新元号が『令和』に決まりましたね。

僕は、平成元年から平成30年(2019年)までタイに住んでいましたので、頻繁に使用していたのは、仏歴と西暦ばかりでした。 『平成』の文字を自分の手で書いたのは、日本大使館で旅券の更新申請をする時だけだったような気がします。 日本大使館で『平成』を記入する時は、恥ずかしながら、その都度『今年は平成何年ですか?』と係官に確認していたものでした。

 

  新聞によると、『令和』の典拠は、万葉集5巻、梅花の歌32首の漢文体の序文からの引用だそうですね。

    漢文体:   「初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」

    書き下し:「初春の令月にして、気よく風やわらぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」

 

   『令和』と『梅の花』の蘊蓄については、新聞やTVニュースによって賑々しく伝えられていますが、梅の花のないタイで長く生活した僕は、漢文体で記述された『蘭薫珮後之香』に気持ちが向いてしまいました。

 

 

  漢文の『蘭薫珮後之香』の読みは、『蘭は珮後(はいご)の香を薫らす』)だそうですが、書き下し文にすると、『ランの花がまるで身にまとうお香のようによい匂いをさせている』と言う事になるそうです。

 

  タイ人は、老若男女を問わず、蘭の花をこよなく愛する人が多いのですが、万葉時代の高貴な方々も、梅の花と同じように、蘭の花もお好きだったようですね。


 上写真は蘭の一種である『カトレア』ですが、万葉集五巻の序文に書かれている蘭の花の種類は、『春蘭』との説明がありました。春季のないタイに『春蘭』はなかったと思いますが、万葉時代の『春蘭』はどんな花だったのでしょうか。