鼠色の雲が広がって今にも降ってきそうな雨模様の小道を歩んでいると、アオイ科の「フヨウ」(芙蓉)が咲いていました。(下写真)

 

「芙蓉」と書くと、湖面に咲く「蓮」の美称(ビショウ)と想われる年配の方もおられるようですが、本日の「芙蓉」は、地上に生える「木芙蓉」(モクフヨウ)の八重の花です。

 

木芙蓉の花 撮影:1923年9月22日 東京都多摩東部

 

「木芙蓉」(モクフヨウ)の花は、8月頃から10月に掛けて、朝に咲いて夕方に萎む一日花ですが、今まで八重の花を撮った事がなかったので、曇天下の桃色花と緑の蕾を取り敢えず撮っておきました。(上下写真)

 

木芙蓉の蕾 撮影:1923年9月22日 東京都多摩東部

 

「木芙蓉」(モクフヨウ)の葉は、手のひらを広げたような掌状をしています。よく似た「ムクゲ」(木槿)の葉よりも放射状に大きく広がり、その葉縁には鋸歯がありません。

 

その昔、健康診断の再検のために在住地のバンコクから帰国した折に病院の庭で撮った「ムクゲ」(木槿)の花が手元にありました。(下写真)

 

木槿の花と雌蘂 撮影:東京都 2015年6月下旬

 

「ムクゲ」(木槿)の開花時期が6月~7月、「モクフヨウ」(木芙蓉)の開花時期が8月前後ですので、梅雨時に咲く花が「ムクゲ」(木槿)、夏時に咲くのが「モクフヨウ」(木芙蓉)と云うことになりますね。

 

木芙蓉の雌蘂 撮影:2019年8月 東京都多摩東部

 

花図鑑によると、五本の雌しべが曲がって伸びているのが「フヨウ」(芙蓉)、真っ直ぐに伸びているのが「ムクゲ」(木槿)との記述がありました。

 

「モクフヨウ」(木芙蓉)と「ムクゲ」(木槿)は、科・亜科・連・属も同じ花木ですが、開花時期、葉姿、雌蘂の形状で区別することが出来そうですね。

 

 

フヨウの植物分類名

科:Malvaceae アオイ科

亜科:Malvoideae

連:Hibisceae

属:Hibiscus ハイビスカス

種:H.mutabilis

学名:Hibiscus mutabilis

和名:フヨウ 芙蓉

英名:Cotton rosemallow

 

ムクゲの植物分類名

科、亜科、連、属は芙蓉と同じ。

種:H. syriacus

学名:Hibiscus syriacus