自宅から少し離れた他人様の植え込みに、茎先に散形花序を出して筒状の六枚の薄紅紫色の花被片を付けた花が咲いていました。(下写真)
スマホカメラの花名検索アプリを起動すると、南アフリカ・ケープ州原産の球根性植物で、英名:Society Garlic、学名:Tulbaghia violacea と表示されたのですが、和名の表示はありませんでした。
英名:Society Garlic 撮影:2023年9月27日 東京都多摩東部
薄紅紫色をした6枚の花被片の基部には、「スイセン」(水仙)の仲間のような副花冠が見えますが、「スイセン」のように筒状ではなく、三個の副花冠が個々に鱗片状に分離しています。(下写真)
Society Garlic の個々に分離した三個の副花冠 WEBより拝借
しからば我家の庭に咲くヒガンバナ科の「ハナニラ」(花韮)の仲間かと思ってチェックすると、「Society Garlic 」のような副花冠はありませんでした。(下写真)
我家の花韮(ハナニラ)に副花冠はなし。
花名検索で表示された英名の「Society Garlic」を直訳すると、"上流社会の大蒜"となりますが、僕にはいまひとつピント来るものがありません。
英名:Society Garlic 撮影:2023年9月27日 東京都多摩東部
しからばと学名の「Tulbaghia violacea」から入念に検索を続けると、「ルリフタモジ」(瑠璃二文字)いうヘンテコリンな和名が出て来ました。
「瑠璃二文字」(ルリフタモジ)の「二文字」とは、「爾良(ニラ)」(韮)の代替語でした。つまり「瑠璃色の韮味の花」を意味する花名だと分りました。実際には、瑠璃色ではなく紅薄紫色をしているのですが・・・
英名:Society Garlic 撮影:2023年9月27日 東京都多摩東部
それにしても、和名を「瑠璃爾良」(ルリニラ)とせずに、何故に「瑠璃二文字」としたのでしょうか?
その由来を調べてみると、室町時代初期の宮中の女官たちの女房詞だと判りました。
室町時代初期の宮中の女官
この時代の女官の詞(コトバ)は、例えば葱の(ネギ)のような上等な野菜は「一文字」(ヒトモジ)、韮(ニラ)のような草クラスを「二文字」(フタモジ)のように差別化するのがお洒落だったとか。
それにしても、令和の現在に至っても、「瑠璃二文字」(ルリフタモジ)として伝わっているとは驚きですね。
瑠璃二文字の植物分類名
科:Amaryllidaceae ヒガンバナ科
属:Allioideae ネギ属
種:T.violacea
学名:Tulbaghia violacea
和名:ルリフタモジ 瑠璃二文字
英名:Society Garlic
原産国:南アフリカ