買い物からの帰り道、キンモクセイ」(金木犀)の香りが漂っていました。

 

9月下旬の残暑厳しき折には気付かなかった香りですが、10月初旬から中旬の秋の訪れで甘い香りが強まったようです。(下写真)

 

金木犀 撮影:2023年10月18日 東京都多摩東部

 

樹高4m前後の「キンモクセイ」(金木犀)の葉腋に、橙色の小花が幾つも集まっている姿が頗る可愛く見えます。(上下写真)

 

金木犀 撮影:2023年10月18日 東京都多摩東部

 

キンモクセイ」(金木犀)が中国大陸から日本に渡来したのは、江戸時代(17世紀頃)だったそうです。

 

金木犀 撮影:2023年10月18日 東京都多摩東部

 

金木犀」の名の由来は、白い花の「銀木犀」に対して、金色(橙色)の花を付けることから「金木犀」と呼ばれるようになったとの説は、以前に聴いたことがあったのですが・・・

 

あらためて「」の由来を調べると、樹皮の色と柄模様が動物の「サイ」()の皮膚に似ていたことから名付けられた・・・との説がありました。(下写真)

 

「犀」の皮膚に似た(?)金木犀の樹皮 WEBより拝借

 

ところが「金木犀」とは、日本に渡来してからの呼称であり、中国大陸での漢名は「丹桂」であると唱える説もありました。

 

しからば、中国で「丹桂」と呼ばれていた樹木が、17世紀の江戸時代に如何して「金木犀」と名付けられる事になったのだろうと不思議に思って調べてみると・・・

 

金木犀 撮影:2023年10月18日 東京都多摩東部

 

中国で「桂花」と呼ばれている花木の中国語の植物分類表に「属名:木樨属」と表記されていたとの記述がありました。

 

動物の「」を見たこともない江戸っ子が「金木犀」と名付けることが出来たのは、中国語の「属名」からの転用だったようですね。

 

金木犀 撮影:2023年10月18日 東京都多摩東部

 

中国語の植物分類表では「属名:木樨属」と表記されていますが、世界共通の植物分類では、「Osmanthus」(和訳:モクセイ属)として登録表記されていました。

 

万国共通の属名となる「Osmanthus」の語源は、ギリシャ語で「匂い」を意味する「osme」と、「花」を意味する「anthos」に由来しているそうです。

 

チョット意外だったのは、世界共通名となる標準学名に、日本の植物分類学者の牧野富太郎博士の名前が記されていたことでした。(下欄)

 

Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino (1902)


日本の「キンモクセイ」(金木犀)と完全に同じ遺伝子を持つ「モクセイ」(木犀)の変種が中国に存在しない可能性もあとの観点から、「キンモクセイ(金木犀)は、中国ではなく日本で生み出された」という説もあるようですが・・・

 

ひょっとして牧野富太郎博士の名前を冠した上記の学名には、そのような意味合いもふくまれているのでしょうか?
 

金木犀の植物分類名

科:Oleaceae モクセイ科

連:Oleeae

属:Osmanthus

種:O.fragrans

変種:O.f.var.var.aurantiacus

学名:上掲済

和名:キンモクセイ 金木犀