パリに着いて、まずスーパーで驚いた。



チーン「なんもかんも、でかい...」



ほっそりした日本のきゅうりの3倍はあろうかと思われる極太きゅうり、巨ナスは私の知っているナスの色をしていないし、キャベツは妙に白くてミチミチに詰まっていて固い。

日本のスーパーで見たことのない、なんだかよくわからない野菜もいっぱい置いてある。


 

  


精肉コーナーにいけば巨大塊肉ばかり。スライスしてある豚肉はもちろん骨付きだし、クリスマスのイメージ映像でしか見たことのないような丸鶏がデデンッと陳列されている。



チーン「何作っていいんかわからん...」



大学生時代わたしの味方だった豚こま肉も鳥胸肉も豆腐も納豆ももやしも、どこにもないのだ。



加えて私は下宿中。大家のマリエと下宿仲間のめぐちゃんとキッチンは共用だ。長々と占領するわけにはいかない。



かくして、留学を始めて1ヶ月の間、私はスーパーによく売っている瓶詰めされたトマトソース(たいして美味しくない)をぶっかけたパスタだけを食べて生き延びたのだった。

 

 



おかげで毎日貧血だったチーン 新しい環境への疲れとストレスもあったんだろう。電車に乗ると冷や汗がダラダラ出てきて気分が悪くなった後腹痛が始まり、やむを得ずホームのベンチで落ち着くまで休むことがしょっちゅうだった。



その日も、地下鉄に乗っている間にいつもの冷や汗と腹痛が始まった。音楽院にレッスンを受けに行く途中であった。フランスには日本のようにそこら中にトイレが設置されていない。



駅を出て這うように音楽院へ進む。途中で力尽きて道端にうずくまっていると心配したおじさんが大丈夫か声をかけてくれた。フランス人は親切だ。


やっとの思いで音楽院に到着し、トイレに立てこもる。つたないフランス語で先生にメールした「オナカガイタイノデ、トイレニイマス...チーン」すでにレッスン時間から40分遅れていた。


トイレを出て、ようやっと先生に会いに行くととても心配してくれていた。私のフランスの母、とっても優しい先生で今でも仲良しだ。


先生が何かを言っている。


「べべ?べべ?」


回らない頭で考える。


チーン「べべってなんだ?」


先生はなおも続ける。手でお腹を撫でるようなジェスチャーをしている。


チーン「べべ。Bébé。赤ちゃん?!」


先生はあまりにも私の体調が悪いことが多いので、その結論にたどり着いたようだった。





チーン「先生、子どもできたのに留学しに来る猛者は、なかなかおらんと思うよ...!」




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