」
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