近所に見知らぬ御方の野菜畑がありますが、野菜を育てた事のない僕には何の野菜が栽培されているのか分からないことが屡々あります。 

 

  つい数日前に通り掛かった時にも、ミョウガ(茗荷)の葉なのか? ショウガ(生姜)の葉なのか? はたまた別種の野菜なのか? 何度見直してもさっぱり分かりません。(下写真)

 

近所の野菜畑

 

  ネット情報を捲ると、ミョウガ(茗荷)の草丈は約1m、ショウガ(生姜)は50cm程度にしかならないので、ミョウガ(茗荷)とショウガ(生姜)の区分は、草丈の高低で判断できる・・・とありました。

 

  だとすると、僕が撮った野菜は、香りがよくて適度の辛みを持つ“生姜”ということになるのですが・・・正しいのでしょうか?  暑さのための水不足の所為でしょうか? 葉っぱが丸まっていて特徴が分かり難いのですが・・・詳しいお方ならば見分けがつくのでしょうか?

 

  植物生態分類を見ると、科名も属名も同一名で、違うのは学名と呼称だけです。約30年間在住していたタイ国では、“生姜”をขิ.ง(キン)と呼んでいましたが、タイ国産では見かけなかったような気がする“茗荷”には、特定の呼称がなくて、タイ語と英語交じりでไพล mioga(プライ・ミョウガ)と呼んでいたような記憶があります。 

 

近所の野菜畑

 

  そして、ネット情報によると、“茗荷”はそれほど直射日光を必要とせず、“生姜”は日当たりの良い場所を好むとありましたが、僕が撮った写真の野菜は、陽光を遮るものが何もない場所で栽培されていました。と言う事は、やはり“生姜”なのでしょうか? 

 

  “茗荷”は、秋になると枯れ、春には芽を出す宿根草ですが、寒さに弱い“生姜”は腐ってしまうとの情報もありましたが・・・これに関しては観察期間があまりに短いために判断のしようがありません。

 

ショウガ(生姜)            ミョウガ(茗荷)

 

  『生姜』も『茗荷』も、殆ど同時期にアジア大陸から日本に渡来したらしく、その当時は、香りの強い“生姜”を『兄香』(せのか)、香りの弱い“茗荷”を『妹香』(めのか)と呼んでいたそうです。 

 

  東京の丸の内地下鉄線の池袋駅近くに茗荷谷という駅名がありますが、地名の由来は、江戸時代に“茗荷”の栽培が広く行われていたからだそうです。

 

周利槃特

 

  『“茗荷”を食べると物忘れがひどくなる』と言う・・・古い話を思い出しました。

  釈迦牟尼の弟子の中で最も頭が悪いと言われていた周利槃特(しゅりはんどく)という人物がいました。 彼は自分の名前さえ覚えられない人でし たので、尊敬する釈迦牟尼の説法を如何しても覚えることができずに苦しみ続け、還俗することを真剣に考え込んでいました。

  

  すると、釈迦牟尼が彼を諭します。『塵を払い、垢を除かん』(払塵払汚)の言葉を繰り返し唱えながら、精舎の掃除を毎日するようにしなさい』。 彼は、毎日毎日、『払塵払汚』「を唱えつつ掃除をすること数年、ついに悟りを開 いて十六羅漢の一人になります。

 


  

  どんなに劣っていても、一つのことに集中徹底すれば悟りを得た羅漢として尊敬されるという良い話なのですが・・・ところが後年になって、故人になった彼の墓のまわりに『茗荷』がいっぱい生えてきたことから、『“茗荷”を食べると物覚えがわるくなる』という、科学的根拠のないとんでもない俗説が流布したという話でした。

  最近は、“茗荷の香り”によって気分爽快となり、集中力が更にUPするという効力が検証されているそうですから、釈迦牟尼も周利槃特(しゅりはんどく)も喜んでいることでしょう。そして、何よりも“茗荷”(みょうが)が喜んでいるに違いありません。


 

参考:ミョウガとショウガの植物生態分類比較  ()内=ショウガ

科名:ショウガ科 Zingberceae   (同名)         

属名:ショウガ属 Zingber (同名)

学名:Zingiber mioga (Thumb.)Roscoe  (Zingiber officinale)

和名:ミョウガ 茗荷 (ショウガ 生姜)

古名:妹香 メェノカ (兄香 セェノカ)

英名:Myoga  (Ginger)

タイ語:ไพล mioga プライ・ミョウガ  (ขิ.ง  キン)