自宅前の歩道に接する玄関前の狭い隙間に、園芸店で買い求めた「アッツザクラ」(Redstar spring starflower)を地植えしました。

 

長さ10cm前後の緑葉の間から伸びる花茎に、今は六枚花弁の桃色の花が咲いています。(下写真)

 

 

僕が「アッツザクラ」に興味を抱いたのは、旧帝国日本海軍の海軍兵学校出身の大先輩(故人)から伝聞した大東亜戦争の「アッツ島の玉砕」(Final Fighting on Attu)の話が切っ掛けだったように思います。

 

アリュウ-シャン列島の米国領土のアッツ島

 

「アッツ島の戦闘」とは、日本軍が占領していた米国領土のアッツ島に、奪還を目指す米軍が上陸(1943年5月12日)。

 

八日間に亘る激しい地上戦の結果、日本軍守備隊が全滅(1943年5月29日)した戦闘として知られています。

 

❑日本軍の戦死者:2,638名、生還者:27名

❑米軍の戦死者:600名、生還者:10,400名

 

アッツ島で玉砕した日本軍部隊(米軍撮影)

 

大先輩(故人)が語るアッツ島の玉砕を悼む話は、大先輩も他人から聴いた話だったこともあって、矛盾する点もあったように思いますが・・・

 

「アッツ桜は、アッツ島の芝桜のことだ!」と力を入れて語る時の表情は、自信に溢れていたように見えたものでした。

 

 

日本語らしくない「アッツ」の言葉の響きに違和感を覚えていた僕は、大先輩の語る「アッツザクラ=アッツ島の芝桜」の説に、なんとなくシンパシーを感じたのを覚えています。

 

 

このブログ記事を書くに当たって、「アッツザクラ」の花名の由来を調べてみると・・・

 

日本で「アッツザクラ」と呼ばれている花の植物学上の分類名は、Hypoxidaceae科(キンバイザサ科)のRhodohypoxis baurii種であり・・・

 

南アフリカのドラケンスバーグ山脈を原産地とする耐寒性の球根植物でした。

 

つまり、僕の大先輩が唱えていたアリュウ-シャン列島の「アッツ島の芝桜」とは別種の植物だったのです。

 

アッツザクラの原産地:南アのDrakensberg山脈

 

しからば、何故に日本で「アッツザクラ」と呼ばれるようになったのかと思って検索すると・・・

 

「葉の厚い桜のような花」という外見から「厚桜」(アツザクラ)と呼ばれるようになり、それが転訛して「アッツザクラ」の呼称として定着したのであろう・・・との説がありました。

 

それでは、大先輩が主張していた「アッツ島の芝桜」とは如何なる花だったのだろうかと思って検索したのですが何もヒットせず・・・

 

得られた情報と言えば、北海道などでみられる「シバザクラ」(芝桜)だけでした。(下写真)

 

芝桜(シバザクラ)  (ウイキペディアより拝借)

 

残念ながら、「アッツザクラ」(キンバイザサ科)と「シバザクラ」(ハナシノブ科)は、全く別科の植物でした。

 

花名の由来の詮議ばかりをする結果となってしまいましたが・・・そんなことはもう止めにして・・・

 

アッツ島で玉砕された日本兵と米国兵の御霊に、心からの祈りを捧げたいと思います。

 

そして、今はもう黄泉の人となられた大先輩の冥福を祈りたいと思います。

 

 

参考:アッツザクラの植物分類名

科名:Hypoxidaceae キンバイザサ科

属名:Rhodohypoxis 

種:R..baurii

学名:Rhodohypoxis baurii (Baker) Nel

英名:Redstar spring starflower

和名:アッツザクラ (漢字名不明)

 

参考:シバザクラ(芝桜)の植物分類名

科名:Polemoniaceae ハナシノブ科

属名:Phlox ブロックス属

種:P. subpphlox シバザクラ

学名:Phlox subulata 

英名:Moss phlox

和名:シバザクラ 芝桜