アオイ科(Malvaceae)の植物には約1500種あまり在るそうですが、昨日の散歩で三種類のアオイ科の花を観ることができました。

 

ニュースによれば関東地方の梅雨入りが早まるようですが、近所のお宅の玄関先の「タチアオイ」(立葵)も茎の下方から茎頂に向かって早々と花を付け始めました。(下写真)

 

近隣宅の立葵 2023年5月29日 東京都北部多摩地区

 

「和名:タチアオイ」(立葵)の属名は「Althaea」ですが、その語源は古代ラテン語の治療を意味する「althaino」から来ているらしく、古くから薬草の原料として利用されていたようですね。

 

近隣の公園の立葵 2023年5月29日 東京都北部多摩地区

 

平安時代に中国から伝来した時の呼称は「蜀葵」(しょぢくき)だったそうですが、いつしか「唐葵」と呼ばれるようになり、その後は江戸時代の園芸家によって梅雨入りから梅雨明けの頃の花として品種改良が行われ、「梅雨葵」(ツユアオイ)とか「立葵」(タチアオイ)として人気が向上したそうです。(上写真)

 

二番目に見掛けた「アオイ科」の花は、「ゼニアオイ」(銭葵)でした。(下写真)

 

近隣宅の銭葵 2023年5月29日 東京都北部多摩地区

 

「ゼニアオイ」(銭葵)もまた中国大陸から伝来した植物だそうです。中国での漢名は「锦葵」( jin kui)だったそうですが、日本では花の姿が貨幣の小銭のように見えたことから「銭葵」(ゼニアオイ)と名付けられたそうです。
 
三番目に見掛けた「アオイ科」の花は、「サクラアオイ」(桜葵)でした。(下写真)
 
近隣宅の桜葵 2023年5月29日 東京都北部多摩地区
 
この花は、「立葵」よりも小さくて桜のように短命であることから、「サクラアオイ」(桜葵)と名付けられたそうです。別名で「ヒメフヨウ」(姫芙蓉)と呼ばれることもあるとか。
 
正直に言いますと、此の花の和名が「桜葵」であることを知ったのは昨日のことであって、それまでは、和名の無いアオイ科の「アニソドンテア」(Anisodontea )だと思い込んでいました。
 
そして、花名の後に付く「葵」の由来は徳川家の「葵の御紋」から来ていると、これまた勝手に思い込んでいました。
 
中国伝来の花名の後に付けられる「葵」の意味は、「向日葵」(ヒマワリ)の如く、"花の大きな草本植物"に付けられるのであって、徳川家の「葵の御紋」とは無関係でした。
 
立葵の植物分類名
科:Malvaceae
属:Althaea
学名:Althaea rosea
漢名:蜀葵
和名:「唐葵」江戸時代
 
銭葵の植物分類名
科:Malvaceae
属:ゼニアオイ属
漢名:锦葵 jin kui
英名: Tall mallow
 
桜葵の植物分類名
科:Malvaceae
属:Anisodontea
学名:Anisodontea sp.
英名: Cape Mallow
原産:南アフリカ