1月15日の誕生花果の中に「レモン」(檸檬)がありました。

「レモン」というと、明治の文人で若くして亡くなった梶井基次郎さんの短編全集「檸檬」や高村光太郎さんの詩集「智恵子抄」の「レモン哀歌」がふと頭に浮かぶのですが、連れ合いは、「米津玄師さんの“レモン”でしょう!」と言います。この感覚の違いは、ひょっとして孫と接する時間の違いなのでしょうか。

 

梶井基次郎全集(Webより拝借)

 

「レモン」でもう一つ思い出すのは、タイ国在住中に知った果実の“マナオ”(มะนาว)です。

僕がタイ国のバンコクに単身赴任していた1989年末頃、東京都下の留守宅を守っていた連れ合いが正月休暇を兼ねてバンコクを訪れた時のことでした。

 

蜜入りのマナオジュース

 

タイ食のレストランで外食を共にした時、彼女が柑橘類の「レモン」(檸檬)を希望したのですが・・・当時のバンコクで容易に手に入る手ごろな柑橘類といえば、タイ語で「マナオ」(มะนาว)と呼ばれるライム(Lime)の一種でした。輸入品の「レモン」は、一流レストラン以外では未だ一般的ではなかった時代です。

 

マナオ(Webより拝借)

 

当時はタイ語もままならぬ頃でしたが、知ったかぶりをして「マナオ」(มะนาว)を注文したのですが、その苦みの強さに驚いた連れ合いから睨みつけられてしまいました。当時の僕は、「レモン」(Citrus limon種)と「ライム」(Citrus aurantifolia種)が別種の柑橘類という事を気にもしていなかったのです。

 

タイで売られている「マナオ」(มะนาว)は、インド、ミャンマー、タイを含むマレー半島一帯の熱帯地域に分布している「ライム」(別名:Key lime)ですので、インド北部からヒマラヤの地域にかけて分布する「レモン」とは明らかに異なる果実です。

 

市場店頭のマナオ
 

原産地も種名も異なる果実ですが、最初は緑色で完熟すると黄色に変化するのは両方とも同じです。とは言っても、タイの「マナオ」の出荷時期が“熟す前の緑色”という事を知ったのは、かなり経ってからのことでした。

 

市場店頭のマナオ

 

「レモン」の果実の形状は、ミニラグビーボールに似ていますが、「マナオ」は、やや小ぶりで丸っぽく、表皮の厚さも薄かったように思います。「ライム」は「レモン」よりも酸味がかなり薄いのですが、酒を一滴も飲めない連れ合いは、その“苦み”の強さに驚いたようです。

 

カクテル酒を好む人にとって、「ライム」の苦みと香りは最高!・・・だと僕は思うのですが・・・皆さんは如何でしょうか?


参考:マナオ(ライム)の植物分類名

科名:ミカン科 Rutaceae 

属名:ミカン属 Citrus
種名:ライム C.aurantifolia

学名:Citrus aurantiifolia (Christm.) Swingle
和名:ライムมะนาว

タイ語名:マナオ

英名:Lime, key lime

 

参考:メキシカンライム(Mexican lime)の植物分類名

科名:ミカン科 Rutaceae 属名:ミカン属 Citrus
種名:ライム C.aurantifolia
学名:Citrus ×aurantiifolia