2階の自室から落葉した「イチョウ」の木が見えます。(下写真)

 

「イチョウ」は、恐竜が生存していた紀元前1億9千年のジュラ紀から多くの「種」が地球上で繁茂していたそうですが・・・

 

氷河期にほぼ絶滅してしまい、現在見ることの出来るのは僅か「一種」だけだそうです。まさに「生きた化石植物」ですね。

 

自室から見える落葉したイチョウの木  撮影:2023年1月

 

日本語の「イチョウ」は、漢字で「公孫樹」や「銀杏」と表記されますが、これは和製漢字ではなく、中国伝来の漢名だそうです。

 

「公孫樹」(gōng sūn shù)の由来は、"長老(公)が植えてから、孫の代になって漸く果実を食べることができる"ことから名付けられたとか。

 

「銀杏」(yin xing)の由来は、果実の形が「アンズ」(杏)に似ていることと、その殻の銀白色から来ているそうです。

 

しかしながら、現在の日本では、「公孫樹」も「銀杏」も「イチョウ」と読むこともあれば、「銀杏」を「ぎんなん」と読む事もあったりして些かややこしいですね。

 

水溜まりに浮かぶイチョウの落ち葉  

 

中国が宋王朝の頃は、「イチョウ」の葉の形状が「家鴨」(アヒル)の足に似ていることから、「鴨脚」と書いて「ヤーチャオ」とか「イーチャオ」等と呼ばれていたとか。

 

「鴨脚」が日本に渡来した時期を鎌倉時代とする説がありますが、ひょっとすると、宋王朝時代の「イーチャオ」が日本で転訛して歴史的仮名遣いの「イチャウ」となり、現在の「イチョウ」に落着したのかもしれませんね。

 

自室から見えるイチョウの木  撮影:2022年12月

 

江戸時代の長崎出島のオランダ商館の医師で植物学者として務めていたスウェーデン人のカール・ツンベルク(滞在:1690年-1692年)は、自著の「日本の植物相」(Flora Japonica)の中で「イチョウ」のことを「Ginkgo」と記しています。

 

世界的に知られる「Webster's Dictionary」(1958年)でも、学名の「Ginkgo biloba L.」は、日本語の「Gingko」に由来すると記述されています。

 

現在も使われている「イチョウ」の英語名、ドイツ語名、フランス語名の綴り字も、長崎出島のオランダ商館の植物学者だったカール・ツンベルクが植物分類登録で書き記した「Gingko」に習っています。

 

ところが、後年になって発見されたカール・ツンベルクの備忘録から、正しくは「Ginkjo」もしくは「Ginkio」と書くべきところを、日本語の聴解力不足の為に、「Gingko」と誤記して国際登録の申請をしてしまったという事実が判明したそうです。

 

このことから、17世紀から19世紀頃の日本人は、樹名の「公孫樹」(gōng sūn shù)ではなく、本来は果実の意味である「銀杏」(yin xing)を、「イチョウ」の樹名として「ギンキョウ」(Ginkjo、Ginkio)と読んでいたらしいことが分りました。

 

公孫樹(銀杏)の植物分類名

科:Ginkgoaceae イチョウ科

属 : Ginkgo イチョウ属

学名:Ginkgo biloba L.

和名:イチョウ 銀杏

別名:公孫樹 こうそんじゅ

英名:Ginkgo

別名:Maidenhair tree

中国名: 银杏  yin xing