広島で闘病生活を送っていた家内の姉の訃報を聞いて、急遽、夜中の飛行機で成田に飛び立つことになったのが1月23日(月)でした。 タイから成田への航空券、東京駅から広島駅への新幹線、広島でのホテル手配等などの帰国準備をほぼ終えたのが午後3時過ぎでした。 

シャワーを浴びてホット一息、自室の籐椅子に身を横たえて、ガラス越しに見えるブーゲンビリアに目を移すと、一年を通して毎日のように飛来する長嘯鳩(チョウショウバト)の番(ツガイ)が、今日も三色の苞葉の中で仲良く囀っています。 

タイに魅せられてロングステイ
12年前から、我が家のバルコニーで三色の苞葉を楽しませてくれるブーゲンビリア
右下の小枝にいる長嘯鳩が見えるでしょうか?


いつも見慣れた愛くるしい動きをする長嘯鳩の番(ツガイ)ですが、今日の振る舞いは普段と何かが違って見えます。

特に、雌(♀)と思われる一匹が、太い枝から分岐した幾つもの小枝が密集して平らになった部分を、しきりに嘴を使って均すような動作を繰り返しています。このような動作は、今まで見たことがありません。(下写真) 


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雌(♀)は、足元の小枝の分岐点がお気に召したようです。

一方、雄(♂)と思われる一匹は、苞花が賑やかに咲いている少し離れた小枝に静かに止まり、真ん丸い両目を目一杯見開き、そんな雌(♀)の振る舞いを、見るからに心配そうに見守っています。(下写真)

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ブーゲンビリアの苞花が咲く小枝から、愛しい雌(♀)の動きを見守る雄(♂)

また、ある時は、雌(♀)のお気に入りの狭い場所に舞い降りて、雌(♀)の胴体にピッタリと寄り添い、忙しげな雌を労るかのような素振りを頻りに繰り返えします。(下写真)

雄雌同色なので見分けがとても難しいのですが、それぞれの行動パターンから想像して、下写真の手前が雌(♀)、奥の方が雄(♂)・・・だと自分勝手に決めてしまいました。

写真を見ると、何処にでもいる鳩のように見えなくもありませんが、実は、全長は普通のハトの1/3(15~20cm)程度の大きさしかなく、その小ささが、なんとも愛くるしく見えるのです。

     学 名:Geopelia Swainson, 1837 、 目名:Columbiformes(ハト目)
     科 名:Columbidae(ハト科)、     属名:Geopelia(チョウシュウバト属)


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ピッタリと寄り添って共同作業をする長嘯鳩の番(ツガイ)

ところで、皆さんは、長嘯鳩(チョウショウバト)を、現在の日本の何処かで御覧になったことがありますか?

日本(江戸時代)では、チョウショウバト、ウスユキバト、スンダ・チョウショウバト等の名前で呼ばれていたようです・・・史料によりますと、江戸時代の頃は、その啼き声が愛されて、遥かスンダ諸島から、飼い鳥として輸入されていたことがあったようですが・・・

その後は、もっと美しい啼き声と容貌をもった金糸雀(カナリア)などに押されて次第に人気を失い、今では殆ど見かけないと漏れ聞きますが・・・実態はどうなのでしょうか? 


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枯れた苞花の茎を嘴で咥えて、雌(♀)の居る場所へ運び始めた雄(♂)

そうこうする内に、雌(♀)の元から飛び去って行った雄(♂)が、数分もしない内に、枯れた植物の茎を嘴に咥えて戻って来て、ブーゲンビリアの小枝の上で待つ雌(♀)に口移しで渡したのです。 それ以降も、枯草花や枯茎を嘴で咥えては、雌(♀)の待つ場所へせっせと運び゙続けています。(上写真)

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雄(♂)がせっせと運ぶ枯茎と枯苞花で巣作りに励む雌(♀)

小枝上での巣作り担当は、専ら雌(♀)の担当のように思われます。 とは言っても、小枝上で巣作りをするのは雌(♀)に違いないとする僕の思い込みなのですが・・・これって、ひょっとして、とんでもない見当違いだったりして・・・

米国と豪州の仕事をしていた現役時代、会議で立ち寄ったハワイのワイキキで、地上の餌を啄む何匹もの長嘯鳩を見たことがあります。 そして、豪州のホテルの立ち木の小枝上で巣作りをする長嘯鳩を見た憶えもあります。 

そんな僅かな経験しかないのですが、これは、長嘯鳩の雄と雌による愛の巣作りに違いないだろうと思われます。

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初日の巣作り作業を終えた長嘯鳩の番(ツガイ)


時間にして一時間たらずの初日の巣作り作業を終えて、長嘯鳩の番(ツガイ)がバルコニーのハンド・レールで一休みです。きっと、これからも毎日のように、夫婦仲良く巣作り作業に励むのでしょうね。

夕方が迫る前に、我が家のバルコニーの常連客の長嘯鳩の番(ツガイ)は、自分達のねぐらに帰って行きました。


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彼らの留守を良いことにして、勝手に彼らの愛の巣を覗き込んで見ました。初日の作業にしては、中々立派な進展具合のように見受けられます。


翌日以降(2012年1月24日以降)の巣作り作業の状況を観察したいところですが、残念ながら、今夜の夜行(1月23日)で成田空港に飛ばなければなりません。

タイに戻って来た時の進展状況が楽しみです。

タイに戻って来た1月30日以降の状況は、次回に続きます。