猛暑が続く中、我家の狭き庭の花もめっきり少なくなってしまいましたが・・・

 

数日前から、「ヤマボウシ」(山法師)の樹を囲むようにして、「ノリウツギ」(糊空木)の白色の円錐花序(花房)が次々と開花!(下写真)

 

今朝の散歩後に数えてみると、大小含めて12個の花房が白く輝いていました。

 

我家の「糊空木」(ノリウツギ)

 

「糊空木」(ノリウツギ)の植物分類名は、新エングラー体系では「ユキノシタ科・アジサイ属」となっていますが、僕が好んで採択することの多い「クロンキスト体系」と「APG体系」では、「アジサイ科アジサイ属」として分類されています。

 

「糊空木」(ノリウツギ)の花序(花房)

 

「糊空木」(ノリウツギ)の花房(上写真)の形は、同じ「アジサイ属」の「柏葉アジサイ」(下写真)の花房の形に似ているようにも見えますが・・・

 

両者の「葉」の形状を見較べると、それらの違いをはっきりと認識することが出来ます。(下写真)

 

「柏葉アジサイ」の花房と葉の形

 

「柏葉アジサイ」の葉の形は、「柏餅の葉」(Oakleaf leaf)によく似ています。(上写真)

 

英語圏で「Oakleaf hydrangea」、日本で「柏葉アジサイ」と呼ばれる所以だろうと思います。

 

「糊空木」(ノリウツギ)の葉

 

しかし、「糊空木」の葉の形は、「柏葉アジサイ」の葉とは大きく異なります。(上写真)

 

薄く赤味を帯びた枝に対生する楕円形の葉先は尖っていて、葉の全周に細かい鋸歯があります。葉裏はやや白っぽく見えます。

 

「糊空木」(ノリウツギ)の花房(装飾花)

 

我家の「糊空木」は、「柏葉アジサイ」が咲き終わって暫くしてから、ボチボチと穂状の装飾花を咲かせ始めました。(上写真)

 

「糊空木」(ノリウツギ)の花房(装飾花)

 

白色の穂状に開く花房(装飾花)の枝先を注視すると、「糊空木」の本当の花となる小さな両性花が咲いているのが見えます。(上下写真)

 

「糊空木」の装飾花の先端に咲く両性花の花蕾

 

四枚花弁のように見えるのは、萼が花びら状に変化した「装飾花」であって、本当の花ではないそうです。(上下写真)

 

「糊空木」の萼が変化した装飾花と本当の花蕾(WEBより拝借)

 

「糊空木」の花弁のように見える装飾花の中にあって、隠れるように咲いている本当の小花を観察すると、雄蘂と雌蘂を有する両性花であることが分ります。(上写真)

 

雄しべと雌しべをもつ小さな両性花には、装飾花のような大きな萼片は無いようです。

 

「糊空木」(ノリウツギ)の由来は、「空木」(ウツギ)と同じように初夏に白色の装飾花を咲かせることと、樹液の粘液を利用して製紙用の糊を作ったことから「糊空木」、或いは「糊の木」と呼ばれるようになったようです。

 

参考:ノリウツギの植物分類名

科:Hydrangeaceae アジサイ科

属:Hydrangea アジサイ属
種:H.paniculata
学名:Hydrangea paniculata Sieb. et Zucc
和名:ノリウツギ 糊空木
別名:サビタ(アイヌ語)
草高:2~3m
原産地:日本、中国大陸中部と南部
 
 

参考:柏葉アジサイの植物分類名

科:Hydrangeaceae アジサイ科

属:Hydrangea アジサイ属
学名:Hydrangea quercifolia
種:H.quercifolia
英名:Oakleaf hydrangea
和名:カシワバアジサイ(柏葉アジサイ)