最近のTV放送は、バラエティ番組と薬品や化粧品等の特価販売CMがあまりにも多くて、視聴する気力が減衰しているのですが・・・

 

報道番組を視聴した後に何となくYOUTUBEに切り替えると、タイ国在住時代に観劇したことのある仮面舞踏劇(コーン โขน)のラーマキエン物語紹介をしていたので、懐かしさも手伝って見入ってしまいました。

 

「ラーマキエン」の演者 撮影:2008年 バンコク・シーロム

 

タイ国の「ラーマキエン物語」は、古代インドの長編叙事詩「ラーマーヤナ」を、ヒンドゥー教の神々と鬼たちの戦いの物語として再編した仮面舞踏劇です。

 

現在でも宮殿等の壁面に描かれた美しい壁画を観賞することが出来るし、舞台で演じられる仮面劇を観ることもできるので、タイ人の老若男女や外国人観光客にも広く知られています。

 

ラーマキエン物語の壁画 WEBより拝借

 

タイ版の「ラーマキエン物語」の粗筋は、ラーマ王子が魔王トッサカンによって強奪されたシーダ妃を奪還するための活躍を主題とした勧善懲悪物語の仮面舞踏劇です。

 

タイ独特の響きを持つ音楽・歌・語りが流れるなか、しなやかな手振りや足踏みを交えて演じる仮面の役者が次々と登場するのですが、ラーマ王子とシーダ妃だけは仮面を被っていません。
 

魔王トッサカン・シーダ妃・猿神ハマヌーン WEBより拝借

 

このブログでは、ラーマキエン物語の粗筋は割愛して、ラーマ王を助ける猿神ハマヌーンとラ-マ王に敵対する魔王トッサカンの仮面に焦点を当てたいと思います。

 

先ずは、魔王トッサカーンの仮面を御紹介したいと思います。(下写真)

 

魔王トッサカンの仮面 WEBより拝借

 

タイ版ラーマキエンのトッサカン(ทศกณฐ )は、緑色の魔王顔をしたランカー国王として描かれていますが、タイ版の原作である古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」では、神々と敵対するラークシャサ国のラーヴァナ王として登場するようですね。

 

次なる仮面の登場者は、猿神ハマヌーンです。(下写真)

 

猿神ハマヌーンの仮面 WEBより拝借

 

猿神ハヌマーンは、ラーマ王子に忠義を尽くす最強の戦士ですが、ラーマ王子の願いを受けて、魔王トッサカンに強奪されたシーダ妃の奪還作戦に従います。

 

ラ-ム王、魔王トッサカン、猿神ハマヌーン WEBより拝借

 

やがて、シーダ妃が魔王トッサカンの居城であるランカー城に幽閉されていることを突き止めた猿神ハマヌーンとラーマ王は、シーダ妃の救出作戦に向います。
 

魔王トッサカンと猿神ハマヌーンの戦闘 WEBより拝借

 

タイ版舞踏劇のラーマキエンでは、トッサカンの居城をランカー城としていますが、セイロン島を想定しているのではないか?とする説もあるらしいですね。

 

魔王トッサカン 撮影:2008年 バンコク

 

猿神:ハヌマーン 撮影:2008年 バンコク

 

ヒンドゥー教における猿神ハマンーンの伝説は、中国に伝わってから「西遊記」に登場する斉天大聖孫悟空のモデルになったとの説もあるようですね。

 

仮面舞踏劇の大団円  撮影:2008年 バンコク

 

上写真は、魔王トッサカンの居城のランカー城で幽閉されていたシーダ妃を救出する戦闘の場面です。向って右端の女性がシーダ妃です。

 

猿王魔王ハマヌーンに左足を掴み取られ、ラーマ王に左膝を踏みつけられて押さえ込まれ、シーダ妃に右腕を抑えられて身動きできなくなった魔王トッサカン・・・このシーンが大長編叙事詩を縮小した仮面劇の大団円になっていたと記憶しています。