東京都内や東京都下には、秋の自然美として知られる「銀杏並木」が幾つもありますが、本日は僕の住む町内の名も無き「銀杏黄葉」(イチョウモミジ)を眺めつつ、「銀杏」について書き連ねてみたいと思います。
撮影:2022年11月25日 東京都下 自宅近辺
国土交通省の2007年度の調査報告によれば、日本国内の街路樹の上位3位の樹種は、「銀杏」(57万本)、「桜」(49万本)、「欅」(48万本)だそうです。
「銀杏」(イチョウ)がTOPの理由は、早い成長力、耐病虫害、耐大気汚染、耐火災延焼、耐剪定等に強いからですが、秋に観られる「銀杏黄色」(イチョウモミジ)の美しも大きな要因になっているに違いありません。
撮影:2022年11月11日 東京都下 自宅近辺
街路樹としての落葉樹は、掃き掃除の手間がかかるので嫌いとの意見もあることは承知していますが、四季の変化を楽しむ心持ちを抱く人々からは、常緑樹よりも落葉樹の「銀杏」の方がベターと評価されているようです。
撮影:11月 東京都下 自宅近辺
「イチョウ」の漢名としては、「銀杏」(意味:黄葉)、「公孫樹」(意味:長寿)、「鴨脚樹」等がありますが、僕が子供時代を過ごした西日本の中国地方では「銀杏」と書いて「ギンナン」と読んでいました。
撮影:11月 自宅近辺
植物分類上の属名である「Ginkgo」の命名者は、江戸時代(1712年)に出島のオランダ商館で働いていたドイツ人医師のDr.Engelbert Kämpferですが・・・
日本語不如意の彼は、当時の日本人が呼んでいた「ギンキョウ」(銀杏)の発音を、ドイツ語の「Ginkyo」と綴るべきところを、「Ginkgo」と誤記してしまい、国際植物学会では今も尚、「Ginkgo」がそのまま「銀杏」の属名として登録されています。
撮影:11月 自宅近辺
欧米の園芸界では、属名の「Ginkgo」をそのまま通称名としている国もあるようですが、それ以外にも「Maidenhair Tree」(乙女の髪型)、「fossil tree」(化石の木)、「Japanese silver apricot」(日本の銀色の杏)、「Yinhsing」(銀杏)等と呼ぶ人も少なくないらしいです。
撮影:11月 東京都下 自宅近く
「イチョウ」の日本伝来時期は、1975年に韓国沖で発見された沈没船の遺物から「銀杏の果実と種子」が発見されたことから明らかになります。
この沈没船は、中国の元王朝時代の1323年、中国の慶元(現:寧波)から九州の博多に向けて出港した貿易船だったのです。(下写真)
銀杏の果実と種子が発見された沈没船模型
日本最古の「本草書」(編纂918年)には「銀杏」の記述がないそうですが、「異制庭訓往来」(1370年頃編纂)、「愚管記」(1381年編纂)、「下学集」(1444年)等には明記されているそうです。
「銀杏」の日本伝来は鎌倉末期以降ですが、室町期になると既に広まっていたと思われますね。
撮影:2022年11月25日 東京都下 自宅近辺
イチョウ科(Ginkgoaceae)イチョウ属(Ginkgo)の「銀杏」は、別名で長寿を意味する「公孫樹」の漢名もあるように、世界最古の長命樹種らしい事は聴いていたような気がするのですが・・・
世界最古の数少ない現生種の一つであり、「生きている化石」として国際自然保護連合の絶滅危惧種に指定されている事を知って吃驚!!
町内の平凡な「銀杏」だと思っていましたが、今後はもう少し畏敬の念を持って見守らなければと心新にしています。
銀杏の植物分類名
科:Ginkgoaceae イチョウ科
属:Ginkgo イチョウ属
種:G.biloba
学名:Ginkgo biloba L.(1771)
和名:イチョウ 銀杏
英名:Ginkgo
別名:Maidenhair Tree







