毎年のことですが、自宅近くの荒れ地と公園の2カ所に、ハス(蓮)の蕾のように先の尖った黄色い「苞」を付けた「地湧金蓮」(チユウキンレン)が姿を見せる季節となりました。
外見は水生植物のハスの蕾に似ていますが、地中に根を持つ陸生植物です。葉が変化した黄色い「苞」は、4月下旬~12月中旬まで八ヶ月に亘って、特徴のある姿を見せてくれます。
「雲南地湧金蓮」 撮影:近所の荒れ地
正式和名は不明ですが、中国の原産地名を付けて「雲南地湧金蓮」(ウンナン チユウキンレン)と呼ばれることが多いようです。
英語圏で“Chinese Yellow Banana”や“Golden lotus banana”と呼ばれていることから、日本の園芸店の一部では、英名をそのまま片仮名読みして販売している園芸店もあるとか。バナナの名前が付いていても食用には不適だそうです。
「雲南地湧金蓮」 撮影:2025年6月 於:近所の荒れ地
僕が在住していたタイ王国の人々は、中国名の「地湧金蓮」(地表に湧き出る黄色い蓮)をタイ語に意訳して“บัวดินเหลือง”( ブア ディン ルアン・陸生の黄色いハス)と呼んでいました。
「雲南地湧金蓮」 撮影:近所の荒れ地
「地湧金蓮」の国際植物分類は、バショウ科(Musaceae)、Ensete属、E.Lasiocarpum種、学名Musella lasiocarpの陸生植物として登録されており、ハス科・ハス属の「ハス」(蓮)とは似て比なる植物であることが分かります。
バナナの緑葉に似た「地湧金蓮」の楕円形の葉の平均的サイズは、長さ50 cm前後、幅20 cm前後ありますが、真冬になると全て枯れ落ちてしまい、筍状の茶色の太茎だけが残ります。(下写真)
茶色の茎が残る雲南地湧金蓮 (12月:近所の公園で撮影)
しかしながら真冬を越えて翌年の4月下旬に至ると、茶色に枯れていた大茎の頂部に、再びハス(蓮)の蕾に似た黄色の大きな「苞葉」が姿を現わし、次第に大きく成長していきます。(下写真)
次第に大きくなる雲南地湧金蓮の苞 撮影:5月中旬
高さ20cm前後の黄色い苞の基部の周囲に目を向けると、この植物の本当の花である筒状の「吸芽」(キュウガ)が幾つか並んでいるのが見えます。既に萎んでいる「吸芽」もありますね。(下写真)
苞の基部の周囲に並ぶ地湧金蓮の小さな花 (撮影:6月)
近所の公園と荒れ地の「雲南地湧金蓮」は、新しい株(茎)が増えることなく、毎年同じ株数(茎数)に黄色い大きな苞を付けています。
植物資料を読むと、生きている「吸芽」を切りとって別の鉢に植え替えて育てると、3~5年後には根茎が育って新しい株が育つと書いてありましたが・・・我が家の狭い庭には、どう考えても不似合いの植物だと思います。